「家内には見せられない。見たら死ぬと思う」犯人からの手紙で知る娘の最期 父親の終わらない哀しみと後悔

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今から12年前、熊本市で当時3歳だった女の子が大学生に殺されました。命日である3月3日、女の子の父親は「今でも娘に申し訳ない」と話し、心の傷は今も癒えることはありません。目に涙を浮かべながら遺影に手を合わせるのは清水誠一郎(しみず せいいちろう)さんです。12年前のこの日、熊本市のスーパーで大学生の山口芳寛(やまぐち よしひろ)受刑者に当時3歳の娘、心(ここ)ちゃんを殺害されました。山口受刑者はトイレで首を絞めた心ちゃんをリュックサックに入れ、スーパーを出ると近くの排水路に遺棄したのです。十三回忌法要を終え、清水さんは次のように話しました。清水誠一郎さん「怖い時間、苦しい時間を彼女は1人で乗り越えたと思っています。その恐怖が私には今でも申し訳なく思う」娘の最期の時間に何があったのか…事件から7年後の2018年、清水さんは便箋2枚半にわたる「犯人からの手紙」を読んでいました。清水さん「娘を殺した人間がどんな人間か、それを自分が元気なうちに分からないといけない」そこには、裁判で明らかにされなかったあの日の出来事が…

犯人がわかりました どういう人間なのか

刑が確定したあと、山口受刑者から清水さん宛に手紙が届くようになりました。清水さんは一度も目を通すことはありませんでした。しかし5年前、それを読む決心をしたのです。何が書いてあっても最後まで読み通す覚悟はできていました。「犯人からの手紙」に目を通した後、清水さんはあふれる涙をこらえきれませんでした。清水さん「家内には見せられません。見たら死ぬと思います」最後まで山口受刑者から謝罪の言葉はありませんでした。清水さん「犯人が分かりました。どういう人間なのか」手紙を読んで分かったのは、山口受刑者が「裁判で真実を語っていなかったこと」そして「娘や家族が救われることはない」ということです。清水さん「なぜ人を殺して命を奪った人間が今平然として生活ができているのか。もっと悔やまないといけない、もっと人の命のことに悲しまないといけない、私たちよりももっと苦しんでいかないといけない、そんな人間がそれくらいでいいのか」清水さんは自分が亡くなった時にはこれらの手紙を家族に見せず焼却するよう弁護士に依頼しています。

あの子のために せいいっぱい自分のできることを

残された家族の時間は止まったまま。それでも清水さんはこれ以上の哀しみが生まれないよう心ちゃんと共に訴え続けます。「年数が経てば経つだけ、人は苦しくなると思います。ただその苦しさの中にも、うちの場合はあの子のために精一杯自分の出来ることをやりながら、自分の人生を精一杯生きて、自分なりの終止符を打ちたい。」わが子を奪われて12年。生きていれば今年、高校に進学するはずだった心ちゃん。清水誠一郎さん「本来なら(高校)受験を迎えている年。発表があるまでドキドキする親の感覚もあったのじゃないかなと」そして、母親は事件が風化しないようにしたいと訴えました。清水真夕さん「娘の話を小さい女の子が亡くなった悲しいだけの話にしたくない」残された家族は講演会などを通し、事件を伝え続けます。

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