「保護猫」の預かりボランティア　命を守り、自分たちの生活も豊かになる取り組み　広島

ＳＤＧｓの取り組みを紹介する「フューチャースマイルプロジェクト」です。みなさんは「保護猫の預かりボランティア」をご存じでしょうか？今、この取り組みが命を守る大切な役割を担っています。

コロナ禍で在宅時間が長くなる中、ペットと人との関係が深くなった一方、ペットを飼いたくてもできない人もいます。広島市に住む坂下さんもそんな事情を抱えた一人です。

【坂下恵都子さん】
「私と長女にアレルギーがあります。猫のアレルギーがあるのです」
Ｑ長期間飼うことは難しい？
「できないですね」

それでも猫好きの恵都子さんには、「猫を飼いたい。子供たちにも動物と触れ合ってほしい」そんな思いがずっとありました。妻の願いをかなえたのは猫好きの夫の泰靖さんでした。泰靖さんが見つけてきたのは『猫の預かりボランティア』です。

【坂下恵都子さん】
「一生猫は飼えないと思っていたのですが、『そういうのがあるよ』と主人に言われた時にこれはチャンスかもしれないと思って」

かつて広島県は犬と猫の殺処分の件数が国内で最も多く、２０１１年度には犬だけで２３４２頭が殺処分されていました。
しかし、２０１６年、殺処分ゼロを目指した行政と動物愛護団体などの取り組みによって動物の殺処分は大幅に減少されました。
しかし、保護される犬や猫が減っているわけではありません。
動物を保護する施設にも限界があります。そこからあふれた犬や猫たちは動物愛護団体やボランティアのもとで育てられているのが現実です。

【保護ボランティア・明東佐知さん】
「多い人は１軒に２０匹とか３０匹とか、自分たちでお金を出して自費で自分の家を改装して猫たちを預かっている状態で、みんなで協力し合って何とかまわしているというのが現状だと思う」

増加する保護された猫たちには短期間でも預かって飼ってくれるボランティアが必要です。
坂下家にやってきた子猫。『預かりボランティア』の濱里真由美さんから届けられました。
将来、誰かに引き取られ飼ってもらうためには、様々な環境に対応できる能力も必要になってきます。

【預かりボランティア・濱里真由美さん】
「その家、家で色々な環境に行ける方が子猫たちにとっても将来的にいいのかなという気はしています」

命を守り、自分たちの生活も豊かになる。それこそが目指す理想のカタチです

【坂下恵都子さん】
Ｑどれくらいの期間飼いますか？
「預かり（飼育）では短くて３日か４日から長くて２週間です。我が家は２週間が限度かなと思っています。短期間でもいいから（猫を）預かれるこっちとしてはメリットなのです。長期では飼えないので３日でもいいから猫と一緒に暮らしたい。その夢がかなったので我が家としてはありがたい」

呉市に住む、車地かほりさん。これまでずっと保護猫を飼っていました。

【車地かほりさん】
「私は子どもの比から猫が大好きで、保護猫を飼ったのは今回のジョジョで３匹目です」

ジョジョは人に対する警戒心が非常に強く、車地さん以外の人の前には姿を見せることがありません。この日もついにジョジョを見ることはできませんでした。車地さんは以前飼っていた猫が死んだ後も、保護された猫を飼おうとしましたが、そこにはハードルがありました。年齢というハードルです。

【車地かほりさん】
「もし私が万一に猫を飼えなくなった時には（猫を）引き受けて頂けるということで保証人になってもらえるということで」

Ｑ保証人がいるのですね？
【保護ボランティア・明東佐知さん】
「そうですね。特に６５歳以上の方が（飼う）猫というのは飼い主に何かあった時には今回は私たち近所の者が縁があって捕獲したので、私の方で最終的には何かあったら猫を引き受けようと思って」

保護猫を飼うには様々な条件をクリアしなければなりません。ボランティアの人を保証人として猫の預かり飼育ができるようになりました。車地さんはこの状況を少し疑問に思っています。

【車地かほりさん】
「老人と犬や猫はすごく相性がいい。動物セラピーがあるくらいで、今１人暮らしの年よりも多いし、そういう中で（猫の）里親を探すのも結構大変な中で、もう少し柔軟に考えて組み合わせができたら身寄りのない犬や猫も助かるし、高齢者もさみしさがまぎれるというか」

一時的にでも預かってくれる人がいること。それは保護された猫を育てる命の最前線でも切実な問題なのです。

【保護ボランティア・明東佐知さん】
「預かりさんですよね。１次的なまだ少ないですね。私たちは主に声がかかったら捕獲をしに行く、見つけて捕獲をしてできれば譲渡までこぎつける。その間に捕獲した仔猫たちや猫を一時預かりしてくれる家を、いつも探すのに困っている。そういう時に車地さんのような方がいらっしゃると、うちでいいですよと、ホームステイですよね、ホームステイさせてもらうととても助かります」

猫を保護した人。行き場のない猫を飼っている人。一時的に預かる人。様々な人たちが命を守ろうとしています。
荷堂美紀さん。荷堂さんのグループはその人たちの間をつなぐ役割をしています。

【ワンミャツダクラブ代表幹事・荷堂美紀さん】
「それぞれのボランティアや里親候補とか預かりさんとか、できることがそれぞれのピースがあって『できること』『できないこと』がそれぞれ違う。それをみんなでどのようにピースを合わせていったら１匹を救っていけるか、そこのできることやできないことを繋いでいくことをクラブはサポートしたいと思っています」

昨年度、県内で殺処分された猫は２２匹でした。
しかし、『殺処分ゼロ』を掲げる一方で、現実に起こっている問題があります。

【保護ボランティア・明東佐知さん】
Ｑオーバーフローしないのですか？
「（ボランティアが飼っている猫が）飽和状態寸前の所はたくさんあります。本当にたくさんあって、私たちが知っている限りの所にはなるべく声をかけて、今、預かりさんの所が空いたら『どうですか』と声をかけて」

【ワンミャツダクラブ代表幹事・荷堂美紀さん】
「ボランティアの方に負担がかかる形で成り立っているので、そこをある程度、行政もしっかり入ってもらうしボランティアも連携しながらやっていく。そこがシステムが整っていくとより良いのではないかと感じます」


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