SuiseiNoboAz / それから

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SuiseiNoboAz / それから

今 西高東低の町に立ち
過ぎ去りし積乱雲のそれからを思う
いつも道の途中 そこら中で寝起きしてきた
常に品行方正じゃいられないさ
いいことばかりあったわけじゃないが
旅に暮らす日々をとても誇らしく思う
今じゃこの灰色の脳細胞の中には
誰よりもカラフルな言葉が詰まっている
規制線をくぐり 早朝の新宿へ向かう
季節だけはしっかり変わっていることに驚く
だがいまやスクリーンは何も映すことはなく
幕が上がることもなく 音楽も聞こえず
よう あの怖ろしい朝焼けを見たか?
気が狂いそうに長く寂しい朝焼けさ
誰にも伝えない言葉は意味を持たない
今のこの気持ちを忘れないようにしないとな


始まりの予感はとても小さく
ともすれば気付かずにやり過ぎてしまう
幸福は人知れず指の間からこぼれ落ちる
俺たちの半径2メートルで起こることは
この宇宙のあちこちで起きている
思いがけず誰かと痛みを分け合ったり
後生大事に仕舞い込んでいた孤独も
実はありふれたものと知ったりする


どこかに出かけて誰かに会うのは
生きていく以上 当たり前のことだ
強く引かれ合うこの万有引力は
俺たちに許されたひとつめの権利だ
大切な友人 最愛の家族
いつも同じ耳鳴りを聞いて暮らしてきた
ここに居ない人をとても愛おしく思う
この胸の空洞から音楽が生まれる


見ろよ
今まさに
露光が残像を
結末が旅路を
優しさが孤独を
陽だまりに跳ね返る水溜りの反射が
暗がりで研ぎ澄ました鋭利な言葉を
断りもなく奪おうとしている
ありもので置き換えようとしている
甘美なる掠奪はかくもあっけなく
新しい日々が始まろうとしている


すべての夢には続きがあるぜ
あの希望には必ずパート2があるぜ
誰にも分かられることなんてないと
拗ねていた歌も 伝わったじゃないか
褒められた帰り道 喉の奥がむずがゆく
心臓の鼓動すら与えられたもので
生まれてくる五分前 聞こえた爆音は
どんなにも複雑な和音なんだろうな


魂はおそらくとても小さく
細菌やウイルスよりも小さく
悪意を生むパルス その粒子よりも小さく
まるで宇宙の始まりのように小さく
想像力 俺たちの半径2メートルで
新しい銀河が生まれようとしている
だから今は失くしたものは数えず
風上を睨み その瞬間を待つ


アスタラビスタ ベイビー
再会を誓う さよならの言葉が
今もまだ唇に余韻を残し
まだ立ち止まるわけにはいかないと思える
あれからどれほどの時が経ったろうか
どれほどの思いを受け取ってきただろうか
これから千年もの年月が経ったら
俺たちの魂は混じり合うのだろうか


すべての夢には続きがあるぜ
あの希望には必ずパート2があるぜ
どんなに理不尽で悲しい別れも
俺という人間を作りはしなかった
いま積乱雲が宇宙に背を伸ばし
強張っていた心が氷解していく
いつかはこの胸のBPMも止まる
遥か遠い昔 決められた通りに


俺たちは必ず また巡り会う
この曲が終わり それからの日々がある
12インチの真ん中は真っ白なキャンバスで
そこにどんな和音だって描くことが出来る
暗い地下街 階段を抜けると
夏の日差しが街角を照らし
千年前始まった俺らの旅路は
よく知ったあの場所で終わりを迎える


俺たちは必ず また巡り会う
あの時のドブ川が未来都市を映し
再会 肩を叩き合い 笑い合う
恋人は手を繋ぎ 磨かれたショーウィンドウに触れる
やがて狂いそうなほど青い空いっぱい
長いエンドロールが流れ始める
その全てを見終えるまでは
決して席を立つんじゃないぜ



『3020』(CD)
2020年12月9日(水)発売
SNRD-0001
¥2,600-(税抜)

『3020』(LP)
2020年12月9日(水)発売
SNRD-1201
¥3,000-(税抜)

https://ultravybe.lnk.to/boaz3020

Directed by 川辺崇広

撮影協力 小野寺愛子
     山本十雄馬
     テアトル新宿
     Cafe Muriwui

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