『最終鬼畜妹フランドール・S』をバイオリン超絶技巧アレンジで弾いてみた【東方 cover】

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【神曲をバイオリン超絶技巧アレンジで弾いてみた】シリーズ第8弾は、ビートまりお様による東方アレンジの「最終鬼畜妹フランドール・S」を演奏させていただきました。

今回は原曲「U.N.オーエンは彼女なのか?」のモチーフを取り入れ、フランドール・スカーレットにふさわしいアレンジで弾いたので演奏法解説の方、もし最後まで読んでいただけたら大変嬉しいです。

◆ウィルの超絶マニアックな演奏法解説◆

「弾幕ごっこ」というように、フランの決闘における「遊び」の感覚をヴァイオリンで表現したいなと思い、計3枚のスペルカード(テクニック・特殊奏法)を使用しました。

一つ目は「Sul ponticello&Flageolet」です。
Sul ponticelloというのは弦楽器の特殊奏法で、楽器の駒寄りで弓を擦ることによって、機械音のような固めで少々耳に障る音色を意図的に出すことができ、現代音楽などで時折り使用されます。対義語としてよく呼応されるSul tastoは、駒とは逆の指板寄り、もしくは指板上を弾くことによって、音を曖昧にして遠くで鳴っているような聴こえ方(ppなどの音色)を表現できる奏法になります。
FlageoletというのはHarmonicsと同義で、左手の指を押さえる際、弦に軽く触れる程度にすることで高音域のフルートに近い音色を出すことができるテクニックのことです。
この曲の特徴でもある高音の信号音的羅列(0:14〜)を再現する為に、この二つのテクニックを組み合わせました。本来ヴァイオリンでFlageoletを使う時にはベースになる音を1の指で押さえ、薄く押さえる4の指の幅に依存して音域が変化していく、というのが基本の過程です(例外あり)。しかしながら、オクターブの8分音符の連続をFlageoletで弾く為に毎回ポジション移動している時間が無いので、ベースになる方の音を薄く押さえ、そこにSul ponticelloを合わせることで音域が変化する仕様が淘汰され、複数の指を使用せずにFlageoletの音色を出すことができ、更に信号音ぽく表現できるというカラクリになっています。移弦を多く含んだSul ponticello自体は、指弓(右手の指を柔軟に動かすテクニック)を効果的に使うと安定した音色をキープできる印象があります。その後の数小節(0:24〜)はパガニーニのカプリス2番から、弦をまたぐ移弦奏法を採用しています。
クラシック音楽でもそうですが、小節ごとに「問い」と「答え」の繰り返しとして捉えることがよくあり、この部分の高音の信号音的羅列は気が触れている一面を持つフランの返答と解釈するのが自然で、紅魔館における決闘(メインテーマ)に入る直前の二人の会話みたいな対比の付け方ができればと試行錯誤しました。

二つ目は「左手のPizzicato」です。
前回UPした幻想即興曲では左手のピチカートを音の粒を立てる為のテクニックとして紹介しましたが、今回はそのままピチカートとして「はじく」音を鳴らしています(1:02〜)。最初のメインテーマの数小節後に再び二人の会話シーンが回想され、先程のフランの「答え」にあたる小節でピチカートを使っていますが、実は「問い」にあたる小節(1:00〜)では原曲「U.N.オーエンは彼女なのか?」のモチーフを取り入れています。アレンジと原曲の違いといえば調性(d-mollとb-moll)やBPMなどが目立ちますが、原曲のメインテーマ後にメロディックな3連符の連なるフレーズがあり、そこが個人的に好きでどうしても取り入れたかったので、3連符というモチーフをピチカートの小節と交互に入れてみたという次第です。その後のメインテーマ(1:09〜)は高音域のsul G(G線上のみで弾く奏法)と重音奏法でバリエーションを加えました。
左手のピチカート自体、パガニーニがギターを弾きながら思い付いたというように遊び心から生まれた魅せる為の演奏法の一つなので、フランの「遊び」という要素を表現するなら、と一番最初に頭に浮かんだのがこのテクニックでした。

