【朗読】山本周五郎「おかよ」～オーディオブック～　朗読：京谷由香里

島原の乱が起こった際、幕府軍に上級の武士達に「足軽などが」と言われつつも、敢死隊に志願し、身命をなげうって活躍したひとりの臆病な若者がいた。本当は戦場へも行きたくなかった。もともと気の弱い足軽を支えた、たった一人の味方が境遇同じ孤児の「おかよ」だった。
★島原の乱については、コミュニティのページに補足情報を掲載していますので、ご覧下さいませ😊

初出：昭和17年五月号『講談雑誌』桜木書房
　　現題『花さく日』　青空文庫未収録
　　現在は新潮文庫『深川安楽亭』などで読むことが出来ます。

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◎主な登場人物
印東弥次郎（いんどうやじろう）　父の代から細川家の足軽。孤児
おかよ　　木挽町で伯母のやっている茶店で働く18歳。孤児
植村七兵衛（うえむらしちべえ）　弥次郎の上司
お松　　　おかよと一緒に目黒不動尊の前の茶店で働く女　
　　　　
◆註釈（文中の表記、意味などについて）
葭簀（よしず）ヨシと呼ばれる植物で編んだすだれ
狼狽（ろうばい）あわてふためくこと
足軽（あしがる）下級武士の歩兵
継子（ままこ）自分の子で、血のつながりのない子。転じて仲間はずれにされる者。のけ者。
賊徒（ぞくと）時の政府に反逆する者
立身（りっしん）社会的によい地位を得ること。栄達。出世
勇士（ゆうし）雄々しく立派な武士
幕命（ばくめい）幕府の命令
直命（じきめい）主君が直接下した命令
小具足（こぐそく）武具の中で鎧・兜・袖以外のものを指し、こて、すね当て等を指す
闃として（げき）静まりかえってひっそりとした様
糧道（りょうどう）食糧を運ぶ道
無二無三（むにむさん）わきめもふらず
斉射（せいしゃ）一斉射撃
暁天（ぎょうてん）夜明け
敢死隊 (かんしたい) 死を覚悟して任務に臨む部隊
身命（しんめい）からだといのち
暁闇（ぎょうあん）明け方、月がなく、あたりが暗いこと
隘路（あいろ）狭くて通行の困難な道
十間（じっけん）一間＝六尺（約1.8m）なので180ｍほどの距離
弾雨（だんう）雨のように激しく飛んで来る弾丸
矢狭間（やざま）城壁や櫓(やぐら)などの内側から外をうかがい矢を射るためにあけた小窓
脱兎の如く（だっとのごとく）一目散に逃げるウサギのように、とても早く
ましら　猿
つんざく　つまんで引き裂く
ほぞの緒（お）　へその緒
大功（たいこう）　大きな手柄、功績
霊験あらたか（れいげん）　大変ご利益があるさま
凱陣（がいじん）戦いに勝って，自陣に戻ること
人煙（じんえん）人家から立ち上る煙。転じて、人の住む気配
辺鄙（へんぴ）中心から離れた地域。片田舎

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