気分変調症【うつ病未満のうつ状態が年単位で続く、症状や治し方など8分で説明】精神科医監修

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今回は発信方法の模索のため、一部発信方法を変更しています。

0:05 (1)はじめに
0:33 (2)気分変調症はこんな病気です
1:20 (3)気分変調症の症状
2:32 (4)気分変調症の背景と原因
3:31 (5)気分変調症のつらさ
4:32 (6)気分変調症の治療
6:38 (7)周りの方へのお願い
7:29 (8)まとめ

気分変調症とはどんな病気でしょうか。「うつ病未満」のうつ状態が年単位で続き、生活等に影響が強い一方、周りからは「性格」と思われ理解されにくいのが難点です。時に抗うつ薬SSRIが有効の場合があります。
精神科医監修で要点を約8分の動画にまとめています。
監修:春日雄一郎(精神科医、医療法人社団Heart Station理事長)

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(1)はじめに
こころのトリセツ。今回は「気分変調症」について解説いたします。よろしくお願いします。
この「こころのトリセツの動画」は、実際に心の病気やつらさで悩まれている方が、ご家族や周りの人にそのつらさを説明するための動画になります。
もし、友人の方や同僚の方がこのつらさに悩まれていることがあれば、そこを理解するヒントにもなりましたら幸いです。
今回は「気分変調症」について解説します。

(2)気分変調症はこんな病気です
気分変調症は「軽めの落ち込みが長期間続く病気」です。典型的な例を見ていきましょう。
Aさんは中学生になってから、何か気分が浮かないことが続きました。
学校には通うことができ、進学、卒業し就職しましたが、浮かない状態が続きました。
その中で上司に叱責されることがあり、会社に行けなくなりました。
医師から「適応障害」の診断を受けましたが、背景に「気分変調症」があると言われました。
<気分変調症とは>
気分変調症は「軽めの落ち込みが長期間続く病気」です。
最低限の生活はできますが本来の能力が制限されてしまいます。
メカニズムとしては、うつ病と同様のセロトニンの不足も一部指摘されています。

(3)気分変調症の症状
「軽めのうつ症状」が様々な角度で出ます。
「気分変調症」では、軽めのうつ症状が様々な角度で出ます。
具体的には、まずは落ち込みや不安などの「こころの症状」。続いてが食欲の低下や増加などの「体の症状」、そして周りから見える「行動の変化」です。
①こころの症状
気持ちの落ち込み「抑うつ気分」が続き、時に「絶望感」を感じます。
また「意欲の減退」がみられ、疲れやすさが目立ちます。
そして、集中力や判断力が低下する事があります。
②体の症状
まずは「睡眠障害」不眠になる人もいれば過眠になる人もいます。
そして「食欲の変化」食欲が減る人も増える人もいます。
体の重さ「倦怠感」を慢性的に感じることがあります。
③行動の変化
長期間続くため変化よりも個性と見られやすい面があります。
まず「表情の乏しさ」表情が暗めで感情が動きにくい場合があります。
そして「反応の乏しさ」うつ症状から物事への反応が乏しい場合があります。
時に「会話の抑揚の乏しさ」声の小ささや会話の続きにくさなどが見られます。

(4)気分変調症の背景と原因
これは「脳のレベルの背景と心理的な背景の」両方あります。
気分変調症の原因はまだ不明ですが、「性格的な面」「経験の影響」「脳の不調」の3つの要素が示唆されます。
①性格的な面
まず元来の「性格的な要素」の影響が示唆されます。
また自分を責めやすいなどの「考えのくせ」の影響も示唆されます。
そして「自己肯定感の低さ」が症状の持続に影響することがあります。
②経験の影響
幼少期からの「逆境的な体験」が症状の発生や持続に時に影響します。
失敗体験からの「学習性無力感」が影響する場合もあります。
なお時に「境界性パーソナリティ障害」と合併することがあります。
③脳の不調
うつ病と同様の「セロトニンの不足」が時に背景とされます。
そのため一見性格に見えても抗うつ薬が有効な場合があります。
一方ストレスから適応障害やうつ病に移行することもあります。

