木質の外壁について改めて知ってほしいこと

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今回は、木質外壁について解説します。

住宅の外壁の歴史と言うと大げさかもしれませんが、私の昔話に少しお付き合いください。私の家系は、ひいおじいちゃん、おじいちゃん、そして父が大工でした。私は大工にはなりませんでしたが、今は工務店の親父です。私が子どもの頃は、公園で遊ぶよりも、おじいちゃんの刻み小屋で遊ぶことが多かったです。家づくりの話を横目で聞きながら、何もわからずに門前の小僧として過ごしていました。

祖父の時代の住宅外壁は、この図のような感じでした。燻し瓦の屋根が乗っていて、上部は白い漆喰、その下は杉の焼板が多かったです。以前にもどこかで話したことがありますが、「君のおじいちゃんが仕上げた家がこの家だよ」と、全然知らない人に教えてもらったことがありました。おじいちゃんがこんなにたくさんの仕事をしていたんだと、驚くくらいこうした家が多かったんです。

次に家の様式が変わったなと感じたのは、父の時代、昭和40年代くらいです。この時代の家は「モルタル大壁」が主流でした。構造は木造で、黒い紙とフェルトを防水紙として貼り、その上にラス網で左官材を止めていました。そしてモルタルの下塗り・中塗り・上塗りを施して仕上げ、その上にリシンやボンタイルを塗っていました。このような壁が主流だった時代が、しばらく続きました。

しかし、その後急に、和風だけど洋風のような中途半端なデザインの家が増えてきました。こうした家を、じいちゃんはよくバカにしていました。昔の家は「小舞壁」といって、竹を網のようにして赤土を付け、乾燥させてから上塗りを施すという方法で作られていました。この手法では、壁が自然に通気し、湿気のコントロールも素材の力で行っていました。小舞壁は長い歴史を持つ様式で、鎌倉時代からじいちゃんの時代まで続いていたんです。しかし、モルタル大壁は歴史が短く、雨が入らないように防水を徹底しました。その結果、カスカスのグラスウールのような断熱材が中に入り、冬にストーブを焚くと壁の中で結露しやすくなりました。特にお風呂周りの下地の木が腐ることが多く、晩年のおじいちゃんは「モルタル大壁はアカン」と父に言っていました。

そして、私が業界デビューした頃には「サイディング大壁」が台頭してきました。このサイディング大壁も初期はモルタル大壁に似たような感じでした。湿気は透湿シートを貼ることで逃げるようになりましたが、防水紙の使い方がまだ上手くなく、直張りが多かったため、雨が入りやすい状態でした。雨やモルタル大壁の湿気の問題を解決するために、通気工法が採用され、それが主流となりました。

そうなってくると、現時点では8割ぐらいは窯業系のサイディングです。あとの10%弱が金属系、いわゆるガルバリウムみたいなものを張っているものです。そして、数パーセントぐらいに塗り壁があって、最後に木質外壁が1%か2%ぐらいです。

モルタル大壁やサイディング大壁がもてはやされたのは、1980年代から90年代が一番でしたが、その背景には新聞や雑誌などで「木造住宅の寿命は20年から25年しかなく、25年経ったら建て替えるのが木造住宅」とバカにされていた時代があったからだと思います。そして、モルタル大壁やサイディング大壁は2000年代ぐらいに完全に花開きました。プレカット技術や、耐震壁としての面材を使った耐性の高い建物が注目され、「木造住宅はあまり強くない」というイメージが覆されていきました。

木造住宅の寿命は25年と考えられていたものが、今では50年を見据えるようになってきました。「おじいちゃんの時代」「親父の時代」「私の若い頃の時代」と経て、今からを考えると50年スパンでのコストを考える時代になり、注目されてきたのが木質外壁という気がしています。

このデータは昔の住まい系の雑誌からの概略を参照していますが、1つの参考データとして説明します。例えば、イニシャルコストとランニングコストを考えると、サイディングのイニシャルコストが100に対して、金属も同じくらいの100、塗り壁は200ほどかかります。でも木質外壁は150くらいで済むんです。一方、タイルは300ほどかかります。価格だけで考えると安価なものに流れる傾向がありますが、ランニングコストで見ると、サイディングは50年で480万ぐらいかかると言われています。金属だったら160万ぐらい、塗り壁や木質外壁はほぼ0円です。0というのは大げさですが、それくらい安く済むとされています。タイルでも100万ほどかかると言われています。木質外壁はトータルコストで考えるとすごく良くないですか?という意見も、ここ10年ぐらいで出てきました。

「木は腐る」と言いますが、上手に使えば非常に長持ちします。社寺仏閣はその証拠です。おじいちゃんの時代の家の様式に似ていますが、立派な甍があり、庇が大きく出て、その下には杉板の焼き板が張られています。50〜60年経っても風雪に耐えている例が多く、ここに木質外壁の良さが見直されてきた背景があると思います。

