Bas: 清治和志　Pf: 浅倉早咲　歌曲集『沙羅』より「丹澤」作詩: 清水重道　作曲: 信時潔

歌曲集『沙羅』より第１曲「丹澤(たんざわ)」

作詩：清水重道
作曲：信時潔


【歌詞】
枯れ笹に陽が流れる
背に汗うらうらと雲さえも　
冬なのに
尾根長く檜洞こえて響く澤おと
どの山も崩土の色だけは凍ててゐる
塔のむかふ町並光らせて秦野
見やる天城も明るい草附き
雪の來ぬ冬山のくぼに煙草吸うて見る
ひとり


【作品解説】
　国文学者で東京音楽学校（現：東京藝術大学音楽学部）教授だった清水重道の詩によるこの歌曲集は、信時潔の歌曲作品を代表するもので、あらゆる虚飾をかなぐり捨てて、歌そのものの本質に眼を向けた枯淡で味わい深い音楽性を成している。作詞・作曲は1935年に行われ、翌年に発表された。
歌曲集『沙羅』は、
⒈丹澤
⒉あづまやの
⒊北秋の
⒋沙羅
⒌鴉
⒍行々子
⒎占ふと
⒏ゆめ
の全８曲で構成されており、どれも日本古来から現代に至る純粋な日本的心情が詩と音楽の融合によって香ってくる。
今回演奏した「丹澤」は、冬の丹沢山（ 神奈川県相模原市緑区と愛甲郡清川村、足柄上郡山北町の境界に位置する山）から見て感じられる自然の安らぎと孤独の一時の内容となっている。

【プロフィール】
清治和志(せいじかずゆき)
宮城県仙台市出身。桐朋学園大学声楽専攻卒業。現在桐朋学園大学大学院に在籍中。
第８回、第９回東京国際声楽コンクール高校生部門本選にて入選。
第７０回、第７１回宮城県高等学校声楽コンクールにて優秀賞受賞。
今年５月、イル・テアトロオペラ千代田制作の『Tosca』にてアンジェロッティ／シャッローネ役で舞台デビュー。その他外部のコンサートや舞台に多数出演。

浅倉早咲(あさくらさき)
福島県出身。桐朋学園大学ピアノ専攻卒業。現在ピアノ講師をしながら演奏活動中。
2022〜2024年に大田区オペラ・アルモーニアの稽古ピアニスト、本番ピアニストとして全幕勉強会、ガラコンに出演。
最近はヴェルディのお父さんアリアに涙腺をゆるませております…。
「あさくらの蔵」
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