神田松之丞「鍋島の猫騒動」

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寛永17年(1640)春3月のある宵、花見に疲れた勝茂公が就寝されたとき、風もない月夜に一陣のなまぐさい風がサッと吹いて、桜の花が散った。

 不思議に思った千布本右衛門邦行が、南庭の方をジッと見つめると、暗やみの中に、何者とも知れぬ怪物が現われた。「おのれ化けものめ」と切りつけると、ヒイヒイとけたたましい叫び声を上げて、築山の陰に逃げ去った。
このようなことがあってから、勝茂公の近臣の発狂、庶子君の怪死などの怪しい事件が続いたり、勝茂公自身が、夜度々うなされて気分がすぐれぬ日が続いた。

 そうして、ある夜の真夜中ごろ、勝茂公の寝室近くに、ただならぬ気配が感じられたので、近習の者が駆けつけると、愛妻のお豊の方が、「退れ」と、形相を変えて叱りつけたという。同じようなことが二晩も続いたことを知った本右衛門は、重松という武士と二人で、勝茂公の寝室の見通せる場所に身をひそめて、宵の口から見張りをしていた。

 その夜中に、生温かい風を感じたと思うと、猫の鳴き声を遠くに聞いた気配がして、そのまま眠りこみ、気がついたときは、夜が明けていた。
前夜も怪しい気配がしたので、近習が寝所に駆けつけると、例のごとくお豊の方が、言葉も荒々しく叱りつけた。中の様子をうかがうと、勝茂公は、床の上で苦しみもがいていたという。しかし、相手は、主君の愛妻であってみれば、どうにもならない。

 その翌日の夜、本右衛門は、「今夜こそ、実態を見届けよう」と心に期し、短刀を股にはさみ、眠りこけると短刀が股を刺すようにして、夜半を待っていた。どの位たったか、寝所を見やると、勝茂公もお豊の方も、もう寝ついていなければならないのに、お豊の方の影が、障子に写っていた。

 よくうかがうと、寝室にただならぬ気配がし、中では、うめき苦しむようで、その度にお豊の方の影が動き、もがき苦しむ気配が感じられる度に、クックックという女の含み笑いの声が聞こえる。こうしたことが何度か繰り返されていたかと思うと、ひとしきり苦悶の声が高くなって、お豊の方の障子の影が横を向いたとき、本右衛門が見たのは、紛れもなく猫の影であった。

 猫の影は、主君勝茂公の苦しみもがくのをあざ笑うように、これでもかこれでもかと、何か復讐しているような姿であった。

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