【気分変調症】ぱっとしない状態が続きます【精神科医が5.5分で回答】うつ｜うつ状態｜体調不良

うつ状態といえばうつ病が有名ですが、中には軽めだが長期間続くタイプがあり「気分変調症」と呼ばれます。慢性的な軽めの落ち込みや体調不良が続き、変化の少なさなどから自分でも周りからも気づきにくい面があります。
出演：春日雄一郎（精神科医、医療法人社団Heart　Station理事長）

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気分変調症：長期間続く「ぱっとしない状態」の正体

1. 気分変調症とは

気分変調症は、うつ病未満の軽めのうつ状態が長期間続く精神疾患です。診断基準では6か月以上とされていますが、年単位で続くことも少なくありません。うつ病と比べて症状は軽いものの、慢性的に続くのが特徴です。

2. 主な症状

こころの症状
軽度の落ち込み
思考力や判断力などの脳機能の不調
気分が浮かない状態が継続
頭の働きが本調子でない状態が長期化

体の症状
軽度の疲れやすさ
吐き気などの自律神経症状
体調が優れない状態が長期間続く

行動の変化
雰囲気が暗くなる
イライラしやすくなる
周囲から「ぱっとしない」印象を与える

3. 気分変調症の背景

1. うつ病と似た脳の不調（セロトニンの不足など）
2. 生来の性格傾向
3. 出来事の影響や自己否定の考え方のくせ

4. 未治療のケースが多い理由

気分変調症は以下の理由から気づかれにくく、未治療のまま長期間続くことがあります：

1. 症状が弱めで目立たない
2. 変化が少なく慢性的で気づきにくい
3. 周囲から性格と見なされやすい

5. 未治療が続くデメリット

1. 治療可能なケースでも長期の不調が続く
2. 抗うつ薬が効く可能性があるのに治療につながらない
3. 周囲から低く評価され、様々な不利益を被る可能性
4. 自己否定や悪循環につながる恐れ

6. 診断の意義

1. 抗うつ薬による改善の可能性
2. 成功体験を重ねる方向への目標設定
3. 自己否定の悪循環を断つきっかけになる

まとめ

気分変調症は、うつ病ほど重度ではないものの、長期間続く「ぱっとしない状態」を引き起こす精神疾患です。症状は軽めですが、その慢性的な性質から生活への影響は小さくありません。気づきにくい特性がありますが、早期発見と適切な対処が望まれます。抗うつ薬などの治療で改善する可能性もあるため、専門家への相談を検討することが大切です。

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【監修者】
医療法人社団Heart　Station　理事長　府中こころ診療所院長　春日雄一郎
精神科医（精神保健指定医、日本精神神経学会精神科専門医）
2005年東京大学医学部卒業、NCNP病院、永寿会恩方病院等を経て、2014年に府中こころ診療所を開設、その後医療法人化し理事長に就任、2021年8月に分院「こころ診療所吉祥寺駅前」を開業。メンタルクリニックの現場で、心療内科・精神科の臨床に取り組み続けている。