「私は騙された」 苦境の中国不動産業界“鬼城”増加への懸念も

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中国で鬼の城と書いて「鬼城」とよばれる建設途中のまま放置された建物。不動産大手「恒大集団」の経営危機など業界全体が不況に陥るなか、不満を爆発させる「鬼城」の住民を取材しました。

記者
 「北京で高層ビルが建ち並ぶエリアなんですが、その一角にあるあちらの建物を御覧ください。長年、建設がストップしたまま放置されているんです」

 北京中心部の一等地にもかかわらず、長年建設がストップしたままの高層ビル。こうした建物は中国で「鬼城」と呼ばれています。雲南省で今年8月に一気に爆破解体された15棟のビルも、7年間放置されていた「鬼城」でした。

記者
 「建設中の建物の爆破があった現場です。多数の重機によって建物の残骸を撤去する作業が行われています」

 地方政府が企業に国有地の使用権を売ることで行われる中国の不動産開発。地方政府は歳入を増やす手段として推進してきましたが、中には借金に依存した見通しの甘い開発もあり、次々と「鬼城」が増えてきたのです。「4大鬼城」の1つとされる南部・広東省にある鬼城を訪れると・・・

記者
 「ここらへん、人は住んでいないように見えるんですけれども、あちら見てください。水が滴り落ちています。よく見るとですね、一番上の階、フェンスがあるんですけれども、あそこ、人が住んでいるようですね」

 中に入ってみると階段は真っ暗・・・

記者
 「隣の建物も見えています」

 最上階へとつながるとみられる扉の前で呼びかけると・・・

“鬼城”の住民
 「他の場所で聞いてみてくれ」

 建設がストップしている建物に住人が・・・。20年以上前に物件を買ったという男性を取材すると、こんな言葉が返ってきました。

“鬼城”の住民
 「私たちは騙されたんだよ」

 男性によると、マンションは1995年に開発がスタートしました。無利子での分割払いをうたい、多くの人が物件を購入しましたが、開発業者の資金繰りが悪化し建設がストップ。ローンを抱えた状態で他の物件を買う余裕もない人たちがやむなく住むことになり、不安定な水道や電力供給といった不便さを抱えて暮らしているといいます。

“鬼城”の住民
 「自分の家だと証明するものがいまだにない。消防上必要な設備が無いせいで不動産引き渡しの許可が下りないんだ。希望はあまりないよ」

 購入したマイホームが「鬼城」になってしまう・・・、実はそうした例は相次いでいます。なかには水道も電気もない住居でロウソクを灯しながら暮らす人たちの苦悩をメディアが報じたことで地元政府が対策に乗り出し、工事が再開した例もあります。

 しかし、ロイター通信によると、不動産大手の「恒大集団」の子会社が6日が期日の社債の利払いを見送るなど業界全体が苦境に陥っていて、今後、「鬼城」のさらなる増加も懸念されます。習近平指導部はいきすぎた開発などを抑えようと「不動産税」の一部導入を決めるなどしていますが、効果は不透明です。(08日18:22)

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