【報ステ】専門家解説「こんなロシア見たくなかった」見えない“終戦”侵攻から1年(2023年2月24日)

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ロシアがウクライナ侵攻を始めてから24日で1年を迎えました。

まず“激動の1年”を改めて振り返ります。

去年2月24日、ロシアがウクライナに本格侵攻を開始しました。北はベラルーシ、東はドンバス地方、南はクリミアと、3方向から攻撃。ロシア軍は一時、首都キーウの大統領府から15キロのところまで迫りましたが、その後、ウクライナ軍が反撃し、キーウ近郊からロシア軍を追い出しました。

しかしその後、明らかになったのは“ブチャの大虐殺”です。9月には、南部・東部の4州がロシアに一方的に“併合”されます。同じく9月、ウクライナは東部ハルキウ州で大規模な領土奪還に成功。秋口に入ると、ウクライナ軍の反転攻勢が強まり、11月には南部ヘルソン州の約半分を奪還しています。


◆防衛省防衛研究所の兵頭慎治さん、ロシアの軍事・安全保障が専門の小泉悠さんに聞きます。

【“短期決戦”から“長期戦”分岐点は】

(Q.この1年をどう見ますか?)

小泉さん:本当に“激動の1年”というのはその通りだと思います。21世紀に、これだけ大規模で古典的な国家間戦争を見ることがあるのかという点でも驚きだったと思います。ロシア側の思惑としては、こういう古典的な戦争にならないと思って始めたと思います。それが多分、プーチン大統領の言う『特別軍事作戦』という言葉の意味で、簡単に屈服させられると思ったのでしょうね。ただ、ウクライナは初戦で降伏することはしなかった。特に最初の1カ月間、首都守りきったわけです。実はこの戦争の最大のターニングポイントは、戦争の初期段階に起きていました。それ故に、特別軍事作戦で終わるはずだったのが、普通の戦争になってしまったことがとても大きかったんだろうと。しかも、その普通の戦争をやったら、ロシア軍が強くて、ウクライナ軍が全く歯が立たないのかと言えば、そうではなくて、9月には非常に広い領域、だいたい東京都の2.5倍ぐらいの面積を取り返しています。この戦争には、去年の開戦初期と、秋に大きなターニングポイントがあったとみています。


(Q.去年秋くらいから、プーチン大統領に焦りのような行動が見られた気がしますが、いかがですか?)

兵頭さん:去年9月に、東部南部の4州を一方的に併合宣言して、ロシア憲法修正して自国領に認めてしまいました。さらに、部分動員にまで踏み切って、一般の男性を戦場に送るという形になりました。当初は短期で終えるつもりだったのが、長期の戦争になり、自ら引くに引けない形で、妥協の余地をなくしてしまい、プーチン大統領が自らを追い込んでいるとも言えると思います。先日の大統領年次教書演説でも「東部南部で、長期的に平和を回復するんだ」と、長期戦の構え、最終的な処理まで目指すと自らを追い込んでしまっています。これは、大きな誤算だったとみています。


【さらなる“長期化”プーチン大統領の狙い】

(Q.プーチン大統領の言い方をみると、持久戦だと腹をくくっているようにも感じますが、いかがですか?)

兵頭さん:結果的にそうなってると思います。欧米諸国も今のところ、まだ結束して軍事支援を続けていますが、あと1年、本当に今のような支援を続けられるのか。支援疲れや、戦争に対する関心の低下があるのではないかと、ロシア側は思っているところがあります。あえて持久戦に持ち込んで、欧米諸国の支援疲れを待ってる部分もあると思います。


(Q.持久戦はどちらに有利に働きますか?)

小泉さん:もし欧米の支援がなければ、ロシアが圧倒的に有利です。ただ、その欧米もウクライナ疲れと言われながらも、ウクライナをあからさまに見捨てることはしていません。特に今年に入ってから、戦車供与が決まるとか、もしかすると戦闘機もという話で、軍事援助をむしろステップアップする方向にあります。持久戦に持ち込んで、ウクライナ単体とロシアの体力勝負ができればいいですが、なかなかそれは難しいと思います。ロシアは今、去年秋に召集した30万人と、引っ張り出してきた古い予備兵器や、新規に生産した兵器などを使って戦力を再建して、東部で大きな成果を上げることを、短期的な目標にしていると思います。


【“大攻勢”東部戦線の行方は】

(Q.今月上旬には始まったとされる、ロシアの大規模攻勢。現在の戦況をどう分析しますか?)

小泉さん:恐らくすでに始まっていると思います。去年の秋に比べると全く変わっていて、ロシア軍が東部で、激しくウクライナ軍を圧迫していることは間違いないと思います。ただ、戦線の形を見ると、ものすごく大きく変わってるわけではありません。バフムトなどの重要な場所ではロシア軍が押していますが、あくまでも局所的な動きです。これから注目されるのは、これがロシア軍の精一杯なのか。それとも、前線でウクライナ軍を押して弱いところを見つけ出し、そこに隠している主力をぶつけようとしているのか。それによって、かなり話が変わってくると思います。私は、第2段階がある可能性は非常に高いと思っています。去年集めた30万人のうち、半分から3分の2くらいは投入してないという推測もあります。そうすると、まだまだ戦闘は激しくなっていきます。その時に、ウクライナ軍が耐えきれるのか。耐え切れなければ、軍事力も疲弊し、もっと広い領域をまた占拠されてしまうかもしれません。耐え切れたとしても、反転攻勢に転じる兵力が残ってるかどうか。耐え切れたけど、もうボロボロで、やっと立ってるだけだと、この先もおぼつきません。ウクライナ軍としては耐えて、なおかつ次に回す余力を残さなければいけないという、非常に難しい局面だと思います。


(Q.ウクライナ軍としては、真正面からぶつかりあうというよりも、上手に引きながら戦力を温存するイメージですか?)

