ウクライナから避難、頼ったのは日本語教室の先生 愛知の夫婦「二つ返事で『ハイどうぞ』と」 (22/04/12

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9日午後1時半頃、成田空港にポーランドからの便が到着しました。ウクライナから避難してきた人が次々と降りてくるその中に、首都キーウ出身の夫婦の姿もありました。

 ルスラン・チェボタレフさんと妻・リディアさんです。

Q.日本までの道のりはどうでしたか?
「快適で、スピーディーに着くことができました」(ルスランさん)

 2人は、4月4日に10年以上暮らしたキーウからポーランドに避難しました。

 ルスランさんのスマホ画面に映し出されていたのは、4月2日に撮影した、キーウ近郊に住んでいた両親の家の周辺です。両親は無事ですが、自宅は砲撃で破壊されたと言います。

 ウクライナでは、18歳から60歳の男性の出国は原則禁じられています。ルスランさんは糖尿病を患っているため、出国を認められたと言います。

 ルスランさんは、日本にいる知人を頼って避難をすることにしました。

「とてもいい気持ちです。新しい生活が待っています。感情がこみ上げてきて…」(ルスランさん)

避難民なら誰でも受け入れるという姿勢を学んだ

 ルスランさんが頼ったのは、愛知県安城市に住む、葛西不二恵さんと夫の孝久さん。ルスランさんが出発する直前には、部屋の準備を進めていました。

 2人は、3月3日までの約12年間、ウクライナで暮らしていましたが、ロシアの侵攻を受け日本に戻ってきました。不二恵さんはウクライナで日本語教室を開いていて、ルスランさんにも2か月ほど日本語を教えていました。

 かつての教え子であるルスランさんから「日本に行きたい」との連絡を受け、10分で受け入れる返信したといいます。

「実は、ルスランという名前を聞いてもさっぱり分からなかったが、連絡をもらった時に二つ返事で『ハイどうぞ』と」(葛西孝久さん)

 名前を聞いてもあまり思い出せないルスランさんを、受け入れることを決めたのは、自分がウクライナから避難したときの経験がありました。

 実は、不二恵さんはウクライナから避難しようとした際に、足を骨折してしまいました。その際に経由したポーランドで、見ず知らずのポーランド人に治療や宿の確保を支援してもらったと言います。

「見ず知らずであっても、避難民なら誰でも受け入れるという姿勢を学んだ。24日を境に世の中が変わっていく。しかも突然、仕事が壊されてなくなる、家がなくなる。家族が、友達が亡くなるという状況を、間近でその場にいて体験する。これを助けない訳にはいかない」(葛西孝久さん)

受け入れ準備での細かな気配り「ウクライナの人の口に合うか…」

 避難する不安な気持ちを分かっているだけに、受け入れの準備も細かい気配りがありました。

 ルスランさんの当面の食事を用意するために、安城市内のパン屋を訪れました。

「材料的にはウクライナと同じライ麦などを使っているので、これでいってみようと。ただバターが多めかなという気はするかな。その方がおいしいだろうが、ウクライナの人の口に合うか心配ですね」(葛西孝久さん)

 そして、10日の正午すぎに、ルスランさん夫婦は安城市に到着しました。

「こんにちは、葛西さん。ありがとうございます」(ルスランさん)

 孝久さんが用意した仮の住まいで1週間ほど過ごし、そのあと、県営住宅に引っ越す予定です。

 冷蔵庫の中身は、孝久さんが用意しました。歯ブラシや爪切りなどの日用品も揃えられています。糖尿病を患うルスランさんのために、糖質を抑えた調味料なども揃えました。

「カロリー2分の1、それから減塩」(葛西孝久さん)

今後も支援を継続「全く知らない土地で生活が始まるので」

 日本での生活基盤を固めることができた2人。葛西さん夫婦と出会えたことについては。

「静かなところで良かったです。出会えて嬉しいです」(リディアさん)
「日本語を勉強していた時は、勉強し始めて少ししてから私が病気になって、しばらく葛西さんには会えていませんでした。でも、こういう縁で会えて良かったです」(ルスランさん)

 ウクライナでは、きちんと眠れない日々が続いていました。

「ウクライナでは、爆撃から避難している時には廊下で寝ていました。布団の上で寝られるのはとても嬉しいです」(ルスランさん)

 かつての教え子の日本での生活について、不二恵さんは今後も支援を続けるつもりです。

「自分の家があって、日本に帰る時ですら不安な気持ちで一杯でしたから、ルスランさんたちは全く知らない土地で生活が始まるので、大変だろうなと、助けてあげたいなという気持ちで一杯です」(葛西不二恵さん)

(4月11日 15:40~放送 メ~テレ『アップ!』より)

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