爆弾三勇士・三曲音源

一、
廟行鎮の 敵の陣
我の友隊 すでに攻む
折から凍る 二月（如月）の
二十二日の 午前五時

二、
命令下る 正面に
開け歩兵の 突撃路
待ちかねたりと 工兵の
誰か後を 取るべきや

三、
中にも進む 一組の
江下 北川 作江 達
凛たる心 兼ねてより
思う事こそ 一つなれ

四、
いざ此の時ぞ 堂々と
父祖の歴史に 鍛えたる
鉄より堅き 忠勇の
日本男子を 顕わすは

五、
大地を蹴りて 走り征く
顔に決死の 微笑在り
他の戦友に 遺せるも
軽く「さらば」と唯一語

六、
時なきままに 点火して
抱き合いたる 破壊筒
鉄条網に 到り着き
我身諸共 前に投ぐ

七、
轟然起こる 爆音に
やがて開ける 突撃路
今我が隊は 荒海の
潮の如くに 踊り入る

八、
忠魂清き 香を伝え
長く天下を 励ましむ
壮烈無比の 三勇士
光る名誉の 三勇士



昭和7年1月末、上海で中国民衆の排日運動が激化し、上海事変が勃発しまし た。久留米の第12師団の下混成旅団と、金沢の第9師団が投入され、精強といわれた19路軍と対戦しましたが、クリークとトーチカの入り組んだ戦線で苦戦、特に2月22日の廟行鎮攻撃に際しては鉄条網突破の工兵肉薄攻撃が採用され、“爆弾三勇士”の美談も生まれました。 下元旅団の江下、北川、作江の3人の工兵一等兵の肉弾攻撃を讃え、3社3新聞社それぞれ提携して歌が作られましたが、東京日日・大阪毎日(現毎日)の選んだこの曲は、与謝野寛の詩を得て一番広く愛唱されました。