【生理痛の“親ブロック”】中高生の婦人科通院を妨げる“親の思い込み”解消へ|Talk Gender~もっと話そう、ジェンダーのこと~

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生理痛は「病気じゃない」「みんな我慢している」「ピルを飲むのは“性に奔放な女性”」そんな親の思い込みが、中高生の負担になっているかもしれません。こうした“親ブロック”を解消するため、中高生の保護者を対象とした生理痛のワークショップが開かれました。

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取材した経済部の片山桂子記者と、報道局ジェンダー班の庭野めぐみ解説委員が深掘りトークします。

■“親ブロック”とは?「みんな我慢している」は思い込み

経済部 片山桂子記者
「生理痛に悩む中高生にとって対策の壁になっているのが親というケースが意外に多いようなんです。いわゆる”親ブロック”というものです」

「“親ブロック”というのは、娘が生理痛を訴えたときに、『病気じゃないんだから』とか『みんな我慢してるよ』とか『若いうちから痛み止めの薬を使うと効きにくくなるよ』というふうに、思い込みや間違った情報によって娘に我慢をさせてしまう、そういったものなんです」

報道局ジェンダー班 庭野めぐみ解説委員
「以前は、友達とか親にさえ生理のことを言うのは何か“不謹慎”だ、”恥ずかしい”みたいな感じがありました。私より10歳ぐらい年下のママ友さんが、あるところで『私今日生理で辛いのよ』と言ったことにすごくびっくりしたことがあって、みんなの前でそういうふうに言える世代がいるんだなと思ったんです」

片山記者
「今回のワークショップを主催したのは、品川女子学院の有志団体CLAIR.と、鎮痛薬のロキソニンを製造している第一三共ヘルスケアです」

庭野解説委員
「学校と企業の共同でということですね」

片山記者
「CLAIR.という団体は、品川女子学院の高校生の有志で立ち上げた団体です。もともとは学園祭の出し物のひとつとして、生理をテーマにしたワークショップを行っていたんですが、学園祭以外でも活動を続けていこうということになって、後輩たちに受け継がれていったそうです」

「一方の第一三共ヘルスケアは、去年3月に『みんなの生理痛プロジェクト』というものを立ち上げ、やはり生理や生理痛、それから対処法の一つである鎮痛薬の正しい使い方を発信しているんです」

■「生活に支障があれば病気」人と比べる必要はない

片山記者
「産婦人科医の高尾美穂先生が生理と生理痛のメカニズムや、月経困難症の対処法などについて説明するセミナー、その後にCLAIR.の進行で『子どもが生理痛で困っていたら保護者としてどうしますか?』というようなことを考えるワークショップ、この2部構成でした。全体的に、昔とは考え方が変わってきていることを意識した内容になっていたと思います」

「例えば、『今は生活に支障があれば、それは“月経困難症”という病気ですよ』と。『お母さんたちも生理痛がひどくて今日は会社行きたくないなとか、家事したくないなという日があるでしょう。娘さんたちも今日はつらくて学校へ行きたくない日があるんですよね。もうそれは生活に支障が出ているという状態で、病気だ』と、そういう話がありました」

庭野解説委員
「『経血が人と比べて多いのか』というと特に若い女性はわからないみたいですけど、『何か不具合があるということは病気なんだ』という考え方が最近出てきていますよね」

片山記者
「また、婦人科の受診のハードルとして、10代の子を内診台に上げるのは不安だと思うお母さんも多いと。けれども、今は10代の子にいきなり内診はしないので、生理痛がひどい場合は子宮内膜症といった病気が潜んでいる場合もあるので、まず話をするだけでも受診をしてみてはという話もありました」

庭野解説委員
「お腹の上から超音波をやるとか、症状をお医者さんが聞いてくださるとか、そういったこともありますもんね」

■PMSの症状を抑えられるが…広がらない低容量ピル

片山記者
「CLAIR.が事前に生徒たちに行ったアンケートでは、『生理痛が学校生活に悪い影響を与えたことはありますか?』という質問に対して、生徒の66%が『悪い影響があった』と答えていて、そのうち9割以上がその症状を『我慢した』そうなんです」

庭野解説委員
「実は生理って、その期間だけではないというところがまた厄介というか、難しいところです。生理の2週間前ぐらいから起こる不調を『PMS=月経前症候群』といいます」

「丸の内の森レディースクリニック宋美玄院長によりますと、お腹が痛い、お腹や胸が張る、体がだるい、眠気、疲れやすい、むくむ、肌荒れ、といった症状があるそうです。それから精神面では、イライラする、落ち込む、情緒が不安定になる、身近な人にきつく当たってしまうなんていうことがあるそうです」

「宋院長は、『低用量ピルは服用すると排卵を抑制でき、ホルモンの増減の波を抑えることが出来ます。そのため、PMSの不調の原因をある程度おさえ、症状も抑えられます』と説明されています」

片山記者
「低用量ピルって、日本では他の先進国と比べて服用する人がすごく少ないですよね」

庭野解説委員
「国連が2019年に発表した調査によりますと、15歳から49歳の女性のピルの内服率は、日本は2.9%、韓国は3.3で、アメリカは13.7%。でも、ドイツとフランスは30%を超えているんです」

片山記者
「ピルは当初避妊を目的にしていたので、1999年の認可当時、『服用を望む女性は性に奔放な女性』みたいな偏見があったんですよね。男性だけじゃなくて、女性にもその偏見があって。そんなイメージが今も残ってしまっているのかなと思います」

■「”低容量ピルを認可するとエイズが蔓延する”」認可にも”ブロック”が

庭野解説委員
「ピルはアメリカではなんと1960年代から、これは避妊薬としてですけれども、認められていて…」

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