オランダ「水との戦い」から「共生」へ 水門や堤防、湿地帯…治水を学んだ子どもたちが考える未来の洪水対策【news23】|TBS NEWS DIG

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国土の4分の1が海面より低いオランダでは、風車を使って排水作業を行うなど、長年「水との戦い」が続いてきました。温暖化によって日本でも年々、豪雨被害が増えていますが、「水の脅威」にさらされているオランダで子どもたちが学ぶ「洪水対策」とは?

■子どもたちが学ぶ洪水対策

オランダ・ロッテルダムは土地の9割以上が海抜ゼロメートル以下です。そこに住む小学生たちが取り組むのは「水問題の過去と未来」を考えるプログラムです。

ブルーライン財団 カーレン・ファン・ブルフさん
「皆さんにグリーンな水の達人になっていただきます。それはどういうことか。風景を見る、自然をもっと見るということです」

子どもたちは教室を抜け出し、治水対策の現場に向かいます。
訪れたのは湿地帯です。かつて農地として利用されていたほか、燃料に使うための「泥炭」が掘りだされていました。

治水対策のガイド ウィルマ・ドフテロムさん
「これはストーブの燃料として使われていました。石炭はまだなかったんですね。今行われているのは、元の湿地帯に戻すということです。そうすれば、他にも野鳥が生息するようになります」

オランダでは埋め立てて土地を広げた一方で、湿地を再生し、生態系を取り戻す事業も進んでいます。

水と人間、野生生物との共生についても子どもたちは考えを巡らせます。

■タブー視された洪水の歴史

洪水の脅威に常にさらされてきたオランダ。治水政策の転換点となったのが1800人以上の死者を出した1953年の「北海大洪水」です。中でも、被害が大きかったのが南西部・ゼーラント州でした。

記者
「ゼーラント州は約70年前、高潮による深刻な被害を受けました。その後、堤防はより高く造り変えられました」

この村には、“押し寄せる高波を住民たちが止水板を押さえて防いだ”という逸話がありますが、約30年前に記念碑が建てられるまで語られなかったといいます。

歴史家 ヨハン・シュトゥルムさん
「1953年の洪水災害はオランダの人々に大きな衝撃を与え、タブー視された。伝えなければならない、伝え続ければならないと」

また政府は、この大洪水を教訓に13もの巨大な開閉式の堤防などを整備しました。

しかし、温暖化による海面上昇という想定外の問題が浮上。堤防で“水を防ぐ”だけでなく、川の幅を広げたり、遊水地を作ったりと、“水を溜めて、安全に流す”水害対策へと転換しました。

■子どもたちが考える未来の治水

カーレンさん
「子どもたちは将来何が起こるのか学んでいません。ですから、子どもたちが自分たちの問題として考える機会を増やし、解決策に参加できるようなプログラムを作らなければと考えたのです」

子どもたちが次に訪れたのは「排水ポンプ場」。干拓地であふれた水を、最大9メートルも高い位置にある川に汲み上げます。

教育アドバイザー ニールデルト・ファン・ラールさん
「もしこの建物がなかったら、土地の一部が水浸しになります。人々が暮らし、働く場所です。だから水を汲み上げなければなりません」

ツアーを終えた子どもたちは、どんなことを感じたのか意見を出し合います。

Q初めて見たものはありましたか?

女の子
「堤防の上をバスで走ったとき、片側の水位がもう片側より少し高かったような気がします」

プログラムの最後には、子どもたちの意見をイラストに仕上げます。

今回、協力してくれたのは日本人のイラストレーター・アマリコさんです。考えを視覚化することで、子どもたちが理解を深め、解決策を導き出しやすくなるのではと考えられています。

女の子
「すごく楽しかったです。将来、自然や水の汚染をなくすような活動をしたいです」

プログラムを主催する財団は、2025年開かれる大阪万博でこうした取り組みを発表することを目指しています。

カーレンさん
「過去から学ぶだけでなく、未来に目を向けて、先祖が思いつかなかったような新しい計画を立てなければなりません。子どもたちが自分たちの未来に貢献してくれることを願っています」

■日本の洪水対策は?

藤森祥平キャスター:
オランダの小学生の子どもたちが考えている治水対策をイラスト化したものには、水位が上昇したとき、高台に移動できる車輪がついている家や、水が届かないように電柱の上に家を建て、地上に行くには滑り台を通るという、かわいらしい発想もあるのですが、いかがですか。

トラウデン直美さん:
かわいいですよね。やはりフィールドワークはすごく大きいなと思います。私も小さい頃に現場に行っていろいろ見て触れて感じたものはすごく記憶に残るなと思っていたので、身の回りのことについてフィールドワークで学んでいくというのはすごく大きいなと思います。イラストを見ると微笑ましく感じますが、意外とありえちゃう未来かもなというところが今の問題の大きさだと思うんですよね。キャンピングカーみたいなものもありますけど、車輪がついた家で過ごすことになるかもしれないという、本当に起こりうることを子どもたちがイラストやアイディアで前向きに直面する問題に取り組むという…(https://newsdig.tbs.co.jp/list/articl...


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