くるりんご 聡明ロマンチスト

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ひとり膝を抱えて 光を遮った
401号室
映るか否か不安で
ぐるぐる包帯 本日も持ち越し
悲観楽観
光る世界が ピタリと活動を停止した
僕しかいないはずの病室で
聞き覚えのある声がした

同じ声で 問いただす君は誰?
ここは401号室
突如として 現れた閉鎖空間には
不法侵入者

ちょうど 生き別れの双子説が
脳裏をよぎったシンパシー
僕は しれっと
何故か追い払う気になれなくて
古く廃れた絵本に刻まれた
美しい その名はGrazie
年月を経て今気づく
君はたしかに人間じゃなかったと
ずっとひとりで作り上げた
夢の国で暮らしていたんだけど
境界線の向こうで 手招きされればね

きっと間違って進む僕の身を案じて
神様が寄越した君は天使
共に降り立ち
虚勢を張る 3月の空に
消えゆく 僕の涙止める

君に会いたくなった 僕の亡霊が
夜の街を闊歩して会いに行くから
廃墟と化したホスピタルの傍通る度に
字を塗り濃くなるその名前
幼い僕の右手が 無意識に書いた殴り書きのGrazie
鏡の中の自分と目が合い
呼吸ですらまともに回らず
ずっとこっから落っこちて天使になろう
なんて思ってたけど
君に会うには
真っ当に生きなきゃいかんでしょ

きっと泣き出して しゃがみこんだ僕を見かねて
神様が寄越した君は天使
共に降り立ち
臆病風に吹かれた
僕の作り出した 天使の羽ちぎる

君に会いたくなった僕の亡霊は
靴を響かせ歩を進めるのかな
顔が見たいと 口に出したあの時に
あなたが黙り込んだのは何故?
きっと間違って 進む僕の身を案じて
神様が寄越した君は天使
共に降り立ち

虚勢を張る 3月の空に
消えゆく僕の涙止めた
君に会いたくなった 僕の亡霊は
無事に君へと辿り着きましたか
今もどこかで 幸せに暮らしてるはずの
君の最後の言葉が
「ありがとう」が
焼き付いて離れない

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