(5)気分変調症のつらさ
「つらさが続く一方理解されにくいこと」が大きいです。
代表的な「気分変調症のつらさ」は、まずは年単位で「ずっと不調が続く」こと。そして「理解されにくい」こと。もうひとつが「人生への影響」です。
①ずっと不調が続く
まず、慢性的なつらい状態が年単位で持続します。
そして、気分転換なども難しくストレスが常にたまりやすい状態になります。
その結果適応障害やうつ病になりやすい状態も続きます。
②理解されにくい
経過が長く、変化が少ないため周りからは「性格」などと見えやすいです。
その結果つらさが理解されにくく、心ない言葉も受けることがあります。
その結果さらに落ち込み悪循環になることがあります。
③人生への影響
慢性的にうつ状態が続くため本来の力が発揮できません。
そして新しいことにも挑戦しにくく経験も積み重ねにくくなります。
またストレスによる適応障害やうつ病の危険が常につきまといます。

(6)気分変調症の治療
「まずは抗うつ薬の相性を見る」ことが大事です。
治療は大きく言うと2種類です。1つ目が抗うつ薬などの「薬の治療」、もう一つが自己肯定感の改善などの「心理的アプローチ」です。
①薬の治療
<薬の治療の重要性>
気分変調症では、一見性格に見えても抗うつ薬が強く効く場合があります。
心理的アプローチは大事ですが、効果は非常にゆっくりかつ負担を伴うため、薬が効くならそれに越したことはありません。
そしてもし薬が効けば、心理的アプローチも効果が出やすくなることが期待されます。
<主に抗うつ薬を使う>
気分変調症では、主に抗うつ薬「SSRI」を使います。
脳のセロトニンを増やすことで、うつ病と同様に各種のうつ症状の改善を図ります。
ただし効果には個人差あり、効果が乏しければ別のアプローチを検討します。
②心理的アプローチ
<どんな方法があるか>
様々な角度から、落ち込みの慢性化の軽減を図ります。
代表的な例は、自分を追い詰めるような「考えのくせの調整」、日々の行動を見直す「行動活性化」、そして「自己肯定感の改善」があります。
<考えのくせの調整>
自分を追い詰める考えの癖が自己否定や「うつ」の慢性化につながります。
まず感情が動く場面での自分の「考えのくせ」を見つけていきます。
そこで「別の考え方はないか」視点を変えるなどして見つける練習を日々続けます。
<行動活性化>
動くことが脳に刺激になり意欲の改善につながるため、活動を増やすことが大事です。
まず日々の生活を振り返り、自分の活動やその影響を「行動分析」します。
そして徐々に、日々の活動を「より効果のある活動」に置き換えていきます。
<自己肯定感の改善>
自己肯定感が低いと、自己否定からさらに落ち込みが続く悪循環になります。
対策は小さいことでいいので「うまくいった」成功体験を積み重ねること。
すぐには効果は出ませんが、地道に繰り返すことで徐々に改善を期待します。

(7)周りの方へのお願い
「つらさを理解し、ゆっくり見守ること」が大事です。
周りの方へのお願いですが、まず1つ目は「ご本人のつらさを理解する」こと、そしてもう一つが「ゆっくり見守る」ことになります。
①つらさを理解する
気分変調症は特に一見わかりにくく「性格」のように見えてしまいます。
しかしそれできつい声掛けをすればさらに自己否定からの悪循環を招いてしまいます。
これも「こころの病気」とご理解いただき、そのうえでの声掛けをいただけると幸いです。
②ゆっくり見守る
仮に薬が効いても心理的アプローチの継続はしばしば必要になります。
しかし、心理的アプローチは改善するまで時間が非常にかかります。
周りがあせらせてしまうとストレスが強まり逆効果になるため、焦らずゆっくりと見守ることが周りの方の対応として大事です。

(8)まとめ
今回は、こころのトリセツ「気分変調症」を見てきました。
気分変調症は、うつ病まで行かないうつ状態が年単位で続く病気です。
実際に生活や人生への影響は強く、かつそこに「理解されにくい」つらさが加わります。
「抗うつ薬」と「心理的アプローチ」の2つが治療の柱ですが、時間は非常にかかります。
そのため、周りとしては病気を理解しつつ焦らずにゆっくりと見守ることが大事になってきます。

こころ診療所グループ(医療法人社団Heart Station)
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【監修者】
医療法人社団Heart Station 理事長 府中こころ診療所院長 春日雄一郎
精神科医(精神保健指定医、日本精神神経学会精神科専門医)
2005年東京大学医学部卒業、NCNP病院、永寿会恩方病院等を経て、2014年に府中こころ診療所を開設、その後医療法人化し理事長に就任、2021年8月に分院「こころ診療所吉祥寺駅前」を開業。メンタルクリニックの現場で、心療内科・精神科の臨床に取り組み続けている。

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