忘れられない”駐在所近くの死亡事故”　悲惨な事故を防ぎたい…県民の警察官　大倉公彦警部補【岡山】 (22/11/30

長年地域の安全に貢献した警察官に贈られる「岡山県民の警察官」。２０２２年に選ばれたのは、美作警察署粟井駐在所の大倉公彦警部補（５８）です。地域を守る最前線で活動してきた大倉警部補の横顔に迫ります。

（地域住民は…）
「いろいろと話をしてもらえるから私たちも助かる。大倉さんのおかげで元気が出る」

（大倉公彦警部補）
「地域の人は、大きく言えば『家族』という考えで、犯罪抑止など意識を高めていければ良いのかなと」

美作市の美作警察署粟井駐在所に勤務する大倉公彦警部補。長年地域の安全に貢献した警察官に贈られる岡山県民の警察官に選ばれました。

「おはようございます」

大倉警部補の１日は、子供たちの通学の見守り活動から始まります。

（大倉公彦警部補）
「私の朝の１番のルーティン。子供たちの安全安心のためにも朝から活動している」

７年前、粟井小学校が廃校になったのを最後に、この地域には学校がなくなりました。それでもスクールバスで学校に通う１０人ほどの子供たちを毎朝見守るのが日課です。

（地域の子供は…）
「安心！みんなを安全にするところがかっこいいです」

（大倉公彦警部補）
「いってらっしゃい！お願いします」

見守り活動を終えると地域の巡回へ。担当する約３３０世帯のうち４分の１以上は、高齢者世帯です。１人暮らしも多いこの地域。１軒１軒住宅を回り、高齢者が特に被害に遭いやすい特殊詐欺などに注意するポイントを伝えます。

（大倉公彦警部補）
「この電話、詐欺かもしれないと思ったら、慌てることなく『警察に相談します』と電話を切ってもらえれば」

（地域住民は…）
「前、お巡りさんに聞いた事を電話の横にちゃんと書いている。それを見て、いつも断っている」

粟井駐在所に赴任して６年目、今ではすっかりこの地域に欠かせない存在となっています。

（地域住民は…）
「ほとんど息子のよう、１人でいるとよく声をかけてくれる。タマネギができたら食べてみてと、子供同様じゃ」

（大倉公彦警部補）
「たまに頂いています」

その大倉警部補を支えるのは家族の存在。普段は離れて生活している妻の昭子さんが駐在所を訪ねてきました。

（妻　大倉昭子さん）
「唐揚げです」

（大倉公彦警部補）
「私はそういう料理はちょっと、ようしません」

街の隅々にまで目を配るため、１３年間、駐在所で単身赴任を続けている大倉警部補にとって貴重な時間です。

（大倉公彦警部補）
「温まるね」
「家族の支えや理解があった上で単身赴任ができている。大きな存在だと思う」

津山市出身の大倉警部補は、１９８７年に岡山県警に入り、警察人生の半分以上を交番や駐在所などで過ごしてきました。地域警察官として長いキャリアを誇る大倉警部補ですが、今でも忘れられない出来事があります。

（大倉公彦警部補）
「ドーンという音がして、その時は駐在所で事務処理をしていた。音と同時に外に出てくると、車の正面衝突の事故があった。不幸にも２人が命を落とした」

粟井駐在所に赴任してきて間もなく発生した死亡事故。現場は、駐在所からわずか１００メートルほどの場所でした。この事故を踏まえ、地域住民の集会で行う出前講座では特に交通安全講習に力を入れています。

（大倉公彦警部補）
「知らず知らずのうちにセンターライン寄りを走っている車をよく見る。粟井地区どこを通ってもカーブが多い。車線の真ん中辺を走るようにして下さい」

シミュレーターを使って自転車運転中の注意事項なども分かりやすく説明します。

（大倉公彦警部補）
「車道寄りが自転車、車道から遠い方が歩行者になる」

５年以上続けているこの教室にはもう２度と悲惨な事故が起きてほしくないという強い思いがありました。

（地域の人は…）
「再々聞かせてもらって、安全運転をしないといけないといつも思う」
「よく注意してもらって本当にありがたい」
「頼りにしている」

（大倉公彦警部補）
「少しでも自分の知識を広げて地元の人に役立てられたら。ありがとうと声をかけてもらえるのが１つの励みになる。もうその言葉だけ。地元の人と警察とが少しでも近づけば。これからも最後まで初志貫徹でまっとうできたらいいと思う」

（■地元の人から花束）
「いつもありがとうございます。これからもよろしくお願いします」

地域の人たちは、大きな家族のような存在。そんな家族の安全を守るため大倉警部補の活動はこれからも続きます。