しながわのチカラ メードイン品川物語６

五反田にオフィスを構えるハッソー。
生活用品の総合メーカーとして、清掃・衛生用品の開発、製造を手がけている。
おむつに見えないスタイリッシュな紙パンツ。『大人用紙パンツ（ハッソーケア）』
伸縮性技術によりフィット感が抜群。コットンのような肌触りである。
取締役副社長・村上実さん「いままでのおむつにないようなデザイン性を持たせて
いろいろな方に使っていただきたい」
従来の紙おむつとの大きな違いは吸水パッドが交換できること。これにより、パンツを複数回使用できるようになった。
取締役副社長・村上実さん「吸水パッドだけを交換していただいてパンツは汚れていなければ、そのまま使用できる。ごみを低減できるので災害時にも使用できると思っています」
吸水パッドは５０ccから３００ccタイプまでの５種類。１０倍速再生と５倍速再生
なかでも一般的な１５０CCタイプの吸水パッドを見てみよう。パッドが薄型で、不安ではあったが、心配は無用。吸水性は確かに高い。
水を流してから2分後、紙をあてて確認。間違いなく乾いていることがわかる。
一方、紙パンツの方は……。
水滴を落としてみると、こちらは水をはじき、吸収しない。紙パンツは汗を素早く発散し、蒸れにくい構造である。
新技術『マイクロフィンドライ』でサラサラ感が持続。快適なはき心地を実現した。
こちらの製品は通信販売や一部のホームセンターでも購入可能。
取締役副社長・村上実さん「軽失禁で悩んでいる方、産後の方。急な出張で、下着がすぐに手に入らないというような方が愛用している。弊社の製品を利用して、高齢者のみなさんに外出していただき、健康寿命を延ばしてほしい」
日本と海外に４つの工場を持つ、こちらの企業。これからも国内外の幅広い顧客ニーズにあわせた製品を開発・製造していくことが目標である。

『ゲノム』という言葉をご存知であろうか。『ゲノム』とはDNA配列のことで、細胞一つ一つに含まれる遺伝情報のこと。
このゲノムを解析して、病の診断と治療などを行う『ゲノム医療』が最近、注目されている。
五反田に、これまでにないゲノムの検査を開発する企業がある。
Varinosが世界で初めて実用化に成功した『子宮内フローラ検査』。
人の体内には様々な菌が住んでいる。それは多種多様な植物が集まる『フローラ（Flora）』に例えられている。
子宮のなかに存在する菌の集まりを『子宮内フローラ』と呼ぶ。それらは善玉菌と悪玉菌に分類できる。
悪玉菌が子宮のなかで増殖すると、不妊の原因につながる子宮内膜炎などを引き起こす可能性がある。
その悪玉菌を排除するのが善玉菌の役目。
善玉菌が減り悪玉菌が増えると流産のリスクが高まることが報告されている。
子宮内に存在する菌を解析するのが『子宮内フローラ検査』である。
まずは細胞採取器具を用いて子宮内膜液を採取する。ここまでは医療機関の専門医によって行われる。
検体が、こちらのラボに届くと、検査が始まる。子宮内膜液から最先端の機械でＤＮＡを抽出する。
代表取締役桜庭喜行さん「従来の方法では子宮内に菌がいるということが分からなかった。人と同じように菌はＤＮＡを持っている。そのＤＮＡを解析することで、どういう菌がどれぐらいの割合でいるかが分かってきた」
菌の種類によって異なるＤＮＡ配列を解読。子宮内に存在する菌の割合が推定できる。
最新のゲノム解析技術を駆使することで、従来の方法では取得できなかった不妊治療に有用な情報を提供できるようになった。
代表取締役桜庭喜行さん「この検査は、まだ新しいので、少しづつ日本国内に広まっている。海外の医療機関にも提供していきたいと考えている」
全国８０近い医療機関に提供する『子宮内フローラ検査』。いずれは、世界中に広まることであろう。

地震による火災の過半数は電気が原因といわれている。
地震を検知すると電気を自動的に止める『感震ブレーカー震太郎』。
この製品を開発したのが武蔵小山駅からほど近い場所にある大和電機。
昭和２２年の創業以来、品川で電気機器部品のメーカーと
して活動してきた。
その企業が開発した防災製品。震度５強相当の地震発生時に建物内の電気を止め、『通電火災』などを予防する。
『通電火災』とは……。地震によって停電が発生。電源スイッチが入ったままの暖房器具。そこに地震の揺れによって、燃えやすいものが近づく可能性がある。このとき、電気が復旧すれば火災になる。
『通電火災』の予防法は、地震で停電になったらブレーカーを落とすこと。これを自動で行うのが感震ブレーカーである。
営業部石川博章さん「既存の感震ブレーカーは大掛かりな工事が必要なものや、
分電盤に直接取り付けるものが大半だった」
一方、こちらの製品はコンセントにアース極が付いていれば設置が簡単。アースコードでも接続ができる。
営業部石川博章さん「震度５強相当の地震を感知すると警告音を発する」
「地震を感知すると３分間の待機時間がある。次に大きな地震が来なかった場合はリセットできる」
「停電が解消されたときに通電して火災につながる場合が多い。停電を記憶しているので停電が解消されると電気を即遮断する」
「先に停電が発生、その後、大きな地震が来た場合。地震後、停電が復旧してもブレーカーを落とすことができる」
「急激な傾きを感知したときには即、電気を遮断する機能がある」
そして、テスト機能。平常時でも動作確認ができ、地震に備えることが可能である。
国内外に６つの工場を持つ、こちらの企業。認定製品は国内の工場で製造している。
今後もメードインジャパンの製品で「電気火災の予防」に貢献していくことであろう。
ものづくりの分野で時代を牽引してきた品川。そのものづくりのＤＮＡは過去から未来へ脈々と受け継がれ、これからも新製品が産まれ続けていくに違いない。