⛰️クライミング技術雑考(後編)

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【目次】(青い時間をタップするとそこにスキップできます)
1:03 1「機能で分類してみる」
4:22 2「ロールンロックのロック解除」
6:01 3「登り返しからの下降について」
8:18 4「フォロービレイからのあれこれ」
20:36 5「ダブルロープ懸垂下降からの登り返し」
29:51 6「懸垂下降のバックアップ位置」
33:18 7「カラビナとクイックドローについて」
39:49 8「トラバースについて考えてみる」
43:44 9「セルフは何故メインロープ?」
50:37 10「ヒヤリハット事例」
56:49 終わりの話
58:09 シュミレーション問題


【簡単にご挨拶】
今回は動画を観てくださりありがとうございます。最期は暑さでバテバテでしゃべり方が気持ち悪かったですね!
動画の内容はあくまでも山岳における限られた装備でのロープワークのほんの一端であり、レスキュー隊や特殊高所技術協会等のようなプロの装備、技術を使ったものではありません。また私の経験からの話でもあるので基礎と少し違うところもあったかもしれませんがご了承下さい。
これくらいのロープワークで良ければ、無償で講習会のお手伝い致しますのでご希望の方はご連絡下さい。


【訂正、捕捉】
●18:07 既出ありました。笹倉孝昭·著『アルパインクライミング教本』山と渓谷社の151ページにLRHの「ムンター·マリナーズヒッチ」と紹介ありました。固定の仕方は違いますが構造理念は同じだと解釈しました。
●23:05 「KN」の表記は誤りで正しくは「kN」です。
●44:00でセルフビレイ(以下:セルフ)をPASで取っていますがこれはケースバイケースです。支点強度が確かであれば初っぱなメインロープで取っても良いです、というかそれが基本スタイルですね。動画ではメインロープのセルフに衝撃荷重がかかる話をしたかったのでセルフはマスターポイント(以下:MP)を意識して取りました(動画中は荷重分散してないけど)。
話の内容のような衝撃が一つの支点にかかるのが不安な時は連鎖崩壊のリスクを下げるためにMPにセルフを取ったほうが良い場合もあります。その支点構築するまでに動画ではPASでセルフを取るという流れになっています。通常は環付きヌンチャクにメインロープでセルフをとってそれからスリングで~という基礎手順はありますが、今回の話で先のルート方向とかの話もすると説明が複雑になるのでとりあえず今回はこの形にしました。
ロープがダブルロープならPASじゃなくメインロープでまずはセルフを取ったほうが良いと思うし(動画で説明した理由から)、支点構築後にMPでもセルフ(もう一方の支点でも可、支点強度等で判断)を取るほうが安全。シングルロープならどこでセルフを取るかを判断して、MPならやはりPAS使いたいかなと。安全圏内であればやり方は色々あると思います。


【過去動画】
『マカルー西稜 風林火山』4部作です
   • 🏔️MAKALU マカルー西稜 風林火山①風  (←こちらは①風)

『アルパインクライミング単独行 俺流トレーニング』
   • 🏔️【閲覧注意】俺流アルパインクライミングのトレーニング。(続きは概要欄に...  


【最後の問題に関して】
まず、この問題の答えは発表しません。というよりもちろん僕は僕なりの答えをもっていますが、何より正規の正解とかないんです。
この問題の本質は「考えること」です。答えを知ることではないんです。「こうしたらどうかな?→ダメだ、こうなっちゃう!」みたいなことを何度もやって自分のなりの答えに辿り着いて欲しいんです。自分で答え出せたら複数人で討論してお互いの矛盾点を洗い出して欲しい。最初見えていなかったものがだんだんと見えてくるようになる。それがこの問題の理想的な活用法なんです。どうしておけば良かった?とか。
これは色んな要素が詰まってる課題だと思うんでやりがいがあると思います。

そしてもう一つ、この問題には考えて欲しい要素がある。
ビレイヤーは「あなた」です。と最初に出て来ますが、もし事故したのが自分でビレイヤーが後輩だったら?
もし左下の「考慮しない」が全て考慮するだったら?実際支点の強度は何より重要です。
もし今夜から雨が降ったら?
もしこれが冬だったら?
もしテラスに下ろせたとして、それからどうする?

