第二部各論 第1章14節 回避性パーソナリティ症の診断・治療

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00:21 回避性パーソナリティ障害
03:44 症状、訴え
05:23 誤解されていることが多い
08:06 治療

今日は「回避性パーソナリティ障害」について、診断と治療法を解説します。

■回避性パーソナリティ障害 

回避性パーソナリティ障害とは
「他人から嫌われるのではないか」
「自分はみっともない、恥ずかしい思いをしてしまうのではないか」
という恐怖にとらわれる疾患です。

具体的に言うとこのようなことがあります。

・対人接触のある仕事を避ける
・人と関係を持たない(嫌われたくないから関係を持たない)
・親しい仲でも遠慮(家族や友達にも遠慮、本音を言えない)
・頭の中がいっぱい(あれが恥ずかしかった、嫌われるのではないか…)
・新しい人間関係の抑制
・劣等感(自分はダメな人間だから嫌われて当然なのだ)
・ひっこみ思案

上記7つの特徴のうち4つ以上に当てはまり、青年期から一時的ではなく何年にもわたって続いている場合に「回避性パーソナリティ障害」と診断されます。

<鑑別>

・シゾイドパーソナリティ障害
人と関係を持たない淡白で冷淡な人。

・依存性パーソナリティ障害
その人がいないと自分は生きていけない、自分は弱い人間だからそれがないと壊れてしまうのではないか、という思いに囚われている。回避性パーソナリティ障害に近いものです。

・ASD(自閉スペクトラム症)

・SAD(社交不安障害)
赤面症、人前に立つと心臓がドキドキしてしまいそれを避ける。

精神科の診断は、人間が勝手に線を引いているのでどちらなのか言いにくい場合もあります。
特に診断カテゴリーの境界線上にあったりすると、どちらかはっきりしないことがあります。

■症状、訴え

臨床的な話をすると多様性があります。
男女によっても違いますし、年齢、学歴(基礎能力)、親子関係の問題などにより症状や訴えは違います。

・ストーカー
女性の場合はストーカーの被害に遭う人がいます。
本人は人付き合いが嫌なのに、そこにぐいぐいくる男の人がいたりして悩んでしまうのです。
依存性の要素もあるので一瞬心を許したこともあったかもしれませんが、本当に嫌になってしまっています。

・ひきこもり

・独身(は嫌だが…)
人付き合いは嫌なのですが、独身のままでいるのは嫌。依存性の要素もあるので独身でいるのは嫌。
でも人が嫌なので悩みます。

・共依存、母子密着?
親しい人は避けてしまうのですが、母親とは共依存の関係になっていっている。母子密着の問題になってしまっている。
アルコール依存症やDVをする夫と別れたいのですが、他の人が怖いからそこにいる。その人とも本音を喋っているわけではないけれど、その人を手放すのが怖いといったことがあります。

■誤解されていることが多い

回避性パーソナリティ障害の説明を周りの人にしても、理解されないことがとても多く誤解されることの多い疾患です。

その人は本当に人と付き合うのが嫌なのですが、「いやいやそんなこと言って」「そんなこと言っても経験が足りないからだよ」などと言われ、その人らしさが理解されません。

回避性パーソナリティ障害だけでなく、精神疾患は誤解されることが本当に多いです。
それはなぜなのかを考えたときにやはり思うのは、「人間の多様性を、人間は理解できない」ということです。

僕はいろいろな疾患を診たりいろいろな職業の人と話していく中で、ようやく多様性ということをなんとなくわかってきました。ですが、多くの人はそのような経験をしたことがないと思いますので、本当に分からないと思います。

「ONE PIECE」という漫画をご存知でしょうか。
ルフィーという主人公がいろいろなところを冒険するのですが、冒険する世界では「人間が想像することは、どんなことも起きるよ」と言われています。
ですから、空にある空島、雷ばかりが降る島、お菓子でできた国など、僕らが想像し得るものは全てあります。ガリバー旅行記のようなものです。

とにかく、それと同じことが精神科の中で起きます。
僕らが想像するような人間というのはいるのです。決して多くはないけれどいるのです。
本当に人間を避けてしまうような人はいるのです。

「そうは言っても他の人は克服することができたよ」など僕らのイメージの中で語るとそういうことになってしまうのですが、あなたが見ているのは本当に珍しい人なんだよ、ということです。

ですが本人にはその珍しさが分かりません。だから困っています。
多様性というのは、ONE PIECEで言う「お菓子の国」のようなものです。
存在するけれど、見たことがない人には嘘の話のように思われてしまいます。

■治療

治療の中では相手の話を理解と共感を持って聞きつつ、相手の表情を見ながら距離感を取ったりします。
治療的にはある部分近づかなければいけないのですが、近づくと嫌がるので近づきすぎないようにしていきます。そうして傷つかないやり方で世の中に慣れてもらうようにします。

治療者は、相手との距離感をつかむのが下手な人が多いと思います。
僕もついつい近づきすぎたり、距離を取りすぎて冷淡な感じになってしまったり、その冷淡さがその人に「嫌われたのではないか」と思わせてしまい、うまくいかなくなるということはあります。

それから、今の時代は「家庭内復帰」「社会復帰」「職場復帰」はあまり重視されていません。ここはポイントかと思います。

古い教科書や本を読むと「家庭内復帰をどのように進めれば良いか」といった文面が出てきます。
20~30年前は、家族と暮らす、親戚付き合いができるようになることが治療のゴールだったのですが、今の時代はあまり言われません。
そこまで目指さずに、この人らしさを周囲の人に理解してもらい、良い距離感で付き合えば良いのではないかと思います。
この辺りは変わってきたなと思います。

今回は回避性パーソナリティ障害の診断や治療について解説しました。

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『精神科医がこころの病気を解説するChとは?』
 一般の方向けに、わかりやすく、精神科診療に関するアレコレを幅広く解説しています。動画における、精神分析や哲学用語の使用法はあくまで益田独自のものであり、一般的(専門的)な定義とは異っているところもあります。僕がもっとも説明しやすいとたまたま感じる言葉を選んだだけなので、あまり学術的にとらないでいただけると嬉しいです。
                 早稲田メンタルクリニック院長 益田裕介

『自己紹介』
益田裕介
防衛医大卒。陸上自衛隊、防衛医大病院、薫風会山田病院などを経て、2018年都内で開業。専門は仕事のうつ、大人の発達障害。といいつつ、「なんでも診る」ちょっと変人よりの町医者です。
趣味は少年ジャンプとお笑い。キャンプやスキーに行きたいです。
2020年6月5日より断酒継続中。

【参考】
厚労省みんなのメンタルヘルス https://www.mhlw.go.jp/kokoro/
カプラン 臨床精神医学テキスト第3版

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#パーソナリティ症 #人格障害 #回避性

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