知的障害と学習障害は違いますか？【一見類似も、困難の範囲と知能検査でのIQが違う、精神科医が4分で説明】

知的障害と学習障害は違うでしょうか？学習の困難さなど共通点もある一方、「困難の範囲」が違い、結果知能検査でのIQの出方にも違いがあります。
精神科医が要点を約4分の動画にまとめています。
出演：春日雄一郎（精神科医、医療法人社団Heart　Station理事長）

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↓↓内容の詳細は下記になります。

＜はじめに＞
ご質問にお答えします。今回は「知的障害と学習障害は違いますか？」についてやっていきたいと思います。よろしくお願いします。
今回お受けしましたご質問は「知的障害と学習障害は違いますか？」になります。
答えとしては「苦手になる範囲が違う」とお答えします。
＜知的障害＞
知的障害は、考えたりいろいろ動くなど知的な機能の全般的な困難になります。
そのため、全般的な知能を測る知能検査（IQ検査）で「IQ70未満」が基本的な定義になります。
そして、多くは「幼少期」子供の頃見つかり、特別なサポートを受けることになります。
＜学習障害＞
学習障害は「特定の学習分野」読書や算数などの特定分野の困難になります。
「IQ的な知的障害はない」ことが、基本的な定義になります。
そして、診断を受けて苦手な分野を見極めた上で、サポートを受けることになります。
＜知的障害と学習障害の共通点＞
まずは「学習が苦手」なこと、特に苦手分野に関して非常に苦手という点が共通しています。
そして「目に見えない障害」なこと、障害が認知されないと「手を抜いている」等の誤解を受けるリスクがあります。
そこと関連して「不適応からの2次的な不調には注意を要する」ことも共通しています。
一方で、両者には違いもあります。
＜知的障害と学習障害の違い＞
まずは「全般的なIQが低いかどうかの違い」があります。
そして「苦手な分野がどのくらいの広さか」苦手なことの範囲の違いもポイントです。
また「支援や介入」による改善がどれぐらいしやすいかも違いがあります。
＜学習障害での知能検査の結果＞
まずは「IQに関して、全体で見ると正常範囲」ということが一般的です。
その中で「ばらつき」があることが多いです。
その中でも、学習の苦手分野と検査での低得点の連動が出ることが多いとされます。
そして知的障害と学習障害は、対策に関しても一部違いがあります。
＜知的障害→全般的なサポート＞
知的障害では苦手範囲が幅広いため、得意な分野でカバーすることは現実的には非常に困難です。
そこで基本的には「福祉的なサポート」を（学校や障碍者雇用を通じ）全般的に継続していきます。
そして、なるべく早い段階でサポートを始め、「二次障害」を防ぐことが非常に大事です。
＜学習障害→支援などでカバー＞
学習障害は苦手な部分が限られているため「得意分野でのカバー」の余地があります。
その中で特性に合った仕事など環境をどうするかをいろいろ模索していきます。
そして「自分」及び「仕事先の相手」が特性を知ることが、精神面の健康維持のためにも大事です。
＜まとめ＞
今回、ご質問「知的障害と学習障害は違いますか？」についてみてきました。
知的障害と学習障害は、学習の困難という点で共通点があり、一見見分けにくい場合もあります。
違いは「苦手な範囲の広さ」で、知能検査では「IQの低さの有無」などで見分けをしていきます。
苦手範囲の広さから、知的障害では「全般的なサポート」学習障害では「介入と支援」のように、対策の方向が一部異なってきます。

こころ診療所グループ（医療法人社団Heart　Station）
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【解説者】
医療法人社団Heart　Station　理事長　府中こころ診療所院長　春日雄一郎
精神科医（精神保健指定医、日本精神神経学会精神科専門医）
2005年東京大学医学部卒業、NCNP病院、永寿会恩方病院等を経て、2014年に府中こころ診療所を開設、その後医療法人化し理事長に就任、2021年8月に分院「こころ診療所吉祥寺駅前」を開業。メンタルクリニックの現場で、心療内科・精神科の臨床に取り組み続けている。