空を飛ぶ夢(仮)

空を飛ぶ夢

街が見渡せる高層ビルの上で
金網をよじ登って笑っている君
｢空を飛んでいるみたいだよ｣って
手招く君の腕の包帯が靡く

君を知りたくて僕も続く
金網をよじ登って隣に立った
空を飛んでいる感覚 なんてなかった
ここから落ちる気がして怖かった

遠くなんて見ない方がよかった
君を見失って怖くなった
君をずっと見ていたかった
どこかに行ってしまいそうで

ここから飛び出せば遠くに行ける気がした
何よりも遠くまで
隣で何処かを見ている君が遠いよ
何処にも行かないで

ボロボロの翼を広げて風を切る君が
痛いって涙を浮かべた
無理しなくていい。なんて言えなかったよ
羽ばたけない僕らは
何処にも行けなかった



何度も折られた翼
もう自由に飛べはしない
それでも駄々をこねる
頭が煩い

許せないとかもうどうでもいい
地獄に落ちろとかどうでもいいんだ
治らないなら もう
どうでもいい

僕らは何処に行くの？
何処に行けば正しいの？
間違いだらけの道しか
選べなかったよ

これ以上何も取らないで
これ以上何も奪わないで


ここから飛び出せば近くに行ける気がした
君のすぐ近くまで
隣に君がいるのに君が遠いよ
今なら届くのに

ボロボロの翼を広げて笑っていた君が
ここから飛べないって泣いた
それでいい。なんて 言えなかったよ
自由に飛びたかったね
皆みたいに


飛べない僕らは
歩いて行こうか
草花を見たり
石ころでも集めながら

豊かさはきっと
傷ついた僕らの方が
見つけられる
そう思うんだ
だから
探しに行こう

空を飛べなくても