【謎のマチ】河川敷にしか存在しない“雁来町”『もんすけ調査隊』2022年6月24日(金)放送 HBC「今日ドキッ！」

依頼人（みく・１０代）
「豊平川の河川敷にだけある
　雁来（かりき）町が出来た理由を
　詳しく知りたいです」

え！？河川敷だけにある町？
まず“雁来”と聞いて思い浮かぶのは…

（調査員）
「環状通と北１条通、２７５号線が交わる
　交差点にやってきました。
　ここから東側、豊平川に沿って
　東雁来（ひがしかりき）が続いています。」

札幌市東区にある東雁来。
1条から14条、そして東雁来町がある。

札幌市民はこの辺り一帯を
“雁来”と言うことも多いが、
依頼のあった場所はここのことなのか。

（周辺住民）
「雁来町っていう場所ってご存知だったりしませんか？」
「知らない。」
「雁来町？どうだろう、わからない。」
「雁来町ちょっとわからないね」

東雁来周辺に住む人たちもよくわからないようだ。
札幌市に問い合わせてみると…

（札幌市住民情報課　白土 奈緒美 住居表示係長）
「雁来町は東雁来とは別の場所になります。
　今で言うと、苗穂町に面している豊平川の
　河川敷のあたりに雁来町という場所はあります。」

え！？東雁来とは別に“雁来”がある！？
調査員が指示された場所へ向かうと…

（調査員）
「このあたりの河川敷が
　“雁来町”ということなんですけども…
　ここが町なんでしょうか。
　特にそういうものを示す看板は見当たらないです。」

調査員がいるのは苗穂町１１丁目あたりの豊平川の河川敷。
ここが雁来町だというが、自転車道路以外にはなにもない。
一体どういうことなのか、再び札幌市を訪ねた

（札幌市住民情報課　白土 奈緒美 住居表示係長）
「確かに人は住んでいませんし、
　なにか住所の表示がされている
　というわけではないんですけども
　ちょうどＪＲの線路から
　北13条大橋こえた辺りの１キロに満たない
　河川敷地のエリアだけが
　雁来町ということになっています。」

なぜ、誰も住んでいないこの場所に町の名前があるのか！？

札幌市東区苗穂町に面している
豊平川の河川敷。
JRの線路から北13条大橋をこえた
この一帯はなんと“雁来町”
という名前がついているという。

しかし、それを示すようなものはどこにもない。
一体どういうことなのか。

（札幌市住民情報課　白土 奈緒美 住居表示係長）
「実はですね、この雁来町は
　札幌市の合併が深くかかわっています。
　元々は現在の東区苗穂町や本町、東雁来ですね。
　豊平川沿いに広く“雁来村”という地名がありました。」

この雁来村は昭和9年と昭和30年に札幌市に編入される。
その時に…

（札幌市住民情報課　白土 奈緒美 住居表示係長）
「昭和９年に編入された方は札幌市雁来町。
　新しい方には東雁来町
　という町の名前が付けられました。
　当時は札幌市の中には“雁来町”と“東雁来町”の
　２つ町があったということになります。」

なんと！雁来町は1934年（昭和9年）
現在の苗穂町のあたりに誕生していた！
昭和のはじめには、れっきとした町として存在していたのだ！

しかし…

（札幌市住民情報課　白土 奈緒美 住居表示係長）
「その雁来町なんですけれども、
　実は４回にわたって区画整理ですとか、
　町名整備によって少しずつ狭くなっていく。
　雁来町という名前が減っていくという経緯がありました。」

「こうして最終的に苗穂町に面した
　豊平川の河川敷地に雁来町という町名が
　変更されずに残ってしまったという訳になります。」

（調査員）
「忘れてたわけではないんでしょうか？」

（札幌市住民情報課　白土 奈緒美 住居表示係長）
「忘れてたわけではない（笑）」

そんな“雁来町”の名残がある
数少ない場所がこの瑞穂神社だ。

（調査員）
「雁来神社っていうのが書いてますね。」

この辺りは、雁来村時代から
玉ねぎの栽培が盛んに行われ、
その豊作を願う意味で、
雁来神社から瑞穂神社に改名された。
この近くで生まれ育った
川東（かわひがし）さんは、
この神社を70年以上も守っている。

（調査員）
「川東さんは、雁来町って名前がなくなってさみしい？」

（瑞穂神社　川東 實 総代 89歳）
「さみしい。
　一つだけ残してくれと、ということで公園ね。
　雁来公園、残っている。」

瑞穂神社のすぐ近くにある雁来公園。
雁来町が徐々に無くなっていく昭和の中ごろに
川東さんが市に訴え、雁来の名がついた公園ができた。

（瑞穂神社　川東 實 総代 89歳）
「我々生まれたのは雁来だから、
　雁来っていう字を残してくれと」

（調査員）
「雁来って言うのが残っていってほしいですよね？」

（瑞穂神社　川東 實 総代 89歳）
「ほしいな～。我々の生まれ故郷だもん」