【うつ病】うつ病克服のヒント3つ【精神科医が11分で説明】うつ病克服｜うつ病治療｜心療内科

0:00 （１）はじめに
0:21 （２）うつ病の影響は確かに大きい
2:11 （３）うつ病克服のヒント3つ
2:20 ①うつ病はよくなる
4:40 ②人は変われる
8:02 ③未来は開けている
10:02 （４）まとめ

うつ病は確かに症状や影響も広範囲にわたり、治療にも時間がかかるなど、影響は大きな精神疾患です。しかし標準的な治療はあるなど、腰を据えてしっかり向き合えば克服の余地がある精神疾患でもあります。

ご質問「うつ病克服のヒント3つ」について、精神科医が11分で回答しています。
出演：春日雄一郎（精神科医、医療法人社団Heart　Station理事長）

こころ診療所吉祥寺駅前　https://kokoro-kichijoji.com
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（１）はじめに

うつ病は症状や影響が強く、治療にも時間がかかる精神疾患です。一方で、地道な取り組みで改善も生きがいも持てる余地があります。本稿では、うつ病の克服を図る際のヒントについて解説していきます。

（２）うつ病の影響は確かに大きい

うつ病は、症状や期間のみならず、社会的・人生的影響も大きな疾患です。これは落ち込みなどのうつ症状が続く脳の不調で、脳内物質セロトニン不足が主な背景とされます。休養、薬物療法、精神療法が治療の3本柱となっています。

うつ病による影響は、主に以下の3つの側面があります：

1. *生活能力への影響*
個人差は大きいものの、生活に何らかの影響が残ることが想定されます
治癒後も細かい症状や再発リスクへの不安が残ることがあります
慢性化や再発を繰り返す場合、生活への影響はより大きくなります

2. *キャリアや人間関係への影響*
十分改善して復帰した場合でも、キャリアへの影響は避けられないことがあります
仕事や家庭での人間関係にも様々な影響が生じることがあります

3. *自分自身のあり方への影響*
うつ病と無縁の生活から、再発リスクと付き合う生活への変化を余儀なくされます
キャリアや人生設計の見直しが必要になることがあります
「こうすべきだ」「こうでなければいけない」という「べき思考」が強い場合、特に影響が強くなることがあります

（３）うつ病克服のヒント3つ

①うつ病はよくなる

うつ病は確かに症状や影響も大きく、治療には時間が必要です。しかし、標準的な治療法は確立されており、多くの人が実際に改善しています。

*改善を信じにくい要素とその対策：*
症状や影響の強さにより、日常生活がやりづらい時期があります
治療してもすぐには改善を実感しにくく、抗うつ薬の効果発現にも時間がかかります
意欲や思考力などの回復には数カ月を要することもあります

重要なのは、自己否定の声掛けを避けることです。うつ病では悲観的・自己否定的になりやすいですが、これは症状の一つと理解し、意識的に対処することが大切です。

②人は変われる

うつ病が長期化する背景には、発達障害の傾向や考え方・対人関係のくせ、自己肯定感の低さなどが影響することがあります。これらは一朝一夕には変えられませんが、以下のような取り組みで改善の余地があります：

*発達傾向への対応：*
適応改善のための技術（スキル）獲得
必要に応じた福祉的サポートの活用

*考えのくせへの取り組み：*
くせが出た場面での早期気づき
別の見方を探す習慣づけ

*対人関係のくせの改善：*
アサーション（適切な自己主張）の練習
必要に応じた環境の変更

*自己肯定感の向上：*
小さな成功体験の積み重ね
前向きな取り組みを認めてくれる環境の選択

③未来は開けている

うつ病経験は、一見すると喪失感が強くなりがちですが、この経験を通じて見えてくるものも多くあります：

*うつ病を経験して見えること：*
本音レベルでの人間関係の価値
苦しみや回復を経験した人々の生き方
自分の本当にやりたいこと、ありたい方向性

*うつ病経験後の新たな選択肢：*
本当にやりたいことへの取り組み
これまで顧みなかった家庭などの価値の再発見
自分の技術が真に求められる場所での貢献

（４）まとめ

うつ病は治療に時間がかかり、影響が大きい疾患です。しかし、克服に向けての主なヒントは次の3つです：

1. うつ病は良くなる
2. 人は変われる
3. 未来は開けている

うつ病前を100点とする「減点法」で考えると行き詰まりやすいですが、この経験を生かして今後を組み立てていくことが、克服を目指す際の鍵となります。

こころ診療所グループ（医療法人社団Heart　Station）
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【監修者】
医療法人社団Heart　Station　理事長　府中こころ診療所院長　春日雄一郎
精神科医（精神保健指定医、日本精神神経学会精神科専門医）
2005年東京大学医学部卒業、NCNP病院、永寿会恩方病院等を経て、2014年に府中こころ診療所を開設、その後医療法人化し理事長に就任、2021年8月に分院「こころ診療所吉祥寺駅前」を開業。メンタルクリニックの現場で、心療内科・精神科の臨床に取り組み続けている。