【物語】遠く離れたイランで亡くなった女性の事件を伝えたい…7歳の少女が絵本に込めた“自由”への思いとは『every.特集』

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日本から遠く離れた国イラン。そこで亡くなった一人の女性の物語が日本で絵本となった。作者は日本に住む7歳の少女、大野りりあなさん(7)だ。まだ7歳の少女がなぜ、絵本を作ることになったのか――

 ◇◇◇

始まりは2年前にさかのぼる。ある日、りりあなさんが幼稚園から帰ってくると、いつも笑顔の母が泣いていた。そのワケは、イランの首都・テヘランで起きた事件だった。

22歳の女性、マフサ・アミニさんが「ヒジャブ」とよばれるスカーフの付け方を理由に警察署に連行され亡くなったのだ。イランでは9歳以上の女性にヒジャブの着用が義務付けられ不適切な服装の人を監視する「道徳警察」という部隊まである。

母のアティエさんはイラン出身。故郷の出来事を知り胸を痛めていた。日本人の父とイラン出身の母を持ち、日本で育ったりりあなさんは、母の故郷・イランのことをよく話に聞いていた。

「どうしてこんなに自由がないんだろうってママが言って、私もそのニュースを聞いて寂しかった」

りりあなさんは考えた。何か私にできることはないかー

「この広い世界では、私たちが当たり前の自由を手に入れられない人がたくさんいる」

そしてたどり着いた結論が絵本をつくることだった。テーマは「自由」に決めた。始まりは母の涙を見た場面だ。りりあなさんも登場し、普段の生活を見つめ直していく。すると見えてくるものがあった。ダンス、ピアノなどのたくさんの習い事も、自由があるからこそできる。女性の人権を制限するイランでは、不可能だと思いあたった。

「世界にはそうやって習い事とかやりたくてもできない子たちもいる」

りりあなさんは自ら原画と文章を描いていった。実は彼女、3歳で漢字を読み、7歳の今では、中学の数学の問題を問くなど、才能豊かな子。文章も絵も得意なのである。

しかし、絵本作りは難航した。原画を絵本の絵に仕上げてくれるイラストレーターが見つからない。その理由はイランの人に絵を描いてほしいと、りりあなさんが考えたからだった。

「本当に悲しみを受けているような人が描いた方がうまく表現できると思って」

イランでは、絵本の制作に協力すると逮捕される恐れがあり、引き受け手がいなかったのだ。でも、りりあなさんは諦めなかった。その思いが事態を動かしていくことになる。

日本に住む少女りりあなさんと、遠く離れた国で亡くなった女性。二人の人生が交差して、自由と幸せを考える「物語」が生まれようとしていた。
(2024年4月10日放送「news every.」より)

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