東欧ダーク・ラブストーリー映画『ノベンバー』予告編【2022年10月29日公開】

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「死者の日」を迎える11月のエストニアの寒村を舞台に、世にも不可思議な純愛を、モノクロームの映像で甘美に描いた東欧ダーク・ラブストーリー映画『ノベンバー』が10月29日(土)より劇場公開となる。

 月の雫の霜が降り始める雪待月の11月、「死者の日」を迎えるエストニアの寒村。戻ってきた死者は家族を訪ね、一緒に食事をしサウナに入る。精霊、人狼、疫病神が徘徊する中、貧しい村人たちは「使い魔クラット」を使役させ隣人から物を盗みながら、極寒の暗い冬をどう乗り切るか思い思いの行動をとる。農夫の娘リーナは村の青年ハンスに想いを寄せている。ハンスは領主のドイツ人男爵の娘に恋い焦がれる余り、森の中の十字路で悪魔と契約を結ぶ──。

 原作はエストニアの作家アンドルス・キビラークの「レヘパップ・エフク・ノベンバー(Rehepapp ehk November)」。2000年に発表されるや、エストニア内の全図書館において、過去20年間で最も貸し出された本としてカルト的ベストセラーとなる。

 現在では、フランス語、ポーランド語、ノルウェー語、ハンガリー語、ラトビア語、ロシア語に翻訳されてヨーロッパ各国で愛読されている一冊だ。

 監督のライナル・サルネットは“全てのものには霊が宿る”というアニミズムの思想をもとに、異教の民話とヨーロッパのキリスト教神話を組み合わせ映画化。その独創性に溢れた映像美が高く評価され、観客を魅了。アカデミー賞外国語映画賞2018年のエストニア代表に選出された。日本では、同年に開催された「第10回京都ヒストリカ国際映画祭」ヒストリカワールド部門で上映されたことがある。

 儚い恋心に揺れる農家の娘リーナを演じるのはレア・レスト。喜びと、ほろ苦さと、痛みなど、複雑なキャラクターを魅力的に演じ切り、本作を別次元の作品に導いた。

 男爵の謎めいた娘には、パフォーマンス・アーティストとして活躍するジェット・ルーナ・エルマニスが扮し、そのエキゾチックな容姿で無垢なる役柄を演じ、彼女の記念すべき俳優デビュー作となった。

 この2人の美しいゴシック・ヒロインの気を引こうとする農家の青年ハンスにヨルゲン・リク。憂鬱な表情を浮かべては、愛に満ちた笑みを浮かべ、ストーリーを思いがけない方向へ誘る。

 男爵には『ムカデ人間』(2010年)のハイター役でカルト的人気を誇るドイツの名優ディーター・ラーザー。スパンコールのジャケットを身につけ、凛とした男爵の力強さと痛々しさを絶妙なバランスで演じる。2017年に撮影した本作が氏の遺作となった。

 そのほか、魔女、幽霊、得体が知れない老婆などの多くは役者経験のない村人が務めたが、皆がまるで催眠術にかかったかのように、役になり切ることで、本作の悪夢的世界を彩っていく。

 夢のようなモノクロームの世界を撮影したのはマート・タニエル。その漆黒の深みと白い雪のような映像美に世界が絶賛。トライベッカ国際映画祭、ミンスク国際映画祭での最優秀撮影監督賞、アメリカ撮影監督協会スポットライト賞をはじめ、名誉ある賞を次々と受賞した。

 「死者の日」とは、10月31日のハロウィンから連続して、11日1日の「諸聖人の日」(All Saints’Day)、11月2日の「死者の日」(All Souls’Day)と続く。この「死者の日」は今まで亡くなった先祖を思い出し、追憶する日であり、「万霊節」と訳される。 日本でこれに該当する日は「お盆」(8月15日)。この日は先祖が里帰りすると信じられており、お墓などにお参りする日である。ハロウィンや万霊節はキリスト教が普及する前の土着宗教の風習が起源のようだが、キリスト教では、死者を追憶する日として重要な日となっている。

脚本・監督:ライナル・サルネット
撮影監督:マート・タニエル
セット・デザイナー :ヤーグ・ルーメット、マティス・マエストゥ
編集:ヤロスラフ・カミンスキー
サウンド・デザイナー :マルコ・フェルマース
作曲家:ジャカシェク
プロデューサー:カトリン・キッサ
出演:レア・レスト、ヨルゲン・リイイク、ジェッテ・ローナ・ヘルマーニス、アルヴォ・ククマギ、ディーター・ラーザー
2017年/ポーランド・オランダ・エストニア/B&W/115分/5.1ch/DCP
原題:NOVEMBER
日本語字幕:植田歩
提供:クレプスキュール フィルム、シネマ・サクセション
配給:クレプスキュール フィルム
(C)Homeless Bob Production,PRPL,Opus Film 2017
公式HP: http://november.crepuscule-films.com

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