（最終）12分35秒Ｄupuytren拘縮治療の現状と将来の展望

研修医対象. Dupuytren拘縮治療の現状と将来の展望：Dupuytren拘縮に対するコラゲナーゼ注射による治療は, 2019年6月でコラゲナーゼの本邦への供給が途絶え, 2020年11月30日より本邦では使用できなくなりました. そのため, その治療を見たことのない若い先生が増えて来ているものと思われます. そこで今回は, コラゲナーゼ注射による治療の動画を中心にDupuytren拘縮の治療についてお話しいたします.
Dupuytren拘縮は術後再発の多い疾患と言われており,部分的腱膜切除術は現在行われているDupuytren拘縮に対する治療法の中で最も長期成績に優れるとされています. 可及的に病的腱膜を摘出して有茎皮弁で被覆する手術は, 罹患指が多く重症度が高いほど困難となり, 再発や進展（同じ手の別の部位に発生）を考慮して, 定期的な経過観察が必要となります. しかし, コラゲナーゼ注射治療は, 手術よりも再発率は高いのですが, 外来で簡単に行うことができ, 手術療法と比較して今回の動画のように早くから手の使用が可能となり, 社会復帰も短期間で出来るという利点があります. また再発する場合でもコラゲナーゼ注射によって重症度を下げることができ, 下げてからの手術治療も可能であることから, こまめな経過観察が不必要となります. このような理由から, コラゲナーゼ注射が再度本邦でも使用可能となり, 治療の選択肢が増えることを希望いたしております.
現在もDupuytren拘縮に対する様々な研究がなされており, IL-6産生を含む炎症がDupuytren拘縮における線維化を来す可能性も注目されて来ているようです. IL-6アンプやProtein X等を抑制する事などで, 将来的には内服薬で治療できる時代が来るかも知れませんが, その時までコラゲナーゼ注射という選択肢もあればと思います.