押井守監督作品『紅い眼鏡』4Kレストア計画PV

Описание к видео 押井守監督作品『紅い眼鏡』4Kレストア計画PV

『機動警察パトレイバー』『GHOST IN THE SHELL攻殻機動隊』の押井守監督の初実写映画『紅い眼鏡』。今は亡き東京現像所から引き上げた35mmネガフィルムを4K画質でレストアし、後世に残していきたいと思います。

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(監督からのメッセージ)
「紅い眼鏡」は僕の初めての実写作品であり、その後の実写作品を「売れない」「当たらない」「難解」「退屈」「道楽」さらには「呪物」といった方向へ導いた所謂「犬の呪い」の始まりであり、その一方でいまだに続いている「ケルベロス・サーガ」の原点でもあります。
 すでにご覧になった方々には説明不要かとも思いますが、その評価は賛否両論とか毀誉褒貶とかいうより、ハッキリ言って9割までがボロクソだった不幸な作品ではありますが、なぜかごく一部の呪われた映画好きの人々と、あの「黒い動甲冑」の発する奇怪なフェロモンに惹かれたフェチな方々にとっては「酢豆腐のように後を引く」映画になったようで、現在に至るも原版は廃棄処分されずに生き残っております。
 ありがたいことです。
 監督としてこれに勝る喜びはありません。
 そこでさらに一歩踏み込んで今回のリマスター版のお話です。
 当時としても低予算でー粗大ゴミ置き場から回収した材料でセットを組むしかなかったような、しかもモノクロ作品である「紅い眼鏡」を、なぜいまリマスターするのか?
 作品の評価は置くとして、その意義を技術的側面から説明したいと思います。

 「紅い眼鏡」をモノクロ作品として仕上げたいと考えた理由は、決して低予算だったからではありませんし、監督の趣味でそうなったという訳でもありません(それもありますが)。
 当時でもモノクロフィルムの入手はすでに困難であり、まして長編劇映画の撮影に必須でもあるフィルムのロットナンバーを揃えるという作業は困難を極めました。入手可能だったネガフィルムの絶対量には限界があり、撮影にあたってはカメラ内に残った十数秒分の端尺といえども無駄なく使用するために大切に保管され、撮影部の大きな負担にもなっていました。そこまでして、なぜモノクロフィルムに拘ったかといえば、それは一にも二にも「紅い眼鏡」という作品にとって何より重要な「紅」という色を演出的に際立たせるー色彩設計を極限まで重要な演出要素として確保したかったからに他なりません。全編モノクロームの無彩色の世界の中で、夢とも幻ともいえるような鮮やかさで浮かび上がる「紅」の色彩は、この作品がどうしても獲得しなければならない色であり、すべての演出方針はこの獲得目標に向けて決定されなければならなかったからなのです。紅一という主人公の名前も、幻影の紅い少女(赤頭巾)も、あの黒い動甲冑の暗闇に輝く電子眼の紅い色も、全てはその「紅」に向けて収斂すべき伏線だったのです。
 まあ撮影中の思いつきだったりもしますが。
 当時はデジタルなどという結構な手段は存在しませんから、ラストシーンでモノクロの世界から鮮やかに浮かび上がる「紅い少女」の色彩をワンカット内で実現するために、カメラマンの間宮さんと知恵を絞りました。その結論が「モノクロネガフィルムで撮影し、それをカラーポジに焼き付けることで、カラーフィルムの世界に擬似的にモノクロの世界を出現させる」という方法でした。この方法は副産物として、モノクロの柔和なトーンに微妙な粒状を加えて、伝統的な邦画の世界の情緒的な映像と一線を画す、という効果を上げることも可能としたのです。
 ご存知でしたか?
 実はそうだったんです。この疑似モノクロ映画はネガフィルムを確保するために奔走し、ラボでのオプティカルテストを繰り返し、映像のキレを担保するためにズームレンズの多用による現場の効率化を退けて敢えてレンズ交換を繰り返し…オカネはなかったけど手間暇だけはふんだんにかけて制作した映画だったのです。
 いやあ、本当に大変だったなあ、といっても苦労したのはスタッフだけで、監督である僕自身は初めての実写映画の現場を堪能しただけなんですけど。
 この疑似モノクロ映画の微妙な色彩の体験は、本来はオリジナルプリントの上映によってしか実感できないのですが、もし現在の技術でリマスターできるのであれば、DVDやLDでしか鑑賞できなかった方々や、遠い記憶の彼方にあるスクリーン体験を蘇らせたいという物好きな方々に、新たな映像体験を提供できるのではないかー。
 それは呪われた映画を撮って、本人も呪われた監督になってしまったオシイ個人のささやかな願望でもあります。
 というわけで、すでにDVDをお持ちの方にもお願いです。
 「紅い眼鏡」の「紅」をーモノクロの世界から鮮やかに浮かび上がる「紅い少女」をこの眼で観たい、確認したいという殊勝な方々へ今回の企画への賛同をお願い致します。
 目標額に達しなくても恨んだりしませんから。

                       押井守(映画監督)


(作品解説)
声優・千葉繁のプロモーションフィルムを作るという自主映画企画だったが、次第に企画がスケールアップして、35mmフィルム撮影での本格的な映画として完成したのが本作『紅い眼鏡』。

監督は、それまでアニメーションの監督として活動してきた押井守で、これが初の実写長編作品となった。スタッフも脚本の伊藤和典など、押井がチーフディレクターを務めた『うる星やつら』の関係者が参加している。

出演は、主演の千葉以外も鷲尾真知子や田中秀幸、玄田哲章ら声優やアニメ業界関係者が多く参加。すでに故人となった声優の永井一郎や、アニメーターの大塚康生らの動く姿が見られると言った意味でも貴重である。また、岡本喜八映画の常連として知られた天本英世が月見の銀二役で出演している。

本作は当初公開予定はなかったものの、1987年にキネカ大森で公開。カルト的な人気を博し、後の『ケルベロス 地獄の番犬』(91)や『人狼 JIN-ROH』(00)につながる「ケルベロス・サーガ」と呼ばれる押井守の作品群の起点となった。

また、押井守はアニメーション監督だったが『紅い眼鏡』以降はアニメーションの仕事と平行して実写の作品も多く手がけるようになり、その後のフィルモグラフィーの転換点となった作品である。

さらに、本作のプロデューサーで音響監督の斯波重治の起用により、音楽で川井憲次が参加。これ以降の押井作品に欠かせない、相棒ともいえる存在と出会ったという意味でもターニングポイントとして重要な作品である。

「紅い眼鏡」
1987年オムニバスプロモーション作品 ©︎押井守・バルク

原作・監督: 押井守
脚本: 伊藤和典・押井守
出演: 千葉繁・玄田哲章・天本英世・兵藤まこ・大塚康生・永井一郎 ほか
音楽: 川井憲次
製作: 斯波重治

プロテクトギアデザイン: 出渕裕
エンブレムデザイン: 高田明美
マスク製作: 速水仁司
コスチューム製作: 品田冬樹
造形アドバイザー: 安井尚志


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