純白の夜

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純白の夜, by Wikipedia https://ja.wikipedia.org/wiki?curid=2... / CC BY SA 3.0

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『純白の夜』(じゅんぱくのよる)は、三島由紀夫の3作目の長編小説。
既婚者同士の恋と、そのかけひきの心理を高雅で怜悧なタッチで描いた恋愛小説。
純粋なヒロインの悲劇的で不条理な結末までの愛と苦悩が繊細に綴られている。
1950年(昭和25年)、雑誌『婦人公論』1月号から10月号に連載された。
三島にとって初の長期連載物である。
単行本は同年12月20日に中央公論社より刊行された。
発表の翌年1951年(昭和26年)8月31日には、木暮実千代主演で映画も封切られた。
映画には三島もエキストラで出演している。
文庫版は1956年(昭和31年)7月30日に角川文庫で刊行された。
翻訳版は、中国(中題:純白的夜)で行われている。
昭和23年の秋、ある茶会の帰り、22歳の郁子は、銀行員の35歳の夫・村松恒彦とその同僚・沢田と三人で、ドラクロアの良いデッサンが出ているという有楽町のS画廊に立ち寄った。
S画廊は恒彦の父の代から村松家と関係のある画商であった。
デッサンはすでに売約済みとなっており、買ったのは恒彦の学友であった楠であった。
楠は仕事の取引で恒彦と再び連絡を取り合うようになっていた。
楠がドラクロアのデッサンを見せに、渋谷の村松家にやって来た。
恒彦の帰宅時間が予定より遅くなり、折からの雨で女中は駅まで恒彦を迎えに出て行った。
郁子と楠は応接間での2人だけの短い初対面の間に心の中で惹かれ合った。
次の土曜日に草野井元男爵邸で行なわれるダンス教室の小舞踏会に楠も招待されていた。
ダンスの日、楠は遅れてやって来た。
パートナーを連れていない楠と郁子は踊った。
楠は積極的にアプローチし、郁子のハンドバッグに恋文を入れた。
帰宅後、郁子はそれを読み喜びでいっぱいになったが、夫にそれを見せ返事は書かなかった。
1か月後の紅葉の季節、楠の河口湖の別荘の集まりに村松夫婦も招待された。
楠は郁子にまたアプローチした。
帰京し、約束の待ち合わせの店に郁子はわざと偶然を装い、夫を伴って来た。
父親が追放令に該当し東京の家を売却したため、生活に困窮していた独身の沢田が村松家に一時、間借りすることとなった。
郁子は初めそれに反対だったが、しだいにデリカシーや皮肉のない沢田に逆に話しやすさ、心安さを感じた。
正月の年始の挨拶がてらに恒彦と郁子夫婦は麻布にある楠の家を訪ねてみた。
楠の妻・由良子は病身で寝たり起きたりの身であった。
ある日、郁子は夫に訊かれ、楠に呼ばれて2、3度会ったことと、すぐ逃げて来たことを告げた。
しかし郁子はしだいに楠の押しに屈し、接吻を交わすようになっていた。
郁子は楠を愛していたが、最後の一線は許さなかった。
恒彦は銀行へ楠を呼んだ。
恒彦は、楠の会社への融資を止めることを告げ、妻から楠への別れの手紙を渡し、公私ともに楠と絶交をすることを言い渡した。
郁子は当初、朗らかさを装っていたものの楠と会えない空洞があった。
そして夫の出張の時に、沢田と一夜を共にしてしまった。
沢田から、そのことを聞いた楠は傷つき、郁子に手紙を出した。
2人は再び、密会するようになった。
郁子は楠の疑惑を解き、自分の真心を何とかして楠にわかってもらいたいと思った。
2人は、郁子が鎌倉の親戚の通夜に行く前の短い間にも、駅で会った。
郁子は通夜の後、実家に立ち寄った折に、妹・露子がいつも、おまじないのように持ち歩いている青酸カリを何気なく自分のバッグに入れてしまった。
梅雨明け間近の日、楠はついに強引に郁子を鎌倉の扇ヶ谷の懐風苑という宿へ連れて行った。
風呂の後、郁子は家に電話を入れると言うと、楠は、全責任とるから、自分と一緒にいることを恒彦に告げるように言った。
しかし郁子は女中に、鎌倉の親戚の家に泊まると嘘をついて切った。
それを聞き怒った楠は黙って郁子を残し、宿を出て行った。
あくる朝、楠が宿に戻ると、警官や泣いている恒彦がいた。
郁子は服毒自殺していた。
郁子は死ぬ前の夜中の3時に夫へ電話をかけ、「あたくし楠さんを愛しておりますの。それなのに、楠さんはあたくしをお捨てになったの。……あたくし1人ぼっちなの。……とてもこわいの。どうしていいかわからないくらい。……だめなの。楠さんはもうあたくしをお嫌いなの。……迎えにいらしてね、きっと迎えにいらしてね」と子供のよう...

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