【将来の“年金支給額”】増える?…改革案の中身 「増税」「赤字国債」も? “106万円の壁”は撤廃へ【

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将来受け取る年金額を少しでも増やそうと、厚生労働省の部会は24日、改革の方向性をおおむね取りまとめました。物価・賃金の上昇率よりも給付水準を低く調整する措置を見直すことなどを議論。財源の問題はまとまらず、今後の国会での議論も注目されます。

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そこで今回の#みんなのギモンでは、「年金改革で将来の支給額増?」をテーマに解説します。

■「106万円の壁」撤廃へ…ナゼ

近野宏明・日本テレビ解説委員
「厚生労働省の年金部会は、5年に一度行われる年金制度改革の方向性を示した案をおおむね取りまとめました。今回の改革の大きな目的は、将来受け取る年金の額を少しでも増やすことです。私たちにも関係のある話です」

「まず『106万円の壁』について。パートやアルバイトなど非正規雇用で働く人たちが年収106万円を超えると、社会保険料を天引きされ、手取りが減ってしまうという壁です。これについて24日の改革案では、2026年10月をめどに撤廃する方針が示されました」

「将来的には、週20時間以上働く人全員が企業の規模に関係なく厚生年金に加入し、社会保険料を給料から差し引かれるようになります(学生を除く)」

鈴江奈々アナウンサー
「つまり社会保険料を納めて、その分将来もらえる年金を増やしていく流れにシフトしていくということなんですね?」

近野解説委員
「そうです。パートやアルバイトの方が将来少しでも多く年金を受け取れるように、年金の受取額の大きい厚生年金に入ってもらおうという取り組みだと言えます」

斎藤佑樹キャスター
「働く側も雇う側も考えなくちゃいけないポイントですよね」

■物価・賃金よりも低い給付水準の上昇率

近野解説委員
「とにかく将来もらう年金の水準をいいものにしていこうということです。今現在の年金支給額は、低く抑えられている状態です。2010年代ぐらいから物価などが上がり始めているからです」

斎藤キャスター
「物価が上がったら年金も上がるんじゃないんですか?」

近野解説委員
「できれば同じように上げたいところですが、保険料を納める若い世代の負担は今以上になかなか増やすのは難しいので、物価や賃金の上昇率ほどは年金支給の水準を上げないように調整されている状態です」

森圭介アナウンサー
「もらう側からすれば、物価は上がっているのに年金はそこまで上がっていない、ちょっと抑えられていると思うんですけど、保険料を払う側からしたら、負担を少し軽くできるという制度なわけですよね」

近野解説委員
「トータルで見ると、この調整がそういう効果も生んでいます」

森アナウンサー
「ただ今後どうなるかわからないということを考えると、かなり無理があるシステムなんじゃないかなと思うんですけどね…」

近野解説委員
「いろんな試算が出ています。経済の状況が仮に過去30年間とこれからが同じような状態だった場合には、この調整が終わるのは厚生年金なら2026年度、国民年金は2057年度となっていました」

「ただ、この調整を続けていくと物価・賃金上昇と年金支給の水準の差がどんどん開いていってしまいます。今は少しの差であっても、30年後には年金だけで生活しようとすると、今よりなかなか厳しくなるのが目に見えています」

「そのため今回の改革案で、(国民年金の)調整をやめる時期を早めるべきだ、そのための具体策としては(厚生年金も含めた)両方(の調整)が2036年度には終わっているようにすることも議論されました」

「こうすると、ほとんどの人で国民年金の支給額は2036年度以降、今の制度を続けるよりも約3割アップすると試算されています。2036年に私は64歳。もうまもなく年金、という状況です」

鈴江アナウンサー
「もうちょっと仕事は続いている年代ではありますけど、その先のことを考えての改革ということなんですね?」

森アナウンサー
「若い世代はみんな、『そんなに年金もらえないんじゃないか』って思ってるわけじゃないですか。そんなにうまくいくのかな、っていう不安は若干ありますけどね」

■基礎年金の国民年金と厚生年金の関係

近野解説委員
「そういう若い世代にも享受してもらうための調整、ということなんでしょうね。国民年金はそもそも基礎年金と言われていて、会社員もいずれもらうものですが、そこに厚生年金がプラスされるイメージです。総額としては会社員にも影響してきます」

瀧口麻衣アナウンサー
「(国民年金底上げのための)お金って、どこから持ってくるんですか?」

近野解説委員
「保険料の率は法律で決まっていますから、一定の率より上まで天引きされることはありません。国民年金の水準を上げるために、厚生年金の財布から国民年金の将来のために少し回していく」

「具体的には、今厚生年金をもらっている元会社員や元公務員らの支給額を月に数十円~400円程度マイナスし、将来の国民年金をもらう人の水準アップのために回す。今厚生年金をもらっている人には一時的に少し我慢してもらうことにしてはどうか、という議論です」

「国民年金の半分は国庫が負担しています。今回の改革案では追加で生じる国庫の負担は将来、年に1~2兆円ほど増える見込みです。そうすると、そこをまかなうために、増税や赤字国債の発行など新たな負担が発生するかもしれません」

「ただ、今40代以下の人達が将来もらえる国民年金の水準をよくしようという点では、年金部会の委員の皆さんの意見は一致しているものの、財源をどうするのか、誰がどう負担するのかという点では意見がまとまりませんでした」

「今後は部会が24日発表した案をもとに、厚生労働省が法律の案を作り、来年の通常国会に提出して成立させるということを目指します」

鈴江アナウンサー
「将来不安を少しでもなくしていけるように、知恵を絞ってもらいたいですね」

近野解説委員
「この問題は立場によってさまざまな意見があると思います。今国会の状況を見ると、衆議院の過半数を野党が占めています。国会でどのような議論が展開されるか。そこも新しい年は注目となります」
(2024年12月24日放送「news every.」より)

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