「かりそめのスウィング」甲斐バンド(広瀬すず)

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1975年10月20日に発売された甲斐バンドの3枚目のシングル。
2枚目のアルバム『英雄と悪漢』の先行シングル。「2匹目のドジョウは狙わない」として、前作『裏切りの街角』とは路線を変えた楽曲。
カップリングは、デビューのきっかけとなったあの曲。

作詞:甲斐よしひろ
作曲:甲斐よしひろ
編曲:甲斐よしひろ

イントロは、バイオリンとガット・ギター。そしてもう1本のガット・ギターによるカッティングとウッド・ベースがすぐさま入って、曲が始まる。アンサンブルとしては、これ以上なにも足されずに、エンディングまで「スウィング」していく。

 ジングルベルに街が うき足だった夜
 人の声と車の音が飛び交ってる
 ニュースは不況を喋(うた)い 街には人があふれた
 そしてふらりとあいつは舞い戻ってきた

目指したのは、ベルギー出身のジャズ ギタリストDjango Reinhardtの「Minor Swing」と思われる。
かつて甲斐よしひろは「博多の色街で育ったから『かりそめのスウィング』みたいな曲ができた」といった内容の発言をしていた。子供の頃にはこんな音楽に囲まれていたのだろう。
そして何より演奏がいい。バイオリンは誰によるものかわからないけれど、なにより松藤英男によるカッティングと大森信和のベースが見事に「スウィング」している。これが博多のライブハウスで数年キャリアを積んだ二十代前半の兄ちゃんたちの演奏なのだから、ちょっと驚いてもいいのではないか?

 去年の今頃さ 暗い小さなフロアで
 二人とぶように踊り狂った
 うかれたジングルベルを はきだすかのように
 二人とぶように踊り狂った

それほどヒットはしなかったが、ジャンゴ・ラインハルトを日本語にして、そこにクリスマスの夜を描いた独特な美意識とアプローチは、甲斐バンドの存在を音楽ファンに知らしめることになった。

 ジングルベルに街が うき足だった夜
 人の声と車の音が飛び交ってる

二人が誰なのか、あいつが何者なのか、ひきずってきた悲しみも、生きてきたむなしさも、聴く側に放り投げられたまま歌は終わっている。

#かりそめのスウィング
#広瀬すず

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