「外国人が外国人を呼ぶ離島」小値賀島の秘密 観光客9倍?世界に魅力を発信する秘策【Jの追跡】(2023年9月30日)

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 外国人観光客が増えている小値賀島をご存じでしょうか。その島の魅力を世界に発信しているのは、なんと外国人です。外国人が外国人を呼ぶ離島の秘密を追跡しました。

■島の自然だけではない 外国人が訪れる理由

 長崎県・五島列島の北部に位置する小値賀島。佐世保からフェリーで3時間かかり、コンビニもない小さな島ですが、訪れる外国人が増えています。

 スペインからの観光客:「東京は忙しい街なので、リラックスして過ごしたいと思い、この島に来ました。夕日がきれいだと聞いたから見に来たんです」

 火山により作られた赤い砂が特徴の赤浜海岸や、海を背景にした牛の放牧地など、島の魅力は手付かずの自然にあります。でも、この島に外国人がやってくる理由は、それだけではないようです。

■外国人が島の魅力を広告塔として発信

 8年前にオープンした「島宿 御縁」は、ヒラマサやイサキなど取れたての海の幸を堪能できる宿泊施設です。オーナーの岩永太陽さんは、島に外国人観光客を呼び込むために、ある事を行っています。

 太陽さん:「ウチで働いてくれる海外の人を迎えに行きます」

 イギリスからやってきたモーリーさん(24)はおよそ1カ月間、宿で働くためにやってきました。

 実は、この宿では常に3~4人の外国人がワーキングホリデーを利用して働いているんです。もちろん、ビザの確認も太陽さん自ら行っています。

 彼女たちが働くのは、朝と夕方の1日およそ5時間です。日中の空いた時間は、島巡りなど好きなことをしてOK。

 モーリーさん:「わぁ、きれい。とってもすてき。周りに島々があって、緑であふれているわ。すべてが生命力に満ちている感じね」

 この休息時間にこそ、太陽さんの狙いがありました。

 太陽さん:「今はSNSでの発信が一番お客さんを呼べるチャンス。彼らにも、小値賀を発信してねと言っている」

 島で働きながら、島の魅力を英語で発信してもらうことで、広告塔の役割を担ってもらっているんです。

 キラさんのインスタグラム:「小値賀島。おそらく聞いたことはないだろうが、決して離れたくなくなる日本の人里離れた楽園の一部。夕日を眺めたり、穏やかな風景を眺めたり、魔法の海に浸かったり、私はここでたくさんのことを学んでいます」

 モーリーさん:「SNSの写真を見て、小値賀に来ることに決めたの。実際にここに立つと、写真の10倍良いわ」

 「外国人が魅力を発信し、外国人を呼ぶ」。この8年間で、御縁で働いた外国人は述べ300人にも上ります。

■「長い旅の疲れを癒やす貴重な休息地」

 この日、太陽さんに会いに来た人がいました。フランスから来たマルゴさん(30)は実は6年前、御縁で働いていたんです。今回は、彼氏を連れて小値賀に帰ってきたそうです。

 太陽さん:「どうして小値賀にまた来たの?」
 マルゴさん:「とっても穏やかな島だし、人も少ないし、美しい自然がたくさん残ってる」

 マルゴさんがどうしても行きたかった場所が「五両ダキ」という場所です。ダキとは崖のことで、海水に浸食されてできた崖と美しい砂浜が人気のスポットです。

 フランスから ミコフスキーさん (31):「水は温かいし、誰もいない。パラダイスビーチだよ」

 彼らにとって、誰もいない空間は長旅の疲れを癒してくれる大切な休息地だといいます。

■日本の世界文化遺産「旧野首教会」

 この日、モーリーさんは自由時間を利用し、どうしても行きたかった場所へ出かけました。

 小値賀島の隣に位置し、現在は無人島の野崎島。5年前、世界文化遺産に登録されたのが「旧野首教会」です。

 江戸時代から続いていたキリスト教禁止のなか、信仰を守ってきた「潜伏キリシタン」。野崎島に住んでいたわずか17世帯の人々が資金を捻出し、1908年に教会を建てたといいます。

 モーリーさん:「自分とは違う境遇の人々を学べる場所に来られて、彼らが経験した苦しみを理解できるなんて、感動的ね」

 教会を見るために、小値賀を訪れる外国人観光客も少なくないといいます。

■日本の食べ物に興味 外国人観光客

 小値賀島の観光協会「おぢかアイランドツーリズム」にも、島の魅力を発信する外国人がいます。

 リトアニア出身のヴィクトリアさんは、大好きな日本で英語を生かした仕事をしたいと思い、5年前にこの島に移住しました。

 ヴィクトリアさん:「昔ながらの日本がそのまま残っているのが魅力。みんなお互いの顔を知ってるし、助け合う。今、一人暮らしだけど、全然寂しくない」

 ヴィクトリアさんは、外国人観光客のガイドも行っています。この日は、フランスからやってきたアンナさん(37)を案内します。

 ヴィクトリアさんが案内したのは、乾物屋です。アンナさんは日本の食べ物に興味があるようです。

 アンナさん:「色々な食べ物を自分で見つけるのが好き」
 ヴィクトリアさん:「食通ね」
 アンナさん:「そう。食べるのが大好き」
 ヴィクトリアさん:「フーディー分かります?食べ物、何でも興味ある。旅しながら、何でも食べてみたいタイプ」

 次に立ち寄ったスーパーでも、フィッシュケーキ(小値賀特産のかまぼこ)に興味を持っているようでした。

■島民との交流が特別な体験となる

 そんなアンナさんが体験したのは、島民と一緒に食事を作ること。

 小値賀島の島民・山本麻理子さん(66)は、観光協会の紹介でこの仕事を始めました。

 山本さん:「ライト ソイ ソース リトル(うす口しょうゆを少し入れる)。チェンジ テイスト。テイストチェンジかな」
 アンナさん:「味が変わったわ」

 言葉が通じなくても、「料理」という共同作業をしていくうちに心が通じ合うといいます。

 山本さん:「楽しいですね。海外とか全然行ったことないけど、通じたら世の中が広がったような感じ」

 アンナさんと一緒に作ったのは、肉じゃがや鶏肉のスープ、焼き魚など4品。初めての肉じゃがのお味は…。

 アンナさん:「イッツ グッド オイシイ」
 山本さん:「おいしいいただきました。ソイソース アンド シュガー」

 外国人にとって、島民と過ごすことも特別な体験のようです。

 アンナさん:「山本さんとも会えたし、地元の食材も食べられた。なんてすてきな体験。こんなことができてうれしいわ」

■外国人観光客を魅了する「おもてなし」

 午前6時半、フランスへ帰るアンナさんを見送りに、山本さんやヴィクトリアさんが姿を見せました。

 アンナさん:「(Q.小値賀島で一番の思い出は?)彼女たちよ」

 アンナさんにとって、どんな場所よりも、島民との出会いがかけがえのない思い出となったようです。

 島のおもてなしの心が、外国人観光客を魅了しているのかもしれません。
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp

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