成虫からは想像つかないハネの色はこの時期しか見られない【アブラゼミの羽化】

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アブラゼミ
和名:アブラゼミ
学名:Graptopsaltria nigrofuscata
分類:節足動物門>昆虫綱>有翅昆虫亜綱>半翅目>同翅亜目>セミ科

分布:北海道・本州・四国・九州
大きさ:53-60mm
時期:7-9月
食料:樹液
越冬態:幼虫
生息:樹林

アブラゼミ
油蟬 鳴蜩
学名:
Graptopsaltria nigrofuscata
カメムシ目ヨコバイ亜目セミ科に分類される大型のセミの一種。
名前の由来は、ハネが油紙を連想させるため名付けられたという説や、鳴き声が油を熱したときに撥ねる音に似ているため名付けられた説などがある。
体長は56~60mmで、クマゼミより少し小さくミンミンゼミと同程度である。頭部は胸部より幅が狭く、上から見ると頭部は丸っこい。
体は黒褐色から紺色で、前胸の背中には大きな褐色の斑点が2つ並ぶ。
アブラゼミの翅は前後とも不透明の褐色をしていて、世界でも珍しい翅全体が不透明のセミである。なお、この翅は羽化の際は不透明の白色をしている。
抜け殻はクマゼミと似ているが、ひとまわりほど小さく、全身につやがあり色がやや濃い。また、抜け殻に泥がつかないのも特徴である。
日本(北海道から九州、屋久島)、朝鮮半島、中国北部に分布する。人里から山地まで幅広く生息し、都市部や果樹園でも多く見ることができる。
かつては都心部でも最も多いセミであった。しかし、環境の変化やヒートアイランド現象の進行等を背景に、一部都市では生息数が減少している。
一方、本州日本海側や九州の多くの地域では減少しておらず、むしろ優勢な地域が多い。特に北陸地方では、近年アブラゼミの勢力が著しく強くなっている。
東京都内でも全体的には現在でもアブラゼミが最も多い。ただし、このようなセミ類の増減動向は、周囲環境の変化や年ごとの気候条件によって強く左右される。
アブラゼミは幼虫・成虫とも、クマゼミやミンミンゼミと比べると湿度のやや高い環境を好むという仮説がある。
都市化の進んだ地域ではヒートアイランド現象による乾燥化によって非常に生息しにくい環境となっており、乾燥に強い種類のセミが優勢となっている。
つまり、東京都心部ではミンミンゼミに、大阪市など西日本太平洋側の大都市中心部ではクマゼミに置き換わっているという説もある。
また、セミは地中の湿度からも多大な影響を受ける。湿度が比較的高い九州南部よりも、瀬戸内地方の都市部や静岡県の市街地のほうが減少ペースが早い。
この現状を考慮した場合、仮説は正しいということになるが、それを立証する研究結果はまだ出ていない。
これらは一部の地域の話であり、都内23区や都市部の市街地、夏場の高温で知られる埼玉県内は全く減少しておらず、アブラゼミを見る機会が最も多い。
本種が都市で減少した直接の要因として野鳥による捕食が重要であることがアメリカ昆虫学会誌に報告されている。
アブラゼミの成虫の天敵は主に野鳥であるが、都市での捕食圧は極めて高く、ほとんどのアブラゼミが捕食される。逆にクマゼミへの捕食圧は都市では低くなる。
この差は、それぞれのセミが天敵から逃げる方法(捕食回避戦略)による。
天敵に気付いたアブラゼミは周辺の樹木に隠れるので、都市など樹木が粗な環境では隠れるのに手間取り捕食されやすくなる。
対するクマゼミは、木に隠れず飛んで逃げるので、周囲の空間が開けているほど効率がよくなるため捕食されにくい。
成虫はサクラ、ナシ、リンゴなどバラ科樹木に多い。成虫も幼虫もこれらの木に口吻を差しこんで樹液を吸う。そのため害虫として扱われることもある。
成虫は7月から9月上旬くらいまで多く発生する。オスがよく鳴くのは午後の日が傾いてきた時間帯から日没後の薄明までの時間帯である。
鳴き声は「ジー…」と鳴き始めた後「ジジジジジ…」とも「ジリジリジリ…」とも聞こえる大声が15~20秒ほど続き「ジジジジジー…」と尻すぼみで鳴き終わる。
単調で抑揚のあるニイニイゼミと識別出来る。この鳴き声は昼下がりの暑さを増幅するような響きがあり「油で揚げるような」という形容を使われることが多い。
このセミは「夜鳴き」をすることで有名である。もともとこのセミは薄暗く湿度の比較的高い時間帯を好むため、最も盛んに発声活動をするのが夕刻時である。
深夜の発声活動はその延長であるが、生息密度がある程度高い時期にしか普通は鳴かない。クマゼミ、ミンミンゼミも生息密度が高い時期は夜中に鳴くことも多い。
しかし、これらのセミと比較してもアブラゼミは特に夜鳴きをしやすいセミであるため、少しでも生息密度が高くなればすぐに夜鳴きをする傾向がある。
樹上性で各種樹林、社寺境内、公園などに生息する。針葉樹林(植林地)~照葉樹林まで幅広く、果樹園や市街地にも多い。幼虫は地中性。
発生は年1回。7月中旬~9月上旬。卵期は300日型。翌年の梅雨時に孵化する。幼虫期間は6年~7年。そのため最初の冬は卵、その後は幼虫で越冬する。
昼行性だが一日中活動するわけではなく、特に晴天時には朝~午前11時ごろまでと午後3時以降によく鳴き、正午前後にはほとんど鳴かない。
市街地など街灯の多い場所では夜間でも鳴いている場合があり、時に燈火に飛来することがある。
成虫の天敵はオオカマキリなどのカマキリ類、ヤブキリなどの捕食性キリギリス類、造網性クモ類、徘徊性クモ類。卵の天敵はウシカメムシなどのカメムシ類。

アブラゼミの動画
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