強迫性障害のメカニズムから治療まで、概略を解説します【精神科医・益田裕介/早稲田メンタルクリニック】

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強迫性障害(OCD)は、「強迫観念」と「強迫行為」の2つで成り立つと言われています。

<例>
・汚れてしまった。手を洗わなければ…→手を洗い続ける
・鍵を閉めたかどうか…→何度も確認しに行く
・ガスを止めたか…→何度も確認しに行く
・数字がぴったり合っていないと気持ちが悪い…
・自分は誰かを攻撃してしまうのではないか…
・左右が揃っていないと気持ち悪い…

自分で違和感があるかどうか、家族や他の人にまで強要するか(巻き込み)なども確認します。

<強迫性障害のメカニズム>

ストレスがかかる
 ↓
不安になる
 ↓
強迫行為(ex.手を洗う)
 ↓
一時的に不安が下がる
 ↓
強迫行為をやめる
 ↓
また不安になる ←これを繰り返します

こういったことは脳の報酬系に関係しているのではないかと言われています。
最近では、溜め込み(ホールディング:いわゆるゴミ屋敷)、醜形恐怖(見た目に対するこだわり、整形依存)、抜毛症(髪の毛を抜いてしまう)も強迫性障害の仲間として考えられています。報酬系から来ているので依存症にも近いともいえます。

<鑑別>
鑑別としては、女性に多く、出産前後に強迫的、潔癖になる人もいます。出産前後の場合は強迫性障害なのか産後うつなのか議論の余地はありますが、使う薬はどちらも抗うつ薬です。
発達障害やASDのこだわりとの鑑別も大事です。うつ病や躁うつ病の人が不安だから手を洗ってしまうということとの鑑別も大事かと思います。

では実際に診断していて迷うかというと、それほど迷うことはありません。
質的な違い、強迫性障害の一部の特徴を持つのか、強迫性障害を拡大適応しているのかなどは議論の余地はありますが、臨床的にはそれほど問題にならずにやっています。

<治療法>
治療法は心理教育(本人および家族に対して)、薬(フルボキサミン50〜250mg)、CBT(認知行動療法)、暴露療法となります。
CBTに関してはうつ病の人へのCBTよりも治療効果は高いです。強迫行為に焦点を当ててワークプログラムをやっていきます。それから特に暴露療法が大事で、手洗いであれば少しずつ減らしていくようにするなど個別にプログラムを組んでいきます。

強迫性というのは1つの病気としてありますが、普通の人にもそのような部分はあるものです。それと病気はどう違うのか、強迫的な行為から何を学べるかというのは考察のポイントかと思います。ちなみに余談ですが、フロイトが言う「強迫神経症」とは別のものです。

00:00 今日のテーマ
00:23 強迫性障害とは
03:04 メカニズム
04:29 鑑別
07:10 治療法
09:17 まとめ

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