若い人たちの中には、素材感が素敵だとか、古くて懐かしいものを新しく感じる傾向もあり、それも木質外壁の魅力の一つです。「新しいのに懐かしい」という、老若男女に好まれる素材はなかなかないと思います。

そして、木質外壁は修理が簡単だと言われています。木は腐るかもしれませんが、腐る場所は限られるため、腐った部分を剥がして張り替えれば終わりです。新建材は廃盤があり、1〜2年でなくなることもありますが、木材はずっと使えます。「木質外壁は素敵だけど、腐るのが怖い」とか、「イニシャルコストの見積もりが高かったからやめよう」と思うかもしれません。しかし、「一体何年住むつもりなのか、この家を何年大事にしようと思っているのか」と考えたとき、木質外壁も選択肢に入ってくると思います。

最近は「持続可能な社会」と言われていますよね。今後、石油系の建材は高価になり、使うのが難しくなるかもしれませんが、現在最も使われている木質外壁(杉材)は日本に豊富にあります。入手しやすく、切ってもまた生えてくる木材です。こういったことを踏まえて、食わず嫌いせずに木質外壁を選ぶことも検討してみてください。

最近、軒のない真っ白な家や黒い家が流行っていますが、これらは昔の「モルタル大壁」の家と同様に、まだ歴史の試練を受けていません。作り手はさまざまなことを考えて頑張っていますが、予期せぬ瑕疵や不具合が出ることもあります。まだ歴史的な評価を受けていないので、流行に流されるのではなく、本質的にそのデザインが好きであれば採用すればよいと思います。しかし、古来から日本の気候に合った三角屋根で軒が十分に出ている家にしたいのであれば、木質外壁は非常に魅力的です。

木質外壁のバリエーションでよく見られるのは、「縦張り+縦押し縁」です。杉板を一定の間隔で張り、そのジョイント部分を細い木で押さえ、杉板の変形を防ぎます。断面を見るとこのような構造になっています。もう1つの縦張りのバリエーションとして「押し縁なし」があります。これは「あいじゃくり」という方法で、差し込みによって木の変形を防いでいます。デザイン的に好みが分かれますが、非常にすっきりとした外観です。

次に「横張り」です。特におすすめなのが「鎧張り」です。断面で見ると、横にペタペタと張るのではなく、斜めに水が流れるような形状になっています。木は強いですが、長時間水に触れると弱くなり、腐る原因にもなるので、水が切れる構造が良いのです。木は濡れても、乾けば問題ありません。

そして、極めつけが「ファサードラタン」です。私の友人の小暮さんが群馬にある自身のモデルハウスで、一度張った金属サイディングを剥がしてファサードラタンを取り入れており、とてもかっこいいなと思って見ていました。木材を間隔を空けて張り、「こんなの雨が入るんじゃないの?」と思いますが、水が切れてどんどん乾くので、結果として寿命が延びるのです。ただし、ファサードラタンの裏側には超耐久の防水シートを張る必要があります。ドイツ製のウルトが良いと聞きますが、そういったものを使ってください。これは縦張りにすることもできますし、格子のように張ると味があって良いです。

もちろんヨーロッパでも広く使われていますし、秋田では西方さんという先生が秋田杉を使ったファサードラタンを手がけています。私も憧れを抱いていて、木が焼けてシルバーグレーに変わっていく様子が本当にかっこいいです。当然、木材には表面処理が必要です。木そのままだと弱いので、表面を炭化して強度を高めます。また、杉を使う際に好まれるのが「ウッドロングエコ」という水性の木材保護材で、これもおすすめです。水溶液を水で薄め、それを何度か塗布します。最初は水のようで「なんだこれ?」という感じですが、日に当たると徐々に色が濃くなり、かなり強度が増します。半永久的とは言い過ぎかもしれませんが、一度塗ればかなり長期間耐久性が続きます。

また、塗料で有名なのは「キシラデコール」などの防腐剤系です。キシラデコールはカラーバリエーションが豊富です。一般的には焦げ茶色や茶色が多いですが、例えば「やすらぎ」という色はクリア塗装のように見え、一見塗っているかわかりませんが、防腐剤の効果があります。また、ライトグレーなどもあり、横張りにも洋風の家にも合いますので、洋風のデザインを好む人にもよく使われています。ブラウンやレッドのような色もあります。木を張ると一見ワンパターンに見えますが、実はバリエーションも豊富です。

このように、木質外壁にはさまざまな方法があります。「木質外壁 杉外壁」と検索すると、全国の施工事例がたくさん見つかるので、ぜひ調べてみてください。特に新潟の「オーガニックハウス新潟」の澤部社長のところは、この分野に深い愛情を持っていて、多様なバリエーションを試みているので、いつもかっこいいなと感じています。こういった先駆者や諸先輩方が多くいらっしゃいます。

日本の街並みを変えるきっかけになるかもしれません。これから家を建てる人は減るかもしれませんが、街の景観を少しずつ良くしていくことで、私たちの子どもや孫の世代にとっても素晴らしい環境を残せるのではないでしょうか。そういった視点も含めて、ぜひ参考にしていただければと思います。

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