80キロを背負い10キロ先の山小屋まで 苦行のような歩荷の仕事 頑張れるのは「尾瀬だから」【福島発】 (23/08/06

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福島県・新潟県・栃木県・群馬県にまたがる「尾瀬国立公園」は、標高1500mに広がる動植物の楽園。この尾瀬を、荷物を背負い歩き続ける人がいる。

<若い時は150キロを背負って>
尾瀬の群馬県側の入り口、片品村・鳩待峠。午前7時、荷物を運び出す男性がいた。
「今、振り分け中です。燧小屋で69キロと尾瀬小屋がたぶん75キロくらいで、大体でもそのくらい、この時期は。それこそ20代30代くらいのときは、140とか150キロくらいは背負ったときがありましたよ」

<重い荷物を背負い山道を行く>
福島県会津若松市の渡部努さん(56)は、2023年で34年目になる歩荷。
”歩荷”は、シーズンの4月下旬から10月末までほぼ毎日、山小屋に野菜や肉など荷物を届ける。
荷物の重さは把握しているので大丈夫という渡部さんでも、立った瞬間に「行けるかどうか」と思うこともあるという。背負う荷物は、約80キロ。10キロ先の山小屋を目指す。
「きょうは乾いているので、だいぶ違いますけど。これが雨のあととか、ぬれているともうちょっと緊張感が」

<体力と精神力…歩荷の仕事>
高校時代に入った山岳部で山に魅了された渡部さん。山小屋で働いていた23歳の時、歩荷をはじめた。
「1年目2年目なんかは、そんなに上手くいかないので、滑って転んで卵割っちゃったとか、とにかく湿布ばっかり体中に。あっちこっちから安い湿布屋を探して。みんなそうでしたけどね。布団が湿布臭くて…。一つ一つこなしていく楽しさがあったんですよね」

<尾瀬を毎日歩ける贅沢>
歩荷という大変な仕事を続けられた理由を渡部さんはこう話す。
「単純に眺めているだけでいいですよね。一番の魅力は、この尾瀬だからっていうのはあります。春は春の良さがあって、秋は秋の良さがあって。毎日ここを荷物は背負いますけど、歩けるっていう。なかなかやっぱり贅沢ですよね」

「自然保護の原点」とも言われる尾瀬。かつては開発の危機にさらされ、利用者の増加で自然が破壊されたこともあった。
「自然と共に人間がいますよっていう意識は少しずつ高まってきて、今はやっぱり共存ですよね」

<80キロを背負い3時間半>
傷みが激しい福島県側の木道。より慎重に、足の裏全体で踏みしめながら進む。出発から約3時間半、福島県檜枝岐村にある燧小屋に到着した。
「ほっとして。終わったっていうのと、きょうも頑張ったなとそんな感じです」と話し、小屋で用意してくれた食事で疲れを癒した。

<歩荷は欠かせないパートナー>
燧小屋の調理担当・平野てるみさんは「ヘリだと2週間に一度くらいしか飛ばない。野菜も腐ったりするので、無駄になってしまう。歩荷さんが週2回持ってきてくれるのですごく助かっている。きょうは、もう何もなくて営業停止にするくらいだった」と冗談交じりに渡部さんへの感謝を語る。

「30年以上やってますけど、ご苦労様と言う言葉を毎回かけてくれるので、やりがいがありますね。使命感が出ます」と渡部さん。

燧小屋の平野陽一さんは「自分たちの生活、小屋の運営にはなくてはならない。自分たちの右腕という言い方は失礼ですけど、人生のパートナーみたいな存在」だと話す。

<特別ではなく尾瀬にかかわる一部として>
ヘリコプターでも行われる荷物の輸送。それでも、尾瀬で歩荷が必要とされる限り。
「歩荷は尾瀬があってだし、山小屋との関係性も、今一緒にやっている仲間とかも楽しいですから。特別な存在じゃなくて、尾瀬の中の一つの単純な仕事として、淡々と残っていければ一番いいと思います。多分、尾瀬が体にしみ付いてるんだろうなと思うんですけど、自分が思ってるよりは多分、相当。離れる時に、さらにわかるんですかね」

気負わず、自然に、ありのまま。尾瀬とともに生きていく。きょうも歩荷が歩いている。

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