日本キリスト教団六ツ川教会　ローズンゲン釈義黙想（2024/7/9）

2024年7月9日（火）

【旧約聖書】
神が私たちを憐れみ、祝福してくださいますように。詩67:2（協）

【新約聖書】
（イエスは）子どもたちを抱き寄せ、手を置いて祝福された。マコ10:16（協）

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「ローズンゲン釈義黙想」は、日本キリスト教団六ツ川教会の会員向けのメッセージです。
日々、御言葉を聞くことができるように毎朝5時に更新します。
「公開」設定にしていますので、六ツ川教会の教会員でない方も、ご関心のある方はどうぞ自由にご活用ください。

釈義黙想の後に、呼吸と沈黙の時間があります。
ヨガのトレーニングから学んだ呼吸法のごく基本的な方法を取り入れています。
御言葉を聞き、呼吸と姿勢を整えて、良い一日の始まりとなりますように。
どうぞ今日も笑顔でお過ごしください。

使用しているテキストは『日々の聖句　Losungen2024』（ベテスダ奉仕女母の家出版部、2023年）です。全国のキリスト教書店でお求めいただくことができます。税込み1,400円です。

*ローズンゲンで指定された場所以外は、聖書協会共同訳聖書のテキストを用いています。

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　六ツ川教会の教会学校に来ている児童は、いつも元気いっぱいです。教室からは元気な声や、ドタドタと走り回る音も聞こえてきます。多少、賑やかすぎるときもありますが、子どもは元気なのが何よりですので、それが自然なことだと思います。ところが先日、あまりにも教室が静かなので、「どうしたのかな」と思うと、授業で聖書に関するアニメを見ていたそうです。その様子を扉からそっと見てみると、児童たちはまばたきもせず、画面に釘付けになっていました。その様子を見ながら、子どもの集中力のすごさに改めて感心しました。今の私には、あのような集中力はもうありません。

　17世紀のフランスの作家、ラ・ブリュイエールは、『カラクテール』という書籍において、子どもについてこのように言います。「子どもたちには過去も未来もない。で、これは我々にはほとんどないことだが、現在を享楽する。」私たち大人になった人間は、未来に夢を描き、備えもしますが、過去の行為を悔いたり、幸福だった昔を懐かしんだりします。その意識は、「まだないもの」や「もうないもの」に向かっているのです。現在を見ていないのでする。しかし子どもは現在、つまり今ここにあるものしか眼中にないという指摘です。確かに、あまりにも計画的に考え、行動する子どもは、あまり子どもらしくありません。後先のことを考えず、今、目の前のものに集中する。それが子どもらしさかもしれません。過去を懐かしみ、未来を憂うのは、我々大人のすることです。

　今朝は新約聖書からマルコによる福音書10章16節が与えられました。「（イエスは）子どもたちを抱き寄せ、手を置いて祝福された。」イエスが子どもを大切にして、祝福されたことは、福音書に書かれています。特に知られている言葉としては、マタイによる福音書18章3節です。「はっきり言っておく。心を入れ替えて子供のようにならなければ、決して天の国に入ることはできない。」なぜ子供のようにならなければ天の国に入ることができないのかというと、まず子どもは一人で生きていけません。誰かに頼らなければ生きていけないのです。だから、頼ることを知っているということです。そして、子どもは「今」という時間に集中します。私たちが子供のようになるというのは、私たちは誰に頼っているのか、神さまに頼って生きているのかを問う必要があります。自分一人の力で生きていると、思い込んではいないでしょうか。そして、過去を懐かしみ、未来を心配して、今という時間に集中していないのではないでしょうか。まさに、今、このとき、みなさんがこのローズンゲンを聞いているこの時にも、神さまは私たちに働きかけておられるのです。そして、今朝もまた、新鮮な命の息吹を私たちに吹き込んでくださっているのです。それは今に集中しないと気づかないことなのです。

　だから私たちは、教会学校の子どもたちのように、息をするのも忘れるくらい、今というこの時に集中したいと思います。そこに神さまの働きを見ることができます。神さまが生きておられることに気付きます。そのことを思い起こし、今日も神さまが私たちを憐れみ、祝福してくださいますように。

日本キリスト教団六ツ川教会牧師　　桐藤　薫