ウクライナ軍に入る女性4割増 男性総動員の一方で女性兵士が戦場で直面する課題とは【news23】|TBS NEWS DIG

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ロシアによるウクライナ侵攻からまもなく2年。長引く戦闘で、兵士不足が大きな課題となる中、軍に入る女性が増加しています。彼女たちは、なぜ前線に向かうのか。戦場で直面する課題について、取材しました。

■ウクライナ侵攻2年 軍に入る女性4割増 しかし所属部隊ではハラスメントの標的に

ロシアとの激しい戦闘が続くウクライナ前線で戦うのは女性たちです。ウクライナ国防省によりますと、ウクライナ軍の女性の数は現在6万人を超え、ロシアの侵攻前と比べ40%増加しました。男性に総動員令が敷かれた後も、兵力が不足しているのです。

ウクライナ軍の衛生兵 ハンナ・ヴァシクさん
「初めまして。私の名前はハンナと言います」

前線で衛生兵として活動するハンナ・ヴァシクさん。9か月前は、現代アートや音楽のクリエイティブマネージャーをしていましたが、なぜ兵士になったのでしょうか。

ハンナ・ヴァシクさん
「傷ついた人たちを助けるために、戦場での医療の勉強を始めました。けが人が苦しんでいるのを見るのは本当に辛いです。戦闘による傷で体が切断されていたり、腹や頭に傷を負っていたり、恐ろしいものです」

入隊後、南部ザポリージャなどで実戦を積んだハンナさん。軍での生活は戦闘以外も困難の連続でした。所属する隊で、上官から日常的に侮辱的な言葉をかけられ、ハラスメントを受けてきたといいます。

ハンナ・ヴァシクさん
「屈強で大柄な相手には決してやりません。だから細く弱そうで怖くない私を標的にしたんだと思います」

女性兵士がパワハラやセクハラを受けた場合、男性が多数を占める組織の中で理解を得ることが難しく、内部告発はリスクを伴うといいます。

ハンナ・ヴァシクさん
「今、軍内部で暴力やハラスメントを受けた場合、どうすればいいのか明確な仕組みがありまん」

こうした課題を共有するため、ハンナさんは、2月にキーウで開かれた「女性兵士のための集会」に参加しました。会場には同じような悩みを抱えた女性たちが集まりました。

■“命の重さは男性と対等”妊婦向けの軍服も

会を主催した国会議員のイリーナ・ニコラクさんは、軍服を作ることが最初の課題だったと話します。

女性兵士支援団体「Arm Women Now」イリーナ・ニコラク代表
「軍では全てのものが男性のために作られていました。軍服はおしゃれとか、そうした話ではなく、命に直結する話なんです」

サイズが合わない軍服では俊敏に動くことができず、戦場では一寸の差が命取りになります。ただサイズを合わせるだけでなく、女性たちに“自分たちの命の重さが男性と対等である”と感じてもらうことが重要だといいます。

イリーナ・ニコラク代表
「この軍服を作ることによって、女性が男性と対等な軍の一員だと実感し、キャリアを築こうと思ってもらいたいです」

イリーナさんたちのプロジェクト「Arm Women Now」では、これまでに6500人の女性に軍服を提供してきました。また、「妊娠しても軍の活動を続けたい」そんなニーズに応え、こんな軍服もあるといいます。

岡村佐枝子記者
「妊婦の人向けの軍服は、お腹まわりの部分に伸縮性のある素材が使われています」

さらに国内では、女性を取り巻く環境に変化が起きています。ウクライナ政府は、兵士不足に対応するため、2023年10月に女性の医療従事者に対し、動員に備える「兵役の登録」を改めて義務付けました。

ハンナさんは、女性の動員は体制が整ってからにすべきだとしつつ、「ロシアとの戦いが終わるまで自分自身は前線に立ち続ける」といいます。

ハンナ・ヴァシクさん
「自分たちを守るためには強力な軍隊を持つ以外選択肢はないんです。戦争が終わったら犬を飼って、緑に囲まれ静かに暮らしたい、そんなささやかな夢があります」

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