海界の村を歩く 東シナ海 悪石島(鹿児島県)

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トカラ列島のほぼ中央、諏訪之瀬島の南約20kmにある島。その名の通り断崖絶壁に囲まれているが、別名「美女とネズミと神々の島」ともいわれる。仮面神ボゼに象徴されるだけでなく、島内各所に神がまつられるまさに神々の島だ。うっそうと茂った亜熱帯性の樹木群は、大切に保護され、「神山」として聖地の扱いをされる。港のそばの海中には温泉があり、少し林の中に踏み入ると天然の砂むし温泉もある。港には、夏場は特産物になっているトビウオの天日干しがいっぱいに広がるなど、のどかな海村の風景も垣間見せてくれる。八幡神社所蔵の須恵器片など、定住の始まりは古代まで遡り、陶器片には青磁を始め中国系や北九州、薩摩、琉球など各地のものがあって中世〜近世期の交易の広さがしのばれる。江戸時代は悪石島詰御在番衆として鹿児島侍が駐在した。古くは女神山の麓に東の村があったという。聖地のひとつオキンヤマには秋葉・金比羅・霧島の神とともに「島建世建の御大将」を祀る。この御大将は墓地入口にも石を建てて祀っており「奉無縁供養造立、貞享二年」(1685)と刻字してある。墓地は近年の改築以前は他に類を見ない見事な墓地で、年貢船下島時に購入した山川石の墓石群が立ち並び、しかも寛永18年(1641)の碑文始め元禄・宝永・享保・寛延など江戸前期から中期の年代がみえ、近世の活動を物語る記念碑でもあった。かつては養徳寺と大奥寺の2寺があったが、幕末には養徳寺1寺だった。那覇からの学童疎開船「対馬丸」が近海で撃沈され、その慰霊碑が建立されている。(「シマダス」参照)


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