一概には答えが出せなかったり、もしかしたら突破口なんてない状態なのかも知れない。けどどうにかしないと助からない。こんな意地悪な理不尽問題でも、このシーンになる可能性は0ではないはずです。
もし本当にこんなシーンになってしまったらあなたがきっとどういう気持ちでどう思うことになるのか、今回は先にそれだけ特別に教えたいと思います。

「もっと練習しておけば良かった」です。

こんなシーンは極論で一生に何回もないと思いますが、自分にコントロール出来ない環境になればその状況はすでにこの問題の状態と同じになっていると言えるのではないか?と思います。
山でも岩でも自然を相手にしている以上、相手は冷徹で無情で無慈悲です。何人もの知人が帰らぬ人になってしまってから、少なくとも私は「最悪の事態」を想定してトレーニングをしてきましたが、もう大丈夫だとか思えたことは今まで1度もないです。

この動画内容はかなりマニアックで、更にはクライミングの世界の一部のデリケートな部分にも触れてきたけど、たとえ99人の人に「変なやつ」と思われても「ためになった」と思う人が1人でもいたらこの動画を作った価値はあったなと思いますね。



【動画制作のきっかけと岩場問題】
大事なことだから長文です。

今回の動画は岩場のロープワークが主軸のつもりでしたが、結果的に山のクライマー目線からの要素が強かったですね。
ジムのクライマーが外岩に行ったら最初「想定外」のトラブルっていっぱいあると思うんですよ。でも外岩クライマーからしたら全然想定出来たはずのトラブルだったみたいな。山のクライマーから岩を見ても同じ事が言えるんですよね、「あっ、あれ危ないな~」って場面結構あります。実際僕も岩場での事故何度も遭遇してきてますし(山でもね)。岩とか山とかエリアや季節、岩の風化とか状態は多種多様で境界線がはっきりあるわけじゃない。だから結局は知識と経験に基づいた自己判断がとても重要になる。その判断材料の1つとして役に立てばと思い今回動画作りました。

山とかクライミングって仕事でもない(仕事の人もいる)のに命に関わるスポーツじゃないですか?しかも他人の命も預かる。他にあまりないんじゃないですかね?こんな人口多くて危険なスポーツって。なのに、警察の巡回や取り締まりみたいなのがあるわけでもないし、ちゃんとした資格がなくても(ちゃんとした資格もある)ちょっと覚えたくらいの素人みたいな人でも他人に教えることも勝手に出来ちゃうし、今はどこの誰のかもわからない解説動画もたくさんあるし(あ!自分もか笑)、まぁ言葉悪いですが「無法地帯」な部分をもってると個人的には思います。

数年前のことなんだけど、地元ジムのスタッフが岩場に来て何度か危ないなと思った事があって自分の周りの人らで話題になったことがあったんす。そのジムに登りに行った時に直接経営者(元々のクライマーな方ではない)に相談したこともあります。幸いにもその方は良識のある方で素直に話を聞いてくれましたが。
こういう場合はリーダーがはっきりしていて話は纏めやすいのですが、岩場は色々な地域からやってきてクライミングのジャンルも団体組織も違う、年齢も経験年数もバラバラでリーダー役がいない個人の集まりも多いため他人がその人たちのやり方を指摘するのはなかなか難しい場合が多いんですよ…

