中国西北ロマン旅

西寧を発った私はそこからさらに西北へ200キロほど離れた张掖という町へ向かった。面白いことに甘肃省は青海省の上へにょきっと伸びているので、张掖は甘肃省に属する。かつてはここはロマンと危険あふれるシルクロードの旅だったろうが、今は大勢の観光客が訪れる、砂漠と高山に挟まれた中国の田舎町だ。安全安心、だが同時に絶景を堪能できる、とてもお得な町なのだ。このような色の山は見たことがない。多くの人がそう思うだろう七彩丹霞。まるでインディージョーンズの映画のセットのようだ、とそう思うだろう平山湖大峡谷。多くの観光客にあふれているのでだんだんなんてことない観光地のように錯覚してくるが、ちょっと待てよ、こんなところに簡単に行けるというのがまったくありがたい話なのだ。一昔前だったら辺境、秘境だったろうこのふたつのスポットは张掖の町からは車で一時間ほど。そう聞くと簡単なようだが、窓の外を見てるとあれよあれよと異世界に入っていく感覚にとらわれる。砂漠というか荒れ地に浮かぶ野生のラクダのシルエット。中国はかくも広い。
ちなみに、张掖市内にある大仏寺。その名の通り大仏がある寺だが、それを見るためだけでもここに足を運ぶ価値がある。
さて、今回の旅、心残りがある。天候と時間の関係で、马蹄寺と金塔寺に行けなかったことだ。金塔寺に至っては、马蹄寺と同じエリアにあるが、そこにたどり着くまでの道の走行が難しいらしく、また一日の訪問者にも制限があるという、旅人のロマンをそそる石窟がある寺だ。それが建てられた時の世から秘された具合は想像に難くない。どうしてそんな険しい場所で仏教芸術は花開いたのだろう。

2024/7/16-19

撮影機材：
Fuji X-T3
Tamron 17-70mm/F2.8/Di III-A VC RXD
Fujinon XF70-300mmF4-5.6 R LM OIS WR
Rode Video Micro II
Insta360 Ace Pro

使用音楽：
Music ⓒ - Kevin MacLeod
Life of Riley