北岡伸一 国際協力機構(JICA)理事長 「国連と日本人」③ 2016.2.24

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Shinichi Kitaoka, President, Japan International Cooperation Agency (JICA)
JICAの北岡伸一理事長が、日本政府国連代表部次席代表(2004年4月〜2006年9月)を務めた経験をもとに国連で日本が果たすべき役割について話し、記者の質問に答えた。
司会 杉田弘毅 日本記者クラブ企画委員(共同通信)
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記者による会見リポート

国連改革と安保法制が問うもの

戦後70年「安倍談話」を方向付けた有識者会議の座長代理を務めた北岡伸一氏は今、国際協力機構(JICA)のトップとして再び国際舞台に立っている。今年、11回目の非常任理事国として日本が本腰を入れる国連改革について熱っぽく語った。

「常任理事国になるメリット何ですか、って聞く人には顔洗って出直してほしい」。冒頭から歯に衣着せぬ北岡節が飛び出す。

国連加盟60年を迎えた日本政府が目指す常任理事国入りへのハードルは高い。国連憲章改正のための加盟国の3分の2の賛成、さらに常任理事国5カ国全ての賛成が必要だ。

かつて北岡氏が国連代表部次席大使時代の2005年、常任理事国拡大を含むG4(日本、ドイツ、インド、ブラジル)の国連改革案に「100カ国の賛成は確保した」という。 その時北岡氏は「3分の2は無理でも100対40位の結果を出せば次につながる。思い切って投票に持ち込むべきだ」と主張したが、当時の小泉政権は受け付けなかった。無念をにじませる北岡氏は現在、まず「準常任理事国」をつくるモデルB案から出発し、10~20年後に功績があった国を常任理事国にする「レビュー条項付きのモデルB案」が現実的な出発点と説く。

「加盟国で常任理事国を一つ増やすアンケートをやれば1位は間違いなく日本」と誇る一方で、外交舞台の日本人を見る眼は冷徹だ。「議論の仕方、下手ですね」とチクリ。質問に対し多くをはぐらかす「国会審議」のスタイルに陥りがちで、「キーポイントのみピシャっと答える」のが重要だという。また「知的格闘技」において過剰な反論は逆効果で「北朝鮮と日本が再反論でやりあうのを周りは面白がってみている。慰安婦問題もやりすぎる反論も問題だ」と警告した。

北岡氏は「日本に常任理事国の資格はある」と繰り返し強調した上で「いざとなれば危険を負担し、血を流しても世界の平和と安全に貢献する覚悟はあるか」と問いかけた。自衛隊の活動拡大をめぐり、昨年の安保国会では避けて通られた国際貢献の本質の一つがそこにある。安保法制とはコインの裏表となる常任理事国入り問題で今後、真正面の議論は進むだろうか。

日本テレビ政治部長
伊佐治 健

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