岩場の安全意識が低下し事故を起こすと岩場の存続にも繋がります。実際存続がギリギリなエリアも多数あるし、事実今年は私が(当時)山岳会に入って初めて登った岩が地域とのいざこざで登攀禁止になったばかりです。岩場ってかなり社会的にデリケートなんですよ。だってただの歩き登山だって事故を起こせばすぐに叩かれますよね?岩場の事故が叩かれないわけがない!オリンピックも関係してきてクライミングそのものにスポットが当たり話題性が上がればいずれマスコミは登山のように話題にするのではないだろうか。
事故を起こして困るのは本人、パートナーだけでなくその岩場を利用する他のクライマー全員に迷惑をかけることになるんです。だから特に、今回のスタッフのように人に教える立場の人にはそうした自覚はしっかり持って貰いたいと思っています。

ですが自分(たち)では客観的な観点で見直すというのは難しいものです…岩に行けばタダで好きなように登れて楽しい!と思っている人も多いと思うし、至って真面目に取り組んでいる「つもり」でもまだ未熟で、どちらにしても現地で急に他人からアドバイスされるというのは、どちらにしろうるさいと感じられてしまうでしょう、普通に考えて。

しかし同じフィールドを使う者同士、無関係ではいられないわけです。ですからクライミングの世界の先輩たちがしっかりダメなことはダメだと言わなきゃダメなんです。注意したら楽しい雰囲気を壊しそうだとか、トラブルを恐れて言わない、言えない空気になっていく、他人に関わらない、それじゃダメなんです。
誰かがお金を出して維持管理してさらに地域に理解して貰えるように尽力しているから今登る事が出来ている。だからここで事故を起こされては絶対困る!と言って欲しいし発信して欲しい!逆に「登らさせて貰ってる」くらいの気持ちで利用して欲しいですね。モラル、マナーで保たれてきた治安は一度「風化」すると中々元には戻せません。だから厳しくても安全第一の雰囲気を保つことが一番大事なんです。それはクライミングの「先輩方」にしかできません。だからお願いしますよマジで。

近年はクライミングがオリンピック種目になって、ジム人口もかなり増えました。僕もクライミング歴は10年ほどですがそれでも岩場にくる人が増えた(特にジムあがり)の実感してますよ。どこの世界でもそうだと思うけど利用者が増えるとモラルやマナーだけでは通用しなくなってくることあります。外岩みたいに監視役がいない環境だと特に。

これはあくまでも個人的な理想論ですけど、これからのこと考えるとやはりどこかで資格制度とか許可制や強制会員制とか、例えばハーネスやロープを買う時に身分証提示とか会員費用上乗せとかそういうのちょっとずつ導入していかないといけないと感じます。「遊び」だけど遊びじゃないとわからせるラインをまずは作らなくちゃいけない。山のように条例で縛るのも場合によっては必要なのかなと思いますよ。
ほかには、今ある多種多様な団体組織をまとめて大きな組織で管理する必要もあると思ってる。

昔のままってのにもそのうち限界はくると思うし、というかもうボロが出始めてるし。事故が増えたら世間からの反感を受けて困るのは結局自分たちですからね。
社会的に外岩クライミングを存続させるために、これから皆が長期的に関心を持たなければならない、とてつもなく大きくて重要な課題ですよ。んじゃどうする?って話。けど現実はほとんどの人が見てみぬふりして登るんでしょうけど…
最近、悲しくも静岡県伊豆のエリア封鎖多いよね?まぁ事故は事故です。原因はこの動画でも触れたヒューマンエラーによる結果の一部に過ぎません。
雪国のフリークライマーは遥か北海道とかからも来るくらい静岡県って冬時期クライマーで混むんですよ。じゃあさ例えば城ヶ崎が登攀禁止になったら城山とかどうなるんかな?二子山のモラルは保たれるかな?JFAの整備追い付く?そういう時代が来てもおかしくはない。

結局何が言いたいかっていうと、もう少し皆(昔のクライマーも新しいクライマーも!)が意識していこうよってことかな。この動画はそういう意識を少しでも持って貰いたくて作ってるからね。
長くなったけど最後まで読んでくれてありがとう。
令和5年8月 武田真敏

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