【ウマ娘mad】メジロマックイーンマン 【ウマーマン】

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貴女の声には少し癖がある。

 私と二人きりで喋る時の貴女の声は酷く落ち着いていて、普段の声とは比べるまでもなく低い。
 それはいつも爺やが珈琲を淹れてくれる時に聞こえる、粗めのコーヒーフィルターを通しているのに不思議と穏やかな音色を奏でるような…。

 私と年の差はほとんど無いでしょうに、貴女と話してるだけで私の心は不思議と落ち着いてましたわ。

「私はこの先どうなるのでしょうね…。もう…いっそのこと私も…」
 と。寒い冬の中、一人何も無い空へ呟く。悩んでる身体は熱く感じるけど、指先は凍えるほど冷たい。

 貴女が死んでしまって、私もどんどん年老いていきましたわ。

「そちらの世界はどうなんですの?」
 なんて。返事が返ってくるわけが無いというのについ問いかけてしまう。

 今も目を閉じてみれば、貴女と過ごしていた思い出は鮮明に思い出せる。トレーニングでも、レースでも。走る時に揺れる貴女の美しい髪の毛。

 本当に綺麗でしたわよね。私はメジロ家として恥が無いように、毎日毎日時間をかけて髪の毛をケアをしていましたと言うのに、貴女は特に何もしてないのにあんなに綺麗なのでしたから。

 そう思うと少し腹が立ってきましたわね。私の好きなスイーツは盗み食いしますし、悪戯はいくつになってもやめない。そんなことがきっかけで喧嘩もする時がありましたっけ。

 でも、そんな日々が楽しかったですわ。学園では貴女に悪戯をされ、嫌がらせもされていて、ずっと変な日々を送っていて、でも貴女とは良きライバルで…。

 そんな大切な日々を思い出してみたら、苦しくて、でも嬉しくて……ちょっと…いや、かなり悲しくて胸が痛くなる。

 だって、あの時の貴女の言葉が今もずっと忘れられないのだから。

 ……………。

「今日は一段と蒸し暑いですわねぇ……。それに比べ空を見上げてみたら、そんなのは関係ないと言わんばかりに月は輝いてますけど」

 まだ蒸し暑さの残るじとっとした夜。ゴールドシップに誘われ、寮をこっそり抜け出して夏祭りの会場に来ている。

『なぁなぁ。今からちょっと夏祭りに行くの付き合ってくんね?』

 なんて、このクソ暑い外に出るのは嫌なのに、誘いに乗ってしまったのは何故だろうか。わたあめとかりんご飴が食べたかったからじゃないですわよ??えぇ。

「なぁ知ってるか?月ってこの時期いつもより低いとこに出るらしいぜ?」
「相変わらず雑学においては知識が強いんですのね」

 ゴールドシップが雑学を披露してくれる。夏祭りとはいえ、こんな暑い時期に外に連れ出すなんて、何を考えているのやら。まぁ誘いに乗った私も私ですけど。

「…まぁな。なぁマックイーン。アタシさ。今暑いんだ」
「それはそうでしょう。夏ですもの。私も暑いですわ。それはもう早く寮に帰りたいぐらいには」

 何を当然のことを仰ってるのでしょう。暑さにやられてしまったんでしょうか。いやでもゴールドシップならこれが通常運行ですわね。

「けどさ。暑いはずなのに末端の指先は凍傷になってるんじゃないかってぐらい冷たいんだ。不思議だろ?」
「本当ですの?……あら、本当ですわ!」

 ゴールドシップの言う通り、手を握ってみると生きているのかと疑ってしまうぐらいには指が冷えていた。
 冬ならまだしも、今は夏なのに。

「なぁマックイーン」
「…?さっきからなんなんですの?」

 不思議と今夜のゴールドシップは落ち着いてる。まるで今から告白するような…そんな雰囲気を醸し出してるような気もする。いやいやいや私は何を考えてますの?ゴールドシップに限ってそれは無いでしょう。

「…アタシが明日いきなり死んじゃったら、マックイーンはどうする?」
「なんですの?その質問は」

 片手にはわたあめ。頭の横にお面を付け、もう片方の手で私の手を繋ぎながら、ゴールドシップはそう問いてきた。
ゴールドシップが死んだら…?


 最悪の想像をしてしまい、それをかき消すように頭を振る。それに気付いているのかいないのか、ゴールドシップは答えを急かしてくる。

「なぁなぁ〜早く答えてくれよ〜!」
「…くだらないですわね。死んでから聞いてくださいな」
「いや死んだら聞けないだろ!?」
「…そう…ですわね。線香ぐらいならあげますわよ」
「え〜?マックちゃんは泣いてくれねーの?」

 なんで急にこんなことを聞いてきたのでしょう。もしかしてゴールドシップには不知の病にかかっており、余命宣告されているとか?
 いやまさか、そんなことは…無いですよね?


「…まぁいっか。なぁマックイーン」
「…今度は何ですの?」
「アタシさ……100年経っても――――――」

 ゴールドシップが声を発した瞬間、ひゅ〜……ドッカァァン!と花火が撃ち放たれた。急な爆音と閃光で、つい花火の方へと集中してしまう。花火の音のせいも相まって、ゴールドシップの声が聞こえなかった。

「……あの、すみません。花火の音で聞こえませんでしたわ」
「あはは!やっぱなんでもないわ!忘れてくれ!」

 そう言った貴女はどこか儚げな表情をして笑っていて、また何か言った気がするけど、花火の音で聞こえなかったし、気の所為だったかもしれない。

「…ついでにアタシのことも忘れてくれよな」

 ……………。

 あぁ。あの時。本当は聞こえない振りをしましたの。貴女の告白に答えるのが怖くて、本当はいつものような貴女のドッキリなんじゃないかと。変に疑ってしまったから…。

あの次の日から貴女は私の前では笑顔を見せてくれなくなりましたっけ。そのまま疎遠になるように学園も卒業して。
 私はメジロ家を…お祖母様の仕事を引き継ぎましたわ。
 ねぇゴールドシップ。貴女は何をしていましたの?

 私はずっと貴女を想ってましたわ。結婚もせず、恋人すら作らなかった。あの時貴女から逃げたと言うのにね。笑ってもいいんですのよ?それにわたしもそろそろそちらに行きますからね。

 私がそっちに行ったら貴女の口から、貴女の声で…いつものように聞かせてくださいね。そして貴女に酷いことをしてしまったことを謝らせてください。

 空を見上げれば、あの日とは確かに大きさが違うように見える……琥珀の弓張月。こうやって月を見るだけで貴女を思い出せる。

 生涯、貴女を忘れることはないでしょう。



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