【探訪】鉄道貨物に追い風 北海道の生乳 大阪へ

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夕刻、一面の雪景色となった釧路貨物駅(北海道釧路市)で、1つのタンクが貨物列車に積み込まれた。中身は16・5㌧の生乳だ。
 日没後の午後4時半、コンテナを満載した列車は、ディーゼルエンジンをうならせて駅を出発した。編成の後方に積まれた生乳タンクは、翌朝に北海道と本州を結ぶ青函トンネルを抜けて、2日後の早朝、約1740㌔離れた大阪府吹田市の吹田貨物ターミナル駅に到着する。大消費地に向けて、北海道の生乳が鉄道で西日本まで運ばれているのだ。
 物流業界では、来年4月にトラックドライバーの残業規制が強化されることによって、労働力が低下し輸送能力が不足する「2024年問題」に直面している。来年には14%、2030年には34%も輸送力が不足すると試算されている。
 政府は10月、この問題を受けて、物流の効率化や省人化を推進するほか、鉄道貨物の輸送量を今後10年程度で3600万㌧へと倍増する「物流革新緊急パッケージ」を発表した。
 1本の貨物列車は最大650㌧の荷物を輸送できる。単純計算で10㌧トラック65台分、ドライバーが65人必要なところを1人で運べるのだ。また、鉄道貨物輸送の二酸化炭素(CO2)の排出量はトラックの13分の1程度とされる。
 今年、運行開始から150年を迎えた鉄道貨物輸送には、現在、強力な追い風が吹いている。一方で、実際の輸送量は期待通りには伸びていないのが現状だ。激甚化する自然災害で鉄道の運休が長期化していることなどが要因という。
 JR貨物は「災害時に別の路線を経由して輸送する迂回輸送能力を強化する」ほか、働き手不足を解消するために将来的には貨物列車の自動運転を目指したいとしている。

※ホクレン農業協同組合連合会では、生乳の輸送に船舶やトラックのほか、鉄道も活用している。

(写真報道局 桐原正道)

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