十日の菊  石川さゆり

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村松梢風の原作による「残菊物語」をモチーフにした曲で、2009年にリリースされました。歌舞伎界の名門、二代目「尾上菊之助」と、家柄・身分の異なる「お徳」との悲恋を描いた作品です。「お徳」との愛を貫こうとして、結局、地方の小劇場廻りに身をやつすことになった菊之助を見かねて、「お徳」は身を引く決心をし、それと引き換えに、菊之助は、再び、晴れの舞台に上がることが許されるようになります。やがて、「お徳」は重い病を患い、静かに天国に旅たつことになりますが、瞼を閉じた「お徳」の心には、菊之助の晴れ舞台の姿が、ありありと浮かぶようでした。

広辞苑によりますと、「十日の菊」とは、「時機に遅れて役立たないもの」のたとえを表した慣用句だそうです。陰暦の九月九日は「菊の節句」ですが、その日を過ぎてしまった「十日の菊」では、時機に遅れて役にたたない、ということのようです。

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