つくば市の旧長島邸土塀を官民一体で修復

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つくば市小田にある幕末の農政学者、長島尉信(1781~1867年)の旧家跡地で進められていた土塀修復作業が完了し、20日、お披露目式が開かれた。土塀は当初、観光駐車場整備のため撤去される計画だったが、住民の要望を受け、NPO法人や造園業者らが中心に修復、地元の小学生らも手伝って完成させた。関係者は「地域の歴史を伝え、郷土愛を育む場にしたい」と活用に期待を寄せている。

 尉信は20歳の時、旧小田村(現つくば市)の名主だった長島家の養子となり、45歳で隠居し天文、暦学、測量などを学んだ。測量術を生かして土浦城の修復などにも取り組んだ。

 同家の敷地は2012年に市に寄贈され、観光客用の駐車場として整備することになり、残っていた土塀もすべて撤去する予定だった。しかし、地元住民から「地域の歴史的人物が住んだ家でもあり、土塀を残してほしい」と要望、市は一部を保存することにした。

 修復は、古民家の再生・保存のNPO法人「華の幹(き))」(飯塚洋子代表)が実施し、瓦職人や左官業者、造園業者らが協力。保存する土塀以外の土塀の土や瓦を活用した。近くの市立小田小の5年生が地元の歴史や土塀などついて学びながら、土こねや土塗りなどの作業も体験した。

 土塀は、瓦を積み上げて作る「信長塀」で関東地方では珍しい。一枚一枚が手作りとみられる3種類の瓦が使われていた。約30㍍のうち残されたのは約6㍍ほどで、高さ2・3㍍。修復に併せ、同家の歴史を解説する立て札も設置した。

 披露式には、市や修復に携わった関係者、地元住民、児童ら約30人が完成を祝った。

 小田小5年の相島世音里さん(10)は「土こねが力が必要で大変だった。塀がきれいになってよかった」と笑顔を見せた。飯塚代表は「小田地区の文化財を残す一つの指針になれば」と期待を込めた。

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