踊る研修医は24歳…バレエダンサーのための医者になる!

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10月に初演を迎える新作バレエ「赤毛のアン」。地元出演者の中には、"異色の男性ダンサー"もいます。2つの目標に向かい二刀流で日々努力を重ねるダンサーの素顔とは?


しなやかな体使いに…キレのあるターン。鳥取市のバレエ教室で練習に励む1人のダンサー、河本龍磨さん24歳です。

河本さんの職業はダンサー…ではなく、実はもう1つの顔を持っています。

なぜか白衣姿で体育館の中を踊っている男性。そう、この男性こそが…。

「これは僕が学生時代のころに練習していた動画ですね。SNSを記録用の媒体として使っていたので、それで普段の練習の様子をアップしていたという感じですね」

河本龍磨さん
「河本さんの職業は?」
「医者をやっています。ただ、いまは研修医として学ばせていただいている立場です」

なんと、河本さんの職業は医者!この春、医師国家試験に見事合格し、現在、鳥取市立病院で研修医として働いています。医者とダンサーの二刀流!異色の組合せは、どのようにして生まれたのでしょうか?

河本さんがバレエを始めたのは4歳の時。

河本龍磨さん
「姉と兄やってたからなんですけれども、2人がバレエのレッスンによく通っている姿を見て、義務教育だと勘違いして、『自分はいつからバレエを始めるの』と聞いたのがきっかけだというふうに聞いています」

バレエ一家の環境もあり、ごく自然にバレエを始め、その後はメキメキと上達。高校や大学ではロシアやベルギーのバレエ学校に短期留学をして技を磨き、様々なコンクールで好成績を残しました。そんな河本さん、医学に興味を持ったのは小学校高学年のころです。

河本龍磨さん
「バレエの医学的研究や科学的研究が他の分野に比べて進んでないと知ったのが、じゃあ進んでないならその道を目指そうと思ったきっかけ」

ほかの競技に比べ、現状バレエ専門のスポーツドクターは少ないといいます。ダンサーの気持ちやケガの特徴が分かる自分がダンサーを支える側になりたい。河本さんは医者を志し、見事その夢を叶え、将来的には整形外科医を目指し、いまは研修医として学んでいます。

鳥取市立病院教育研修センター長 懸樋英一医師
「僕たちの経験では珍しいタイプのドクターかなと思っています。アスリートの気持ち、舞台で演出する方々の気持ちも分かるドクターになってもらえたらありがたいと思います」

ちなみに、河本さん、病院でバレエの動きが出てしまうことがあるようで…

鳥取市立病院教育研修センター長 懸樋英一医師
「膝を上げずに小走りしているようなイメージを受けちゃったけど、違うかな?(笑)」
「Q 歩き方にちょっとバレエ入ってるぞみたいな?」
「そうですね、そう言われるとそうかもしれないなと思います」

そして、ダンサー河本龍磨としても、この秋、新たな挑戦をします。10月に初演を迎える新作バレエ「赤毛のアン」です。

プロのダンサーたちとオーディションで選ばれた地元出演者83人で作るこの舞台。演出・振付は、イギリスのバーミンガム・ロイヤル・バレエで活躍した山本康介さん。そして、主役のアンは、K‐BALLET TOKYOの小林美奈さんが務めます。

プロとの共演、そして、いちから作る創作バレエ。河本さん、自分の演技の幅を広げるチャンスと捉えています。

河本龍磨さん
「間違いなくプラスになると思います。特に自分は表現力という点でいったら、すごいまだまだだと思うので、大きな成長の機会にできたらと思います」

ちなみに、今回の出演のきっかけをくれたのは、河本さんの身近な人物でした。

河本さんの兄・綜一朗さん
「最初、自分が出ようかなと思ってて、弟に声をかけたら自分もってことだったので」

兄の綜一朗さんです。今回、地元出演者の中で男性ダンサーは2人だけ。それが綜一朗さんと龍磨さんです。2人の役はアンの同級生。兄弟ならではの息の合った演技が見られるかもしれません。

河本龍磨さん
「僕らずっと長い間バレエをやってるのに、2人で同じ舞台で絡みのある踊りを一度もしたことがないので、2人で楽しんでいきたいと思います」

踊る研修医・河本龍磨。時にダンサーを支える医療人、時に観客を笑顔にする表現者に、それぞれ高みを目指し挑戦の日々が続きます。

河本龍磨さん
「やっぱり一番の目的は見る人を楽しませることなのかなと思っているので、自分がこの先どんな舞台に立ったとしても、見てる人が楽しかったなと思ってもらえるような舞台が作れるダンサーになれたらいいなと思います」

【BSSニュース】
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