【電子処方せん】 医療機関“戸惑いの声”?情報流出リスク懸念も?『知りたいッ!』

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1月26日から、「電子処方せん」のシステムが導入されます。私たちが紙で持って行っていた処方せんが、電子化されることになります。どのようなメリットや課題があるのでしょうか。

●お薬手帳なくても?
●情報流出リスクは
●使える場所は?

以上の3つのポイントについて、詳しく解説します。


■「お薬手帳」から「電子処方せん」へ 患者にメリットは?

これまでは「過去のお薬情報」は、それぞれの病院や薬局でしか見ることができず、「お薬手帳」で確認していました。しかし電子処方せんでは過去3年間の薬の情報がサーバーに集められ、医師・薬剤師が確認することができます。

例えば「別の病院で処方された薬と今回の薬が“重複”しているので、処方するのはやめましょう」と重複を避けたり、「A病院とB病院で処方された薬の“併用”は危険」だと、いわゆる“飲み合わせが悪い薬”を確認して、処方を避けたりすることができる、といったメリットがあります。

■厚労省「マイナンバーカード」推奨 「情報流出リスク」懸念も

電子処方せんの発行にあたり厚生労働省は、「マイナンバーカード」の利用を推奨しています。電子処方せんを利用できる医療機関に設置されている「顔認証カードリーダー」に、マイナンバーカードを置くと自動で読み取られるので、あとは画面の案内に従って操作します。

まず、顔認証などで本人確認を行った後、「紙の処方せん」・「電子処方せん」を選ぶ画面が出てきます。そこで「電子処方せん」を選べば、診察の後、医師が電子処方せんを発行する仕組みとなっています。

かかりつけの薬局が電子処方せんに対応しているかわからない場合、「紙の処方せん」を選べば、どちらの場合でも薬局は対応してくれます。

「マイナ保険証」を事前登録しておくと手続きが簡単ですが、事前登録していない場合でも、マイナンバーカードを持って行けば利用はできます。医療機関でマイナンバーカードを初めて利用する際に同意すると、「マイナ保険証」の初回登録へと進み、私たちが持っている「健康保険証」のデータと情報がひも付けされます。これによって、過去3年間の薬の情報を医師・薬剤師が確認できるようになります。

厚生労働省は「電子処方せんの情報はインターネットからは分離されていて、医師・薬剤師など限られた人しか見られない」としています。ただし、それぞれの医療機関で電子カルテとつながることになるため、情報管理は病院・薬局が行うことになるそうです。

2022年10月、大阪府の病院がサイバー攻撃を受け、すべての電子カルテが使用不能になりました。このため緊急以外の手術や外来診療が停止されるなど、深刻な影響を受けました。私たちの健康に関わる「個人情報のセキュリティー」をどう確保していくかが課題になってきそうです。

■医療機関“戸惑いの声”全国178施設のみでスタート 

スタートにあたって、もう1つの課題は“電子処方せんを利用できる医療機関が少ない”という問題です。26日から開始する医療機関は、全国で178か所にとどまります。厚労省によると、東京23区で対応している薬局があるのは中央区・新宿区・杉並区・足立区の4区のみで、病院・クリニックは対応していません。

まだ導入していないという医療機関からは、「新型コロナウイルス第8波の対応もあって、新しいシステムの構築は作業の負担が大きい」、「今回の導入は急な感じがする。どんな準備が必要かも分かっていない」、「メリットは理解できるが、患者もそこまで求めていないのでは」などの戸惑いの声も聞かれました。

政府は2年後の2025年3月までに、すべての医療機関・薬局で電子処方せんを開始したい考えです。

     ◇

電子処方せんのメリットを最大限発揮するには、一刻も早くすべての医療機関で使えることが大切です。一方、利用が広がるに伴って、個人情報漏えいのリスクも高まります。安全・安心に対する対策は確実にやっていってほしいと思います。
(2023年1月25日放送「news every. 」より)

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