Alfred Fissinger / Suite for Marimba

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アルフレッド・フィッシンジャー/マリンバ組曲

演奏 鈴木孝順(https://zu-music.com/)

1. Mist 0:21
2. Rendezvous in Black 5:17
3. Esch s/ Sure 7:14
4. Bastogne Convoy 11:33

アルフレッド・フィッシンジャー(1925-)のマリンバ組曲は『事実上最初の無伴奏マリンバ作品』とされている。有名なマッサーのハ長調練習曲は1948年出版であり、本作品は1950年の出版であるが『練習曲などを除いた芸術作品』と読み替えれば現状で成り立つ点があるといえよう。
4楽章から成り立つこの作品は、出版から70年たった今でも極めて特異な書法をしている点が興味深い。
3.5オクターブの限定された音域、旋法的な音素材などはその最たるものである。

マリンバ組曲は、彼の言葉によれば、自身の第二次世界大戦におけるヨーロッパでの体験を記したものだとされる。
●1楽章は≪霧≫。歩兵だった彼が、あるいは芸術家だった他の軍人が、早朝の霧の静けさの中で取り巻く環境から意識を離し、自身の精神世界で感じた静けさ、幸福、希望を捉えようとしたというもの。全編はSATBの4声トレモロで構成されるが、基本的にはS+T、A+Bの配置が意図されており、現代からみても特徴的な配置である。フィッシンジャーのトレモロへの探求心が見て取れる。
●2楽章は≪黒のランデブー≫。ルクセンブルクの樹木が茂った山々を、冷える真夜中にパトロールする自身の体験に取材したもの。危険と隣り合わせの緊張感や、任務を完了し基地に戻る際の速さを表現している。大譜表も手順や声部に基づいて記譜されており、奏者への配慮がなされている。グリッサンドにおいて始まりや中間の音程を装飾音符を用いて明確に記譜している点も興味深い。
●3楽章は≪エッシュ・シュル・シュール≫。これはルクセンブルク北西部の小さな村の名前であり、冠雪した山々や近くを流れるシュル川、そして小さな家、廃墟といったものを山の上から見た時の平和と静けさを表現している。1楽章同様のトレモロの楽章だが、単声の歌から始まったのちにリズム素材が次第に消散し、低声におけるト音の穏やかな持続に収斂する。付加6と9の和音(第3音省略)で閉じられるが、配置によって響きの差がマリンバでも充分に感じ取ることができるようにという彼の細やかな配慮が感じられる。
●4楽章は≪バストーニュ部隊≫。ドイツ軍の最後の反撃に備え、前線へ移動する緊急事態の様子を描いた楽章。この楽章のみ記譜上でトレモロの指定がなされている。VeryFast – with dashと記されている通り快速に進むが、手の開閉を伴うテクニックなどで多くの困難が奏者に課せられている。
全楽章通して大譜表で記譜された点は、特にこの時代においては稀有なものであった。当時のマリンバという楽器の表現の幅を最大限まで引き出した作品である。

演奏にあたってはPERCUSSION ARTS版を用いた。現在ではKeyboard Percussion PublicationsによるL.H.スティーブンス版が普及している。


使用楽器 / KOROGI PF3000AF(5.7oct.)
マレット
1&3 mov. Resta-jay 神谷百子モデル 緑青青赤(2334)
2&4 mov. Playwood 菅原淳モデル M-3002

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