第二部各論 第1章14節 自分が好きで他人を利用する? 自己愛性パーソナリティ障害 / narcissistic personality disorder

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00:55 自己愛性パーソナリティ障害
04:47 本人は困っていない
07:03 治療

今日は「自己愛性パーソナリティ障害」について解説します。

自己愛性パーソナリティ障害とは、簡単に言うと「自分のことが好きで、その結果、他人に迷惑をかけている人」ということになります。
本人は困っていないことが多く、周りの人の方が困っていることが多いです。

今回は、どのような診断や治療をするのかについて簡単にお話ししたいと思います。

■自己愛性パーソナリティ障害

自己愛性パーソナリティ障害の人にはこのような特徴があります。

・誇大的空想・行動
自分のことを特別だと思っている、才能があると思っている、すごい人間だと思っている。
このような信念・空想・ファンタジーに囚われています。
すごく横柄な態度を取ったりもします。

・注意と称賛の必要性
常に注目を浴び、称賛されていないと嫌がります。ですから称賛を求めます。

例えば、職場で「今月のMVPは○○さんでした」と表彰されたときに、後ですごく怒ったりします。
「なんであいつなんだよ、俺の方が良いじゃないか」と。
MVPなんて適当に付けているし、社員の意欲向上のためだから。大して給料が増えるわけでもないし持ち回りなんだから怒るなよと思うのですが、めちゃくちゃ怒ります。
嫉妬深かったりもします。

・対人関係で利用
人を利用しがちです。先日テイカーやギバーの話をしましたが、テイカーになります。
利用される方が悪いのだという考えです。

・共感性の欠如
人が傷ついているのがわかりません。わかろうとしないとも言えます。
相手が傷つくことは普通はしたくないのですが、自分のために、相手が傷つくことも平気でやってしまう人たちです。

「世の中、悪い人はいないよ」と言われたことがあるかもしれませんし、「悪い人ではなく、本当は良い人なんだよ」と言ったりしますが、まあいますよね。
それを悪い人と言わなければ誰が悪い人になるのだということがあります。

高級時計をつけて、高いスーツを着て、常に偉そうで、カラオケではマイクを離さず部下を連れて来させ、嫌々飲み会にも付き合わせる、いわゆる昔の変なパワハラ上司のイメージです。

・合併症
合併症を持つこともあり、アルコール依存、ギャンブル依存になったり、うつ病・躁うつ病に発展することもあります。躁うつ病の躁状態のときに自己愛性パーソナリティ障害のように見えることもあります。

反社会性パーソナリティ障害(悪いことを平気でやってしまう)を合併していることもあります。

・治療
治療についてはいろいろありますが、気分安定薬のバルプロ酸で躁状態をおさえたり、アリピプラゾールを使うことで気分の波をおさえたりします。

ただ、治療は薬物治療がメインではなく、やはりカウンセリング的な治療がメインとなります。

■本人は困っていない

彼自身は困っていないことが多いです。
部下や家族は困っているのですが、本人は困っていないので「なんで精神科にいかなければいけないんだ」となります。

実際、この診断は難しいです。
「そういう性格」という言われ方になることも多いです。

精神科の診断基準には「社会的な障害が起きていること」があります。
周りが困っていても本人が困っていなかったら、社会的な障害に入るのかどうかはややこしくなります。

頑張って家族が連れて行ったとしても、「パーソナリティ障害とは言わないんだよ」と言われてしまうこともあるのではないかと思います。

実際にこの診断がつくときは、アルコールやギャンブルの問題があり、それが大きくなりすぎて家族に連れてこられた時に、依存症とパーソナリティ障害の傾向を伝えるということがあります。

共感性の欠如というか、表面的な対人関係のせいで、しばしば本人が気に入らないとトラブルを起こします。
クリニックでもそうです。ドクターに対してすごく怒ったり、受付の人に怒ったりといったこともあります。

本人は自分が正しいと思っていてつけ込む隙がないような感じがしますが、そのようなことがあると、会社でもこんなことが起きているのかなと理解につながります。
かといって、これが反省につながるかというとそうでもなく、いろいろなトラブルになります。

■治療

治療はかなり難しく、例えば生い立ちの中で厳しすぎる父親がいたり、親も同じような素質を持っていることがあります。
意外と生い立ちは辛いことも多いです。

若いうちは誰しもが失敗しますし上手くいかないこともありますが、その時に怒られたことがいつまでも恥として残っていたりします。
共感されても、彼にとっては恥の体験を繰り返したことになります。
診察室の中でポロっとそのような話を出したときは、「なんて自分は恥ずかしい思いをしたのだ」と怒ってしまうことがあります。

彼の中の誇大的なファンタジーと現実をどう受け入れてもらうのか、というバランス感覚が難しいです。

教科書的にはどのようなカウンセリングをやれば良いのかというと、「メンタライゼーション」や「弁証法的行動療法」が良いと言われています。
ただ、匙加減が難しいです。

彼の誇大的な空想に「現実」というものを少しずつ垂らしていき、空想を現実の色に染め直すということなのですが、一気に入れると混乱してしまい攻撃的になるだけですし、少しずつ入れているといつまで経っても空想が薄まりません。

特別扱いをすべきかどうか、ということもあります。
彼は特別扱いをして欲しい人ですしそうしないと怒る人ですが、特別扱いをすると治療になりませんので、ここの匙加減も難しいです。

なかなか治療同盟を結べないので、最初から厳しいルールだと本人はついてきてくれませんのでここも難しいところです。

スタッフや他のドクターへの引き継ぎも重要です。
ドクターは彼のことをわかっていますのでうまく特別扱いをしたりするのですが、主治医だけが特別扱いをしていて他の受付の人たちはそういうことができず、他の人と同じルールを守ってもらうようにするとトラブルになったりします。
「他の場所ではおとなしくしていてね」と約束をつけたり治療構造を決めることや、スタッフの人にどのように引き継ぐかも重要だと思います。

自己愛性パーソナリティ障害と診断しなくても、その傾向がある人やそのエッセンスがある患者さんはいますので、いろいろ考えながらやります。

この人は強がっているだけで、本当は共感性があるのだろうということもあれば、全然ないパターンもありますので、本当に難しいです。
本人はわかっていないですし、どの患者さんも家族がいつもついてきてくれるわけではないので、この人は本当はどういう人なんだろうと思いながら診療しています。

とにかく人間というのはバラエティに富んでいて、一言では説明がつかないことはたくさんあります。

周りの人の対処法もありますが、結構難しい人なので、距離を取れるなら取ることが大事ですし、距離を取れない場合はきちんとルールを作ってあげる、その中でしっかりやるということが重要かと思います。

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                 早稲田メンタルクリニック院長 益田裕介

『自己紹介』
益田裕介
防衛医大卒。陸上自衛隊、防衛医大病院、薫風会山田病院などを経て、2018年都内で開業。専門は仕事のうつ、大人の発達障害。といいつつ、「なんでも診る」ちょっと変人よりの町医者です。
趣味は少年ジャンプとお笑い。キャンプやスキーに行きたいです。
2020年6月5日より断酒継続中。

【参考】
厚労省みんなのメンタルヘルス https://www.mhlw.go.jp/kokoro/
カプラン 臨床精神医学テキスト第3版
倫理規定について https://note.com/mentalyoutubers/n/nb...

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