小泉さん:これまでのウクライナ軍の戦い方を見ても、都市と一緒に玉砕することはしていません。去年夏もそうですが、どうしても守りきれないとなったら、なるべく敵に損害を与えて、ちょっと引くことを繰り返し、別の場所でロシア軍の弱いところを見つけて反撃に出ました。恐らく今回も、そういう戦略だろうと思いますが、バフムトの攻防が、政治的に非常に重要な意味を持ってしまっているので、ゼレンスキー政権としても引けないのではないかという観測もあります。軍事的合理性と政治の論理で、どういう風に折り合いをつけるかも注目点です。


【軍事支援の“現実”とは】

(Q.ロシア軍の攻勢を耐え凌いで、ウクライナ軍が反転攻勢を仕掛けるためには、欧米の支援が必要になりますが、どう展望していますか?)

兵頭さん:今のところ、欧米では軍事支援の継続で結束しています。先般も、アメリカのバイデン大統領がキーウを電撃訪問し、ポーランドでも力強い演説をして、引き続きロシア制裁・ウクライナ支援を続けていくと表明しました。ただ、戦争が長期化していくと、別の負の影響が世界に及ぼしていきます。例えば、エネルギーや食糧価格の高騰といったインフレの増大。あるいは、国際社会の分断も、深刻化しつつあります。果たして今後さらにもう1年間、今と同じかそれ以上の支援を本当に続けていくことができるかどうか。そして、アメリカも含めて大統領選挙もあります。内政問題化した場合には、支援疲れがまた表面化する可能性もあります。さらに、欧米は戦車供与に踏み切りましたが、この後の焦点は、戦闘機の供与に踏み切れるかどうかです。これに関して、アメリカは慎重姿勢を崩していませんし、戦争のエスカレーションを気にする国もあります。軍事的な支援のレベルを引き上げれば引き上げるほど、足並みを乱すことなく、欧米側の結束を維持できるかどうか。ここも焦点になると思います。


(Q.持久戦を見据えた時に、欧米はどんな支援の在り方を探っていくと思いますか?)

兵頭さん:最終的には、この戦争の出口をどこに見い出すのか。そこをウクライナと欧米諸国が共有できてるのかどうかだと思います。ウクライナが何を必要としていて、それに対して欧米諸国がどこまで応えることができるのか。残念ながら、今のところ最後の出口、つまりウクライナがどこまで奪還するまで、欧米諸国が支援していくのかに関しては、完全に共有できていない部分があると思います。


(Q.欧米側の足並みの懸念について、どうみていますか?)

小泉さん:今年に入ってから、戦車供与を決めたというのは非常に大きな動きではありますが、欧米から何百両も戦車が送られてくる状況ではありません。みんな「出す」とは言いますが、非常に少ない数しか出さなかったり、出すといった国が急に渋り出す現象が見られます。みんな言ってはみたけど、ロシアの核兵器使用が怖いとか、エネルギー分野での報復が怖いとか、そういう懸念を持ちながらのウクライナ支援なんだと思います。ロシアは核大国なので、その懸念を全く否定できないので、ロシアの核のエスカレーションを抑止しながら、ウクライナを支援していくのかという、かなり難しいかじ取りを西側諸国も強いられている感じがします。


【“核の威嚇”再びプーチン大統領の狙い】

プーチン大統領は核兵器への言及を強めています。23日はロシアの祝日『祖国防衛の日』でした。この日、プーチン大統領は国民へ向けたメッセージのなかで、3つの核攻撃力の強化に焦点を絞ると発言しています。

この3つとは、ICBM(大陸間弾道ミサイル)、SLBM(潜水艦発射弾道ミサイル)そして戦略爆撃機です。この3つの核攻撃力の強化に一層の注意を払うということです。また、新型のICBM『サルマト』は、今年中に実戦配備する予定だとしています。


(Q.プーチン大統領の核をめぐる発言から、何が読み取れますか?)

兵頭さん:ロシアにとって最後に残されたカードは核しかありません。戦況が好転しないなか、引き続き核の恫喝、核使用を示唆しながら欧米をけん制する。それ以外に手段がないところがあると思います。そして核戦力の強化に加えて、大統領年次教書演説では『新START条約』と呼ばれる、米ロ間における戦略核の軍縮条約を一時、履行停止すると表明しました。核による恫喝は、どうもアメリカ単体に向けられ始めているように見えます。バイデン大統領が率先する形で、軍事支援の強化を表明していますが、それに対抗する形で、核で強くけん制をしていく。ウクライナ戦争の構図は、これまでのロシアと西側欧米という対立から、ロシアとアメリカへ。核の話になればなるほど、米ロの緊張が高まるという、新しい局面に差しかかりつつあるようにも見えます。プーチン大統領は、反米レトリックを強めることによって、長期戦の戦争の支持をロシア国民から取り付けようとしている面があります。国内要因からも、アメリカに対抗するという政治的レトリックをプーチン大統領は強めているように思います。

(Q.プーチン大統領の核兵器の現況をどうみますか?)

小泉さん:ロシアの軍備計画において、戦略核の近代化が最優先であるという傾向も、20年ぐらいずっと続いています。ですから、これを見て、ものすごくびっくりしたという感情は持たなかったです。新型ICBM『サルマト』に関しては、むしろ配備が非常に遅れていて、4年ぐらい前から「今年中に実戦配備する」と言いながら、なかなか実用化できていません。まさにプーチン大統領は、この発言をしたその日にも発射実験をしたが失敗したと言われています。
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