三つ目は「Arpeggio Ricochet」です。
Arpeggio(アルペジオ)は分散和音を意味し、Ricochet(リコシェ)はフランス語で水切り遊びを意味します。数ヶ月前にUPしたカービィのグルメレースで多用したRicochetは同じ音を弦の上で複数回バウンドさせるテクニックですが、Arpeggio Ricochetは分散和音に移弦を絡めてバウンドさせるテクニックになります。ヴァイオリンの有名な曲としては、メンデルスゾーンのヴァイオリン協奏曲の第1楽章Kadenz終盤、パガニーニのカプリス1番、バッハのシャコンヌ(奏者によって異なる)などで使われています。Arpeggio Ricochetの方が聞こえは難しいように感じるかもしれませんが、同じ弦でバウンド数をコントロールする通常Ricochetの方が遥かに難易度が高いです(パガニーニのカプリス5番オリジナルボウイング等)。今回は3弦と重音半音階を組み合わせて、最終メインテーマ前(1:28〜)に採用しています。分散和音を重音で一度に捉えることができるのはヴァイオリン最大の特徴で、演奏面において音楽の幅を大いに拡張し、見た目の部分でも派手な演出を魅せるこの奏法は、ヴァイオリンの良さを凝縮し、ポテンシャルを爆発させた目覚ましいテクニックだと思っています。まさに、きゅっとしてドカーン。

因みに最後の転調にかけてのメインテーマ(1:38〜)で、譜面上数学的にフラン要素を入れてみました。ここのアレンジは基本的にメロディを引き立てるObbligatoで、d-mollからes-mollへのMelodisch-Moll-Tonleiter(旋律的短音階)を軸に構成し、そこに4連符(1拍に16分音符4つ)→9連符→5連符の並びで配置した小節を幾つか意図的に作りました。その違いをBPM200という速さで演奏のみを通して伝えるのは非常に難しいですが、単に音階の区切りを分けてその順に並べたわけではなく、小節ごとの和声構成音に基づいてⅠ・Ⅲ・Ⅴいずれかの度数が拍や連符の頭(弓の返しの一発目)に来るように調整した上で、数字として成り立っています。
現代音楽では、作曲者が譜面に数学的な並びの美しさを見出して音楽を作ることがあり、そこからヒントを得てアレンジしてみました(こういうの一度やってみたかった)。

◉今回の速弾きワンポイント◉
重音奏法(この曲では0:50〜、1:19〜など)の音程について。バッハの曲などの音価が長い重音に関しては、左腕全体の重さをかけて指の圧力を充分に保つ必要がありますが、テンポが速い曲での重音は左手より右手の工夫が重要になってきます。というのも重音は2本以上の弦を同時に弾く為、物理的には単音を弾く時よりもそれぞれにかかる弦への圧力が減少します。弦楽器は弦にかかる圧力や接する弓の毛量によって常々音程が変化していく楽器なので、決して左手だけで音程が成り立たないのがヴァイオリンという楽器の難しい点ではあります。逆に、左手と右手の条件が全て噛み合った時には、音が何倍にも増幅して楽器が響き渡ります。この現象をスズキ・メソードの創始者である鈴木鎮一先生は「共鳴の一点」と名付けています。因みにウィルはスズキ・メソード出身です。
バッハで重音を練習する際にひたすら共鳴の一点を探し歩き、結果迷走して挫折する、までがテンプレですが、一つの解決策として左手の指の圧力をかけない箇所を作ることを提唱します。特に完全5度やオクターブ等、完全音程の時です。完全5度音程は2本の弦の狭間で圧力の具合を変えて共鳴の一点を探すという超地味な練習になるのがセオリーだと思っていましたが、ある時に投げやりになってFlageoletみたいに押さえたら、いきなり共鳴音が現れて、しかもどの弦のどの指でも全ての完全5度音程が共鳴し始めました。流石にFlageoletの指の圧力だと軽すぎますが、この時に何より重要だったのが右手でした。左手に集中することが少なくなったおかげで、右手の圧力のかけ方に意識が向くようになりました。具体的には、E線&A線のオクターブは弓の圧力がA>E、A線とD線の6度はA>D、D線とG線の10度はD>Gなど、それぞれのパターンに適した弓圧の重心の差を付けることで、必ずしも左手が完璧に正確な位置にいなくても、ある程度共鳴してくれるようになります。共鳴することで楽器が響き渡り、結果的に僅かな音程の違いをカバーしてくれるという仕組みです。ただこの圧力のかけ方は、人間の骨格によって差があったり、楽器によっても違うと思うので、ぜひ自分に合った「弓圧方程式」を探してみてください。音楽的な観点でBassの方を強めに出したいなど、音量差を付ける場合は適応外になります。
速いテンポで重音を弾く際にこの技術を使うことで、左手の指に圧力がかかっていないのでポジション移動も楽に素早くできますし、右手で細かなニュアンスも表現していけるようになります。

次回の投稿もぜひお楽しみに!
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Violin Arrangement:Will Pampelmuse
Mix:Coco Garfield / Die Milch

使用楽器:窪田博和 CHACONNE"2013"

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