館長の美術館ザッピング75「猫を愛でたい」の見どころ④(12月8日まで)◎朝倉文夫《つるされた猫》と佐藤玄々《牝猫》 天心記念五浦美術館

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館長の美術館ザッピング75
小泉晋弥館長が、美術館を歩き回って気づいたことを綴ります。
「猫を愛でたい」の見どころ④(12月8日まで)

◎朝倉文夫《つるされた猫》と佐藤玄々《牝猫》
本展には猫彫刻の傑作も出品されている。
朝倉の猫は、第3回文部省美術展覧会に出品され、石井柏亭に「奇想」と評された。春草の黒猫が出品される前年のことである。後に銅像の神様といわれる朝倉らしい手堅い写実で、首の皮をつままれてぶら下がる猫の様子を絶妙にとらえている。ちなみにその前年の第2回文展では、荻原守衛の《坑夫》と《女の胴(トルソー)》が未完成として落選している。まだロダン流の近代彫刻は受け入れられていなかったのだ。朝倉はそこに挑戦して、ロダンが体はなくとも《手》だけで立派な彫刻だと主張したやり方を、猫を隠れ蓑にして実現している。片腕だけを出品したなら、バラバラ事件のようで気味が悪いと非難されただろう。猫のおかげで「奇想」で済んだ。用意周到で頭のいい戦略だと思う。
一方の佐藤の猫は、フランス留学で感銘を受けたエジプト彫刻がベースになっている。大正時代の日本美術院には彫刻家も属しており、かつ優秀な同人への留学制度もあっての留学である。フランスでは美術学校でブールデルの教室に所属したが、36歳という遅い留学生だった佐藤は、もっぱら博物館で学習したようだ。
留学から帰った佐藤は、中原悌二郎ら院展の彫刻家たちと奈良の仏像について「理想か、写実か」という論争をした。「理想を目指せ」とした天心の目標は、彫刻家たちにも受け継がれていたのだ。宗教的な雰囲気をまとうことで、理想と写実のバランスを追求する姿が、春草の猫に通じる